![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157315784/rectangle_large_type_2_3d843fd03c418e07b015d3b4740ae9c5.png?width=1200)
【勝手な詩】 今、この瞬間だけ
人生の走馬灯が回り始める
朽ちた馬車に乗った記憶たちが、
砂糖菓子のように溶けていく夜の中で
ひとつ、またひとつ
影が踊る。
街角に落ちた涙、
窓辺に揺れる風の声、
触れた指先の温もり、
それらはフィルムの切れ端のように
ひらひらと、形をなくしていく。
笑い声は歪んだ螺旋を描き
足音は砂の上に沈んでいく。
赤い風船が空に昇るたび、
記憶は凧のように糸を切り
空を漂う。
声を出そうとするが、
口は鍵で閉じられたまま。
耳を澄ませば、
遠い遠い未来から
幼い頃の夢がささやく。
ここにあるものは、かつてあったか?
それとも、まだ訪れぬものか?
鏡に映る顔は自分なのか、
それとも過去の亡霊か?
走馬灯の輪が小さくなるほど、
影は伸び、
消えかけた星がまた燃え上がる。
一瞬の閃光、
その光の先に
誰が待っているのか、
それを知るのは
今、この瞬間だけ。
いいなと思ったら応援しよう!
![テツ【勝手な事務所】](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/124836972/profile_3b896bb00efc17eb13f569e94948fcda.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)