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穏やかな世界滅没「終末のフール」を紹介。

 どうも宇宙ゴリラです。コロナウィルスの第二波が本格化して、再び外出しづらい日々が続いています。

    巷では、コロナウィルスと同じ感染症をテーマにしたカミュの「ペスト」が人気を博しているようです。作中に登場する役人たちの反応が現代社会と酷似していることから、「予言書のようだ」という声が出るほどです。

 この「ペスト」のように、絶望的な状況に置かれた人間の心理や行動を描いた作品というのは数多くあります。その中でも、「今、日本が置かれている状況に似ているな」と感じる作品がありました。その作品は、伊坂幸太郎:作「終末のフール」です。

というわけで、今日は大人気作家”伊坂幸太郎”の「終末のフール」について紹介していきます。

簡単なあらすじ

   八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃。当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。そんな世界で、仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちはどのように生きていくのか?

   8つの短編小説からなる、本作は2009年に刊行されました。8つの短編小説のタイトルが、漫才コンビ「ハライチ」のネタに見えるということで一時期話題にもなったりしました。

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確かに見える。笑

終末のフールと現代日本の共通点

   終末のフールは、小惑星の衝突によって地球が滅亡するという世界観です。作中で、小惑星衝突のニュースが報道されはじめた時は、世界中でパニックが起き犯罪や暴動が多発し多くの人が亡くなりました。しかし、それもしばらくすると落ち着いて、小康状態になったという状態からお話は始まります。

 3年後の小惑星衝突を控えているにも関わらず、人々の雰囲気は穏やかです。まるで、地球が滅亡するなんていうことは信じていないような空気感さえあります。新しい命を授かる人や、夢をかなえようとする人すらいます。一方で、本気で地球滅亡を回避しようと、シェルターの準備をしたり、宗教にすがる人達も少なからず存在しています。

 つまり、一見いつもと同じ生活を送っているように見えて、危険がすぐ近くにまで迫っているというのが「終末のフール」における日本の姿なのです。私はこの日本の姿が、コロナウィルスの問題に直面した現代日本に似ているように思えてなりません。

   コロナウィルスで地球が滅亡することは多分ないはず…ですが、なんとなく世界が嫌な方向に向かっているような感覚はあると思います。「緩やかに、穏やかに終わりに近づく感覚」この感覚こそが、終末のフールという作品の魅力ではないでしょうか。

   あなたは世界が滅びるとしたら、どのように生きていきますか?

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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