サザエさんから聴こえる声(再訪アート文化会館)
駅前のスーパーを通り越し踏切を渡る。猪子山を右手に瓜生川沿いの小路を蝉の声を聴きながら、汗を拭きながら20分程度で止揚学園に到着。
先日初めて知的障害者の福祉施設を訪問した後、頭から離れずお礼とともにすぐに次のアポをとって再訪。、、。どんな形の関わり方がいいのだろうか。
「あ、やっしーさんですか。お待ちしていました。」
正面玄関のある通路から、「仲間」がいる食堂の様子を覗くと、前回はみかけなかった自分の母親と同じ年齢くらいの女性に声をかけられる。
やっていた仕事の手をとめ、応接室へ案内される。エアコンのスイッチを入れてもらい、お茶まですすめられて、恐縮していると、前回訪問した時に館内を案内いただいた女性ともう一人。こちらは初対面の女性だが、名前を聴くとメールでやり取りしていた方だとすぐにわかる。
あらためて想いを伝えてみる
「今日のお手伝いの予定は、14時過ぎまでで・・・」
お茶をいただきながら、改めて軽く自己紹介をして、事務的な話を済ませると、その後もスルスルと言葉が出てくる・・。
「、、ところで、あれから少し考えていたんです、これまで企業でコミュニケーション、コミュニティ構築など人事/企画の仕事もしてきたので、それを活かして、、。最近はコーチングなんかも学んだりして、社外でのコミュニティ創りなんかも、、。
この施設に展示されているアートや施設の関係者全員が作っているコミュニティの文化に感動していて、そうしたものって中にいるとわからないと思いますが、僕のように外からみると本当に素晴らしい資産にみえるのです。その資産のもっている可能性をもっともっと引き出したい。そうすることで、施設の仲間ももっと輝くと思うし、学園の外にいる人も学園の仲間と接することで感じたり、学んだりすることも絶対にあるはず。その積み重ねによって多様性のあるいい社会ができると思うのです。
ただ、そうしたコミュニティ創りの活動もその先にある活動も、まずは施設の方との関係性が大前提にないと成立しない。なので、まずはみなさんの顔と名前をしっかり覚えたい。僕の存在をみなさんに覚えていただきたいと思っているのです。そのために1週間のうちどこか決まった日時でお手伝いさせていただく時間を創っていただけませんか」
・・と考えていたことをそのままぶつけてみる。
多様性への気づきから止揚する想い
「そうですね、私たちももっとSNSでの発信なんかももっとやりたいと思っていたりしますよ。外部との交流も時々高校生も宿泊されたりしていますが、高校生は体験を通して、いろんな自分の「引き出し」を開けて帰って行かれますよ。おっしゃる通り、社会に対してこの学園としてもっと貢献できる面かもしれないですね。ただ、外部との接触は難しい面もあり、入所者の方のご家族の方の気持ちにも配慮しながら対応しないといけなくて、例えば、本人が映っている写真のネット投稿はお断りしていますし、いろいろと気を付ける部分もありましてね・・」
確かにその通り・・。写真などご本人のプライバシーには気を付けていたつもりだったけれど、学園にいる人との関係性づくりだけでなく、学園の周囲にいる人たちとの関係もしっかり構築しないといけない。また、長い間しっかりした活動をされてきている歴史があるのだから、「自分が」何か特別な新しいものを外から持ち込んだり、頑張らなくても、学園の良さを見つけて引き出していくだけで、素晴らしい学びの機会になりそう。
「そうですね、少し時間をかけて関係を創るところから始めさせてください。名前と顔を覚えるところから中長期で関わりたいと思っています。ただ、私も人生の「今、この瞬間」のタイミングにこうしてみなさんと出会い、お手伝いしたいと思っていますが、自分の仕事や家庭の状況も変わってくるということは自分でもわかっています。なので、それほどゆっくりもしていられない気持ちも持っているのです。今しかないこのタイミング。勝手な私の個人的な事情で恐縮ですが・・。なので学園に訪問できるタイミングも週1といわず、来られるときには訪問したいです」、、
「わかっていますよ、もちろん無理のない範囲でいつでも来ていただきたいです。ただ、スケジュールはその日その日で変わるから、〇〇をしてください、、という形でお誘いできないので、ご理解いただきたいのです」と、相変わらず寛大でInclsusiveなレスポンスをいただく。地に足のついた多様性に対する考え方がいろいろなところに浸透している。
30分程度の会話だったが、お互いの気持ちを確かめ合う、また真の多様性について肌感覚で感じることができた貴重な経験と大事な時間。
今日はサザエさん
気づくと12時になり食事の時間。今日はけんちん汁、混ぜご飯、デザートにケーキ。前回と同じようにお祈りの挨拶と「いただきます」の挨拶。
今日のテーブルでは知能障害のある「仲間」と一緒に、介助をする職員2名の方とも一緒になり、いろんな話を聞かせてもらった。施設の事情や雰囲気を知るうえでとてもいい時間だったが、プライバシーもあるので割愛。
今回は、食後の掃除に加えて歯磨きと入れ歯のクリーニングをしてちょっとした介護体験。そういえば、自分のおじいちゃんやおばあちゃんも長い間介護生活をおくっていたけれど、何もしてあげられなかったな・・。
食後は7月生まれの「仲間」の誕生日祝いということで、ちょっとしたアクティビティ。僕は、学園のみなさんが作った誕生日カードを進呈する大役を拝命し、前回と同じくみんなで歌を歌う。誕生日を迎えた仲間の好きな「サザエさん」の歌を一緒に歌いながら、「家族」について改めて想いを馳せる。
前回訪問note