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#29_目的化する「自己調整」

「自己調整」がブームです。

教育関係の議論を耳にすると、必ずと言っていいほど「自己調整」というキーワードが出てきます。「自己調整」とは、自分の現状をとらえ、自分で立てた目標に照らして学びの計画を立て、自分で学びを進めていくことです。

「自己調整」はとても大切な力です。この「自己調整」がうまくできないと、ゆとりがありすぎて、本来伸ばせるはずだった力を伸ばせなくなるかもしれません。また、ゆとりがなさすぎて、体力や気力が削られ、本来の目標を実現することができなくなるかもしれません。

この「自己調整」という言葉が教育の世界で敷衍されるにつれて、「どのように自己調整の力を高めていくことができるか」が大きな論点となってきているように感じます。

しかし、ここで注意したいのは、Activity trapです。

「自己調整する力を高めること」は、「自分が立てた目標を実現するため」です。自己調整することは、目的ではなく、方法なのです。ここを見誤ってしまうと、「とにかく自己調整をするんだ」と言って、子どもたちにスケジュールの立て方やふりかえりのしかたなどの方法を教え、実行するように求めていくことになります。すると、いつのまにか「スケジュールを立てること」や「ふりかえりをすること」そのものが目的となってしまい、自分で立てたはずの目標を見失ってしまうことにもなりかねないのです。

さらに、自己調整をするためには、何よりも「体力」が必要です。いくらスケジュール能力があっても、いくらふりかえりが上手になっても、いくら高い目標を設定していたとしても、子どもたちに「体力」がなければ、うまくいくものもうまくいかないのだろうと思います。

「十分な体力」を土台として、スケジュール管理やふりかえりなどの多様な方法を携え、自己調整を実践することを通して、自分が立てた目標を実現していくこと。

このことを忘れずに、子どもたちと共に「自己調整する力」を高めていこうと思います。

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