集中力を上げるのに意識する二つの自分『ヤバい集中力』
人間の脳には2つの力がある。それは「獣」と「調教師」である。
お久しぶりの豪雪婦人ですよ。今日は以前お勧めいただいた本の感想文を書きますぞ。
鈴木祐『ヤバい集中力』SBcreative 2019
この本は人間の脳の力を2つに大別し、それぞれが得意な領域を指し示すことで、集中力を上げる方法を提示しています。
本書の中では具体的な行動についても挙げられていますが、私の方ではその大前提となる「獣」と「調教師」とはそもそもなんぞや、にフォーカスを当てて解説といたします。
1 そもそも集中力って何?
まず、皆さん集中力を上げて何がしたいですか?ちょっと想像してください。
仕事の効率を上げたい?
それとも勉強中に誘惑に負けないようにしたい?
どれもこれも、集中力があれば効率も、効果も上がるように思いますよね。全くその通りだと思います。
では、その集中力ってそもそもなんでしょうか?
本の中では
複雑な能力の掛け合わせ
とされています。本書では例えば二つの能力について示されています。
まず一つは「注意の持続力」、もう一つは「セルフコントロール能力」です。
前者は注意を向ける力です。これは一つのものにどれだけ注意を向けられるか、それがどれほど持続するかなのですが、ぶっちゃけ最長20分しか無理らしいです。
後者の方は、わかりやすくいえば誘惑に負けない力です。他のものに気を取られないでいられるかどうか、という話ですね。
他にも自分にならできると思える「自己効力感」や「モチベーション管理能力」といったものが必要とされます。
つまるところ、注意力とは複数の能力が混ざり合って一つのものに集中していることを呼称しているにすぎないのです。
ということは、集中力を上げるには、少なくとも上記のような能力を全体的に挙げていく必要があるのです。ではそれをどのようにして向上させていくのか…そこに「獣」の能力と「調教師」の能力が関わってくるのです。
2 獣と調教師は果たしてどう違うのか
まず獣とは一言で、「あらゆる誘惑に負ける、力強い能力」です。目の前のものにすぐに反応しますし、その誘惑に簡単に負けるように仕向けてくるのは獣のせいです。
一方調教師とは、「力が弱いが、一つのものを論理的に考える能力」です。例えば、目の前のお菓子を「お菓子だ、食べたい」で完結するのは獣ですが、その先にある「食べたら太る」や「太るなら食べない」といったところまで考えるのは調教師の能力ですね。
残念ながらパワーの面で調教師が獣に勝つことはありません。だから目の前の誘惑にすぐに負けてしまうんですよね…。でもこの本の中では、この獣の力を調教師の力でうまくコントロールすることで他の人にはない「莫大な力」が手に入るとしています。
その莫大な力を手に入れるのがこの本の趣旨なのです。
そのために獣を活かすためにやること、調教師を活かすためにやることがあります。
3 獣の能力を引き出すために大事な3つのこと
獣の能力を引き出すのに必要なのは
1 餌を与える
2 報酬の期待を感じさせる
3 ルーティンを作る
の3つです。
簡単に解説すると、餌を与えるとは呼んで字の如く「頭に良いものを食べなさい」というものや、「集中力を上げるためにカフェインを取りなさい」と言った、体をそもそも組み替えるようなことを指しています。
報酬の期待を感じさせるというのは「これをやればもしかしたら何か達成するのではないか?」と感じさせることです。例えば、ゲームでももう少しで倒せそうな敵の方がスライムを狩るよりも楽しいですよね?そのように、適度に超えられそうで超えられない壁にぶち当たることで何かに熱中しましょう、というものです。
ルーティンを作るも読んで字の如くです。なんでもいいからルーティンを作りましょう。そうすれば、挑む準備ができて獣が目覚めますよ、というような内容です。
獣をうまく使うのにはこのような単純なことで、うまく飼い慣らす準備ができるものです。
それをさらにうまく動かすために、調教師の出番です。
4 調教師をうまく働かせるためにやる三大法則
調教師をうまく働かせるには
1 なりたい自分を描く
2 自分と距離を置く
3 諦める
の3つです。特に3番を見て絶望しないでください。
なりたい自分を描くというのは想像しやすいかなと思いますが、自分がこうありたい、とかんがえることでその方向に動き出すというものです。しかし、とくに注意してほしいのは、徹底的に思い込むことです。そして「自分はこれができて当然」とまでにセルフイメージを確定させるのです。
自分と距離を置く、というのはもし自分が誘惑に負けそうになるとき、「あ、誘惑に負けそうな自分がいるな」と達観し、「ほっといてまた勉強するか」というように、誘惑に付き合わないようにすることです。誘惑を抑え込もうとすると、かえって反発してしっぺ返しを喰らいますので、抑えるのではなく、距離を置くのが大事なのです。
そして諦める。あまりに集中できない自分を責めてしまうと、自分は集中できない人間だとイメージしてしまいます。それではなりたい自分を描けないわけです。ある程度は諦めて、こんなもんだと割り切るのも大事です。
5 総括
このように、獣を飼い慣らす、調教師を利用するの流れで最初にあった集中力の底上げができるというのがこの本の結論です。
獣の部分を体を組み替え、挑ませるようにしむけ、その力を引き出せるように準備します。そして調教師によってその獣を自分の好きな方向へと誘うのです。
この流れでヤバい集中力を手に入れましょうというのがこの本ですね。もちろん本の中にはもっと詳しい行動指針が示されていますので、ぜひ一度読んでみてください。
私もこの本を参考に、バッキバキの集中力を得てもっと勉強していくようにします。
では別の本の紹介の時にまたお会いしましょう…!