それでも研究を続ける理由
研究者って、業務内容の割にお手当て少ないよね。
よく言われる話だ。耳が痛い。
場合によっては医学部ぐらい難しい勉強を続け、何とか業績を上げ論文を出し、晴れて大学や企業に務めても年収は全国平均と大差無いことが多いそうだ。
私は、頭とか要領がいい方では決してない。
三度の飯より勉強が好きな訳でもない。
特別実家が太いとかパトロンがいるとか(?)のアドバンテージもない。
なのに研究に強い大学に入り、そのまま博士課程に進学し、いつのまにか研究を続ける道を選んでいた。
なぜなのか、としばらく考えてみたが、二つの理由が思い当たった。
第一の理由は「かっこいいから」
画家、バンドマン、スポーツ選手、パティシエ……
正直研究職に限らず、どの職業でも、第一線の世界は険しいものだと思う。人間の限界レベルで闘うからだ。
読む文献が海外のものばかりとなった時、自分が世界の限界に近づいていることを悟った。少し恐ろしさを感じたが、同時になんとも言い難い高揚感を感じた。
「苦労して登った山ほど、山頂からの景色は美しい」私の恩師の言葉だ。私はきっとその景色に取り憑かれている。努力、友情、勝利。少年漫画のようなヒーローに未だに憧れている。
アシリパさんが見た景色を私も見たい。ムッタとヒビトが生きる世界に私も生きたい。私を研究生活にモチベートする要因の一つに、最前線に立つ勇者への漠然とした憧れは必ずある。
第二の理由は、単純だ。
結局「たまたま折れずに続いているだけ」だろうと思う。
そもそものきっかけは、理数科の高校に入ったことだ。やはり理数科での授業は、研究者やエンジニアへの進路を意識させるものが多い。
その中で実験や勉強などのタスクが沢山あふれる中で、それらを苦くても咀嚼し続けることに慣れたのだと思う。正直、研究はきついし、何度も辞めたいと思ったことはある。だが、辞めたいダルいと思いながらも無になりながら学校には通い、白衣に腕を通した。辞めなかった理由は私にも分からない。だが、「15の頃から22の今までなんとなく続いている」ということが案外財産になっているのだと思う。
どちらの理由も、案外色々な分野の色々な人に共通するものではないだろうか。
気が向けば、これを読んだあなたのスペシャリティについてもお話を聞かせて欲しい。