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息子へ

 世界でいちばん透きとおった物語  著・杉井 光

初めて読む作家さんです。読書家の間で流行り出しつつあったので手に取ってみました。電撃小説大賞の銀賞を受賞していて、主にライト文芸レーベルを基盤として活躍してるみたいですね。まず、あらすじをざっくりいいますと、

 大御所ミステリ作家の宮内彰吾の婚外子である主人公が、父親が死ぬ間際に執筆していたという『世界でいちばん透きとおった物語』を家族の依頼を受けて探す

といった感じの話になっています。予測不能結末が待つ衝撃の物語ってあったので、最近話題にもなった夕木春央さんの『方舟』、くわがきあゆさんの『レモンと殺人鬼』みたいなタイプなのかしらと思いながら読み始めました。

やっぱり、予測不能のとか衝撃の結末っていわれると、身構えて読んじゃいますね。悪い意味とかではなくて、ワクワク胸高まる感じです。
とりあえず、数ページ読み始めてみたら、冒頭の推理小説に例えられている編集者とや校正者のくだりで惹きつけられて、ページを捲る手が止まらなくなっていきました。

 馴染みのホステスや同業者である作家などに話を聞くうちに、父親の存在が『知らない男』から『よくわからない男』になっていく。そして〝人を殺そうとしたことがある〟と物騒なフレーズが舞い降りてくる。それをあちこちで言っていたらしいこともわかる。この時点で「えっ!?どゆこと?」と、いっそう話に惹きつけられる。

 作中のなかに実際の作家である、宮部みゆきやアンソニー・ホロビッツ、京極夏彦が出てきて杉井さんかなりの読書家じゃないかとお見受けする。京極夏彦にいたっては、物語の鍵さえ握っている。

 
 さて結末はといいますと、肩透かしをくらったような気がするといった感が否めません。けど、悪い意味ではなくて、一度も会うことのなかった息子への不器用な優しさが感じられ爽やかな余韻に浸っています。案外、彼が闘病中の時なんかにこっそり様子を見に来てたんじゃないかなんて思っちゃいます。

以上、ここまで拙い感想を読んでいだだきありがとうございます。
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