ショートショート「孤高のテレワーク」
削りたての鉛筆を握りしめながら、僕の心は満たされていた。ようやく自分だけの時間を手に入れることに成功したのだ。
小さな和室で背筋を伸ばし、古びた座卓に向かい、まるで小説家のような自分の姿に酔いしれていた。今にも爆発しそうなその感情を、目の前に広がる真っ白な紙にぶつけたかったのだ。
思い返せば、小説を書ける環境を作るまではそれなりに時間がかかった。職場の責任者を粘り強く説得して、自分の部屋で仕事を完結できるように働き方を変えてもらう必要があった。仕事をさっさと済ませれば、あ