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2024/12/8読書感想文

『るるるるん vol.5 ーかかとー』

今回はなんと私がお題を提供しました!身体の一部をテーマにした作品が読みたくて、かかとに決定。るるるるんのみなさん、私のお題で小説を書いていただきありがとうございました。
今日、一気に読みました。こう来たか!という作品ばかりです。あくまでも私個人の感想ですが、読者の方たちと感想を言い合うのも楽しそう。ぜひ、みなさんも感想を教えてください。
※私の感想文はネタバレがあるかも

『るるるるん vol.5 ーかかとー』
表紙デザイン・挿画・組版を担当したのは唐澤龍彦さんです

『惑星たち』 3月クララ

物語のシーンひとつひとつが映画のように思えて、私の勝手なイメージで読み進めていった。読了後『付箋をはがし、かかとで踊る』を読んで私のイメージとは異なる部分もあったが、率直な感想として述べたいと思う。
登場人物のイアンは『哀れなるものたち』の外科医ゴドウィン・バクスターをイメージしたので、住んでいる家もその屋敷を思い描いた。なんだか、まともな人間が1人も出てこない。隙間に潜むPJの描写から『箱男』を思い出した。〈PJは館に馴染んでいった〉の意味合いが「それかよ」と突っ込みたくなってニヤニヤした。アドバルーンを見守るバイトの話をどこかで見聞きしたことがあるような……と書いたところで何も思い出せず。そして踵。物語のキーポイントになっている。そうだ、アザといえば『闇のパープル・アイ』なのだがそれはまた別の話。キムの体型が美味しそうで恐ろしくなる。読了後タイトルを読み返して「そっか惑星たちか!惑星かー」と合点がいった。まともな人間が1人も出てこないはずだ。

『律動』 UNI

UNIさんの作品には「あ、これ以前UNIさんが話していたかも」とUNIさんの一部を思い出すことがある。今回は〈出そうと思った声がうまく出せないと、自分がますます薄くなっていく〉である。
共に生活する2人の「そういうことじゃなくてさ……」という会話のやり取りに共感し「私も気をつけよ」という気持ちになる。質問攻めとか助けになれないかとか、そういうこと。
〈わたしの心は、かかとにあるんだ〉
うわーパンチラインきたぞと興奮しつつも、落ち着け私、と冷静になって私の心はどこにあるのかを考えた。生まれてこのかた心の居場所を考えたことがない。
そんなことを考えながら読み進めたところに熊登場。普通に熊だ。笑った。笑ってしまう。笑っていいのかなって思ったけど笑った。そして爪。東陽の心は爪にあるのだろうか。
スーパーに熊が立てこもるニュースがあったばかりだが、UNIさんの作品のように熊と人間が共生する世界になればいいのにと思った。

『陰膳とスパゲッティ』 かとうひろみ

かとうさんの作品を読むまで忘れていたけれど〈はい、葉流一丁目ぇ〜〉で、あーそうだった、かとうさんの作品は続いているのだと過去作品を思い出しながら読み進めた(登場人物の名前を確認したりしながら)。
いるはずのない義父との遭遇や行方不明といった不穏な空気を「そうそう、この味」みたいな気分で読む。〈「はながれ」という寿司屋〉そして稲荷寿司で「これってもしや……」となる。そして真砂子が芙美を待たずに干瓢巻きを口に入れるところで、「これは間違いなくキツネでは……」と先読みした私を大きく裏切るかとうさん。
幽霊も怖いけど、やっぱり生きているというか生き残った人間のほうが怖い。ザマアミロは、かとうさんからのメッセージ?なんて深読みしたりなんかしちゃったけど。勝手にかとうさんワールドなんて名付けてはいけないのだ。
ところで、かかとは?出てきますよ、かかと。かかとには強い力があるのだよ。

GO ON編集人 牧田

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