忘れ得ぬ人々・第13回「ここはひまわり通り」
以前勤めていた職場の裏通りに、こぢんまりとした洋食屋さんがあった。おじさんシェフがひとりで切り盛りしていて、料理の腕はたしかだし、値段も手頃だった。同僚たちは誘い合ってランチに通っていたようだったが、私は少し時間をずらしてもっぱらひとりでランチを食べに行った。店名は、「ひまわり」の学名に由来した名前だった。この洋食屋さんの近くに「ひまわり」という定食屋さんもあって、私はこの裏通りを勝手に「ひまわり通り」と名づけていた。何度か通ううちに、すっかりとシェフに顔を覚えられた。
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