伝説・伝承の宝庫。柳田国男の名著「遠野物語」を超おおざっぱにまとめてみた。
本日紹介する作品は、柳田国男の『遠野物語』です。「夜に口笛を吹くと泥棒が来る」「夜に爪を切ると親の死に目に会えない」などの伝承を集めた説話集で、日本の民俗学の先駆けと称されることもあります。どこかで耳にしたことのあるような、お話のオンパレードですので、創作のネタを探している人は参考になる作品かもしれません。
遠野物語ってどんな作品
遠野物語は柳田国男が1910年に発表した作品です。内容は岩手県遠野地方に伝わる逸話・伝承などを記した逸話集になっています。全119話で構成されており、言い伝え・妖怪・土着信仰など多岐にわたる逸話が収録されています。全てを紹介することは難しいので、まとめれる範囲で遠野地方に伝わっているお話を紹介したいと思います。
遠野物語の要約
柳田国男曰く、遠野地方は
・女神がおり、その逆鱗に触れると石にされてしまう。
・神隠しが起きる事がある。
・狂ってしまい母殺しを敢行した息子がいる
・村の伝承に詳しい臭い爺さんがおり、孤独死した
・オクナイサマとオシラサマという神様が信仰されている
・石で男性器を模して、コンセサマという神様を祀ることも多い
・ザシキワラシが現れることもある
・ザシキワラシは男の子場合も、女の子も場合もある
・幽霊が出る
・神仏の像を作るのに長けた一族が住んでいる
・米粒が黄金に代わる石臼がある
・白い鹿が祀られている
・山には飛ぶように移動する髪の長い女がいる
・遠野地方のオオカミはやたらと強い
・「熊」という名前のクマと殴り合いをして無事に帰ってきた男がいる
・銃をはじく毛皮を持った猿がいる
・仙人もいる
・妹が姉を包丁で殺すと、姉が鳥になって飛んで行った
・湖に斧を落とすと、女性が現れて返してくれる
・河童が住んでいる
・山の中にマヨヒガと言われる不思議な家がある
・ぞんざいな扱いをしたことを責めると罰があたるカクラサマという座像がある
・人を見るとゲタゲタと笑う女がおり、人をどこかに連れ去ってしまうらしい
・西洋人が住んでおり西洋風の館もあった
・人をだます、化け狐がいる
・宙に浮く石がある
・火事を予測する白痴の男がいる
・雪女もいる
・蜃気楼が見える時があり、映る風景は大抵外国である
・山の神から占術を教わった娘がいる
「遠野物語」を読んだ感想
作中では岩手県の遠野地方はおとぎ話の国なのか?と思うほどに、多種多様な伝承が存在しています。自然と共に暮らし、自然を尊重する。そんな暮らし方をしているからこそ、これだけ多くの伝承が残っているんだなと感じました。
僕は妖怪や伝承の類がものすごく好きなので、遠野地方に行きたくなりました。その一方で遠野地方に実際に住むには勇気がいるだろうなと感じです。どこを歩いても妖怪だらけですし。トラブルには事欠きません。笑
「遠野物語」を文学的な作品として考えると、あまり読みやすい文章ではなく資料のような側面が強く出ています。なので文学的な面白さを求めて読むと少しがっかりするかもしれません。一方で、民俗学などに興味のある人にとってはこれほど面白い作品はありません。
いつか岩手県の遠野地方に行くことがあれば、豊かな自然を写真もしくは動画に納めて皆さんにお伝えしたいと思います。もしかしたら、妖怪たちと仲良くなれるかもしれません。まだ見ぬ自然と妖怪たちに思い込めながら筆を擱かせていただきます。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。