マガジンのカバー画像

回想

28
本から連想した思い出話。
運営しているクリエイター

記事一覧

回想・松下竜一『暗闇に耐える思想 松下竜一講演録』(花乱社選書、2012年)

松下竜一、という作家がいた。 1937年、大分県中津市で生まれ、高校卒業後、家庭の事情で進学…

三上喜孝
1か月前
2

回想·表彰式エレジー

「賞」と名のつくものをもらったのは、中学3年の時、市のロータリークラブが主催する作文コン…

三上喜孝
1か月前
2

回想・日東寺書店

島田潤一郎『あしたから古本屋』(ちくま文庫、2022年、初出2014年)には、ひとり出版社・夏葉…

三上喜孝
3か月前
3

回想・手塚治虫『ゴッドファーザーの息子』(初出1973年)

手塚治虫の短編漫画「ゴッドファーザーの息子」を読んでいたら、自分の中学時代のことを思い出…

三上喜孝
4か月前
2

回想・中村雅俊「ふれあい」

中学時代の思い出を語ろうか。 中学校1年のときに、クラス対抗の合唱コンクールがあった。 A…

三上喜孝
4か月前
2

回想・笹山敬輔『笑いの正解 東京喜劇と伊東四朗』(文藝春秋、2024年)

正直に告白すると、…というほど大げさなことではないのだが、子どもの頃は、ドリフターズやひ…

三上喜孝
4か月前
4

回想・阿佐ヶ谷姉妹『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』(幻冬舎文庫、2020年、初出2018年)

『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』が刊行された年が2018年ということは、私の娘と同い年ということになる。この本が文庫化された折に手に入れたのだが、文庫化されてからやや経って、中央線沿線の書店に阿佐ヶ谷姉妹のサイン入りの文庫本がゲリラ的に置かれたときがあり、サイン本を求めて中央線沿線の書店を彷徨い、買い直した。我ながらヒマな人生だ。 あらためて読むと姉のエリコさんと妹のミホさんの文体の違いが対照的で、とても面白い。どちらかといえばウェットな文体のエリコさんは人情話を得意と

回想・浦沢直樹作画・浦沢直樹・勝鹿北星・長崎尚志脚本『マスターキートン』(小学館…

『マスターキートン』の主人公は、考古学者の平賀・キートン・太一で、考古学ではメシが食えな…

三上喜孝
6か月前
3

回想・植本一子・滝口悠生『往復書簡 ひとりになること 花をおくるよ』(私家版、20…

以前の話。 職場の仕事部屋で仕事をしていると、夕方に職場の若者がたずねてきた。 「お伝えし…

三上喜孝
6か月前
4

読書と回想・大平しおり『大江戸ぱん屋事始』(角川文庫、2024年)

この文章を公開するのは、2024年4月12日、「パンの日」である。日本で初めてパンが本格的に製…

三上喜孝
7か月前
6

回想・ゴールデンヒストリー

もう少し坂本龍一さんのことを書く。 文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ」の「ザ・ゴー…

三上喜孝
7か月前
2

回想・文体の原点(後編)

(前回のあらすじ) 数年前に高校時代の唯一の親友である小林からもらったメールには、川上未映…

三上喜孝
7か月前
3

回想・文体の原点(前編)

高校時代の唯一の親友といってよい小林からは、たまに思い出したようにメールが来る。8年ほど…

三上喜孝
8か月前
6

回想・卒業文集

深刻な事件が起こるたびに、その事件の容疑者が書いた過去の卒業文集がなぜかほじくり返され、マスメディアに平気で晒される。むかしからそうである。一方で個人情報保護と言いつつも、なぜか卒業文集という、人生で最も恥ずかしい文章を顔写真とともに、マスコミは何のためらいもなくさらしている。「ほら、小さい頃からこの人は、金に執着するタイプだったんですよ」と、まるで鬼の首を取ったようにニュース番組やワイドショー番組の司会者が説明する。なぜ攻撃の矛先は、叩きやすい方にばかり向くのだろう。 ち