ほん① 一目惚れみたいな希望
「好きなものについて書いてみよう」 シリーズ(シリーズ化していきたいです)本の第1弾。今回は『十二人の死にたい子供たち』を読んだ。
(初めての試みなので、拙い文章と考察ですが、、、おつきあいください)
この物語では、12人の死にたい子供たちが、廃病院で、共に安楽死を実行するために集まる。しかし、集まってみると、13人目の子供がいて、しかもすでに死んでいるようだった。この、ひとつの出来事によって、彼ら12人は話し合いをすることになる。そこで、様々な事実が明らかになっていく、、
物語は、こんなあらすじです。
この先はネタバレ注意です。
物語は、12人のそれぞれの視点から始まる。この、一人一人の視点が、後に繋がっていくのかと思うと、とてもワクワクする読み始めだった。ただ、12人もいるので、正直、文字だけで、人物を把握出来るだろうかと不安だった。しかし、読み進みていくと、登場人物一人一人の個性がはっきりしていて、問題なかった。けど、人物をしっかり把握した上で、もう一度読めば、新たな気づき、楽しみが確実にあるだろうなあと思う。
↓↓↓以下、考察。↓↓↓
彼らは、皆同じ目的を持って、強い意志の中(1人だけはちょっと違うかったが)集まった。しかし、最終的には、7時間も経たないうちに、全員が中止をすることに賛成した。最初の投票では、1人を除き(1番を入れるなら2人とも言える)全員が安楽死を実行することに関して、何のためらいも、疑問もなかった。しかし、話し合いが進み、色んな事実を知るうちに、1人また1人と反対者が増えていき、最後には中止という決断で多くが統一した。
恐らく、この集いに参加しようと決断するには長い時間を有していただろう。でも、覆るのにはそう時間はかからなかった。なぜか。
集団。個人。個性。
これらが作用したように思う。彼らは、理由は違えど、同じ目的で集まった自分たちには、通じるものがあり、根本で同じ考えなんだと思っていたんだと感じる。だからこそ、12人一人一人の個性を感じ、全く違う人間だったことに衝撃を受ける。
皆それぞれに個人的な事情があり、死ぬに至る理由があり、そして信念があった。安楽死という大きな目的のもと集まった彼らは、強い意志で結ばれ、強固な集団だったように思えたが、実はそうではなかった。綻ぶのは一瞬で、話し合いを重ねる毎に、集団としての繋がりは崩れていった。色んな人の話を聴き、その人の考えに触れていくことで、彼らは気づき、変わる。
結局、人間、死ぬことはいつでも出来る。だったら、死ぬまでなんとか泥臭くでも生きてみよう。十分生きたと思えば死ねばいいから。
まさに絶望から希望へと変わっていた。一見、絶望を覆すのはめちゃくちゃ難しいようだけど、きっかけさえあれば案外一瞬なのかもしれない。ここに集まってた12人は、差はあれど、みんな、長い時間、絶望と闘って、悩んで、葛藤して、その結果死ぬことを決めていただろう。でも、その長時間は、1人だったから絶望から抜け出せなかっただけだったのかもしれない。
場面はずっと廃病院の中。
ほとんどが地下の部屋での話し合い。
こんなにも劇的な場面変換なく、時間の移動もないのに、ドキドキ、ワクワクさせられる物語はない。(僕の知る限りです)
読んでいると、彼らと共に、リアルタイムで、話し合いをしているかのような気分にさせられた。
映画もあるみたいなので、機会あれば見てみたい。