大沢たかお ×「王騎」
映画「キングダム 大将軍の帰還」を観ました。
素晴らしかったです。
( なお、冒頭の写真は、秦軍の兵士たちが将軍王騎を囲む終盤のシーンと、ちょっと雰囲気が似ている釧路湿原の写真です...。)
〈 映画『キングダム 大将軍の帰還』公式サイト / 2024年9月7日 〉
今まで、漫画は全巻読んでおり、内容は分かっていたのですが、鑑賞後にも良い余韻が続いています。
今作は、「映画 キングダム」の第4作目です。
1作目から3作目までは、Amazonプライムビデオで観ていました。
前作「キングダム 運命の炎」
前作は、私にとっては完全に闇商人紫夏の物語でした。
戦のシーンももちろんあったのですが、杏さん演じる紫夏の内面の強さと優しさが画面上に伝わり、後に秦王となる政とのやり取りが、私にはとても大きなものとして感じられたのです。
紫夏の「静」のたたずまいは、戦の「動」の迫力を凌駕していました。
今作「キングダム 大将軍の帰還」
さて、今作ですが、まずタイトルが秀逸です。
ネタバレになってしまいますので、その意味するところについて詳しくは書きません。
いわゆる「どんでん返し」とは違うのですが、最後のほうの秦王嬴政と飛信隊隊長信の言動によって、このタイトルが、考え得る最高のものであることが分かります。
脚本と演出、俳優陣の演技がすべて理想的に噛み合ったからこその、素晴らしいエンディングでした。
尾平(びへい)・尾到(びとう)兄弟
最初のクライマックスは、この兄弟と信とのやり取りです。
漫画で読んでいて結末が分かっていても、とても心に訴えるものがありました。
城戸村に残る兄弟の婚約者たちの姿と、弟尾到と信のやり取りを、とても丁寧に描いていたからこその感動でした。
ともすればアクションに目が行きがちなタイプの映画で、このような静かで、でも強い想いが画面に表れる演出は、とても良かったです。
大沢たかお × 王騎
凄かったです。
王騎は、漫画の中でも圧倒的な存在感を放っていますが、喋り方などとても特徴的なキャラクターです。
今作は、この王騎という「天下の大将軍」が主人公と言ってもよいでしょう。
それだけ作中で大きな割合を占めるこのキャラクターですが、その演技によって、
「とてつもない成功」
か
「映画の存在価値を否定するくらいの大失敗」
の二択しか生まれないと思います。
「大げさな…」
とお思いかもしれませんが、ご覧になった方なら、賛同していただけるのではないでしょうか。
下手をすると、
「なんかオウキとかいうキモいキャラクターが、主人公役の山﨑賢人君を差し置いて、いろいろやっていたけれども...。戦のシーンも語り口も、中途半端だったというか、やっぱりキモかったよね...。これまで評判が良さそうだから来てみたけど、ガッカリ😮💨」
となりかねなかったと、真剣に思います。
でも、大沢たかおさんは、その強烈なキャラクターに魂を入れ、深い真実性を見せてくれました。
「私」× 歩兵
そして「私」は、飛信隊の一歩兵として、王騎将軍と敵将との一騎打ちでは将軍を応援し、その一挙手一投足を目に焼き付け、一言一句を心に刻もうとしたのです。
それだけ、画面から伝わる王騎の存在感はリアルで、説得力のあるものでした。
俳優大沢たかお
私がこのように感じた王騎について、演じられた大沢たかおさんはどのような想いを抱いていたのでしょうか。
〈 クランクイン / 取材・文:田幸和歌子、写真:小川遼 〉
俳優の思い入れがどんなものであろうと、一旦公開されれば、作品は演者を含めた作り手を離れ、観客の手に委ねられます。
それでも、私が感動した王騎について、大沢さんが限界以上のところで必死に取り組まれていたというのは、なにかとても嬉しかったです。
大沢さんの気迫に、観客の私が呼応した、そんな繋がりのようなものが感じられました。
日本映画の中の「キングダム」
これまでの日本映画では、寅さんやドラえもん、名探偵コナンなど、長寿シリーズが一定数あります。
ただ、それらは、作品ごとにある程度ストーリーが独立しています。
キングダムのように「時系列を追って紡ぐ物語」のシリーズは、日本映画では思い当たりません。
そもそも、興行収入が相当よくなければ、そういう物語の映画化を続けることはできないでしょう。
監督やスタッフ、俳優陣が大切に作り上げ、それを観客である我々が「とても面白い」「迫力がすごい」「キャラクターたちのやり取りが感動する」と受け取ること、そして、そう感じる受け取り手の数がとても多くなること。
これは、単純な構図と言えそうですが、稀有なことだと考えるのです。
そして次回作へ
〈 YAHOO! JAPAN ニュース / 2024年9月2日17:02 配信 〉
そして、次回作の制作も決まったようです。
今から、とても楽しみです!!