見出し画像

「もりあがれ!タイダーン」

「子どもの頃のボクよ聞いてくれ
キミは おじさんになってから 
有名人と対談するんだぜ」

上記は「もりあがれ!タイダーン」
オープニングテーマからの引用。

この本の内容は、
世界の危機、(正確にいうと某出版社の定期刊行が脅かされている状況)を何とかするため、絵本作家のヨシタケシンスケさんが、さまざまな著名人と対談するというもの。

タイトルといい、ロボットの形といい、オープニングテーマといい、某名作ロボットアニメを参考にしたとしか思えない。

対談相手は絵を生業としている方が多いけど、翻訳者やコピーライターなど様々なジャンルで活躍する方々も登場する。

さかざきちはるさんの、クライアントワークに対する考え方に共感したり。

junaidaさんによる、記憶したものをベースに空想の描写を作り出す凄さに感服したり。

一見穏やかに見えても、経験から得た強さをもとに進むブレイディみかこさんのハングリーさに圧倒されたり。

糸井重里さんとの対談が始まった時は、とても緊張していたけど、終わった時にはホカホカ状態に変化していたという。(対談のプロ、いう表現に納得)

特に印象に残ったのは「伝説に迫る!タイダーン」に登場したかこさとしさん。
かこさとしさんは、すでに2018年に亡くなっているけれど、その前に奇跡的に対談ができたらしい。

かこさんといえば「からすのパン屋さん」、「どろぼうがっこう」、「だるまちゃん」など数々の絵本の名作がある一方、美しい絵もたくさん描いている。

これだけ聞くと、専門的に絵を学んだと思いがちだけど、実は完全に理系出身(工学博士)だと知り、ビックリ。

セツルメント活動を通じて、子どもたちと接する中で紡ぎ出すかこさん。

そして仕事の中で出会う大人たち(工場の労働者が多い)や、子供達に対して敬意を持って接していたことが、言葉の端々から見える。

作成されたお話が、非常にシビアに子供から「面白い」「つまらない」とジャッジされる一方で、面白いと思ってもらえたお話は、子供たちが食い入るように見るという。

他の対談でも、かこさんの本がいくつか紹介されていることからも、この方が与えた影響は大きいんだということがわかる。
(絵本以外の本もあり、興味津々)

またこの本には、対談の後、書かれるヨシタケさんの私見も掲載されている。

特に対談相手から提示されたお題に対して漫画を描くコーナーがあり、そこでヨシタケさんが描いた漫画も面白かった。
(恋をしているって、どの数値で測るのかな?)

ヨシタケさんのほのぼのとしたタッチの絵とは裏腹に、対談の中身は濃厚。
この本の中に紹介されている本名面白そうなものが多かったので、面白い本を探している人にもオススメだと思う。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集