「40歳になったことだし」
森下えみこさんのエッセイを読む。
今では色んな本で、森下さんの挿絵を見る事ができるし、ご本人による著作も複数ある。
この本は書き下ろしのコミックエッセイ。
紆余曲折を経て、フリーのイラストレーターとして活動する森下さん。
静岡県在住、もうすぐ40才で、独身という中で同窓会の案内が来たとき、自分の状況を省みて、
社会の中で、一般的な人生のレールから外れている
と思うようになる。
「これから私の40代って
どうなっていくのかな」
そんな中、打ち合わせと観光も兼ねて訪れた東京で、不動産屋に立ち寄った事がきっかけで、長年憧れだった東京暮らしを始める。
「東京に住んでみたい、でも無理だろう」を20年反芻し続けていたのに、ふとしたはずみで部屋を借りようと決めてしまった。
「大事なことをふぁーっと決めがち…」
物件を決めた後も、我に返って不安になる。
一方でこうも考える。
「でもきっと 同じ不安でも
新しい不安の方が いい気がする」
バタバタの引っ越しを経て、始まった
東京での暮らし。
打ち合わせを対面でできるようになるなど
仕事はしやすくなったけど、
片付けで疲れ果てたり、
地理に慣れていない為、
近所で迷子になったり、
ホームパーティーに呼ばれた後、
ホストと自分との違いに落ち込んだり。
日々色んなハプニングもある。
引っ越した後、よく聞かれることとして、
「なんで東京に来たんですか?」
その質問に対して、
上手く答えられない森下さん。
でも打ち合わせの帰り道で、
出版社の方に偶然会い、
「上京されたんですね」という
言葉に対して、咄嗟に出た一言に、
森下さん自身が勇気づけられる。
40代になっても、独身でも、
フリーランスでも。
ゆるゆるとささやかに生きていく。
この本は、弱気になりそうな時、
手に取りたくなる本だなあと思う。
来年40歳になる自分の姿を浮かべながら。