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小説と詩を嗜んでみた。

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駄文ですが、お暇な時に。
運営しているクリエイター

#シロクマ文芸部

風なんて嫌いなのに。

風なんて嫌いなのに。

春と風。

これはセットでわたしの心を掻き乱すと同時に、飛んで来る花粉でわたしの眼も掻き乱す。

幾年月過ごしたあなたは、泣きながら。
それでも去り際に笑っていた。

知っている。
辛かった事を半分持って行ってあげる。
何度の春を過ごしただろうか。
今年はひとりの春が来る。

『生きろ』と告げて、頭を鷲掴みにしてクシャッとして別れたあの時の表情が瞼の奥に未だ在る。

もうじき桜が舞う。
わたしはそ

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布団から慕情を。

布団から慕情を。

布団から出られない休日が続く。
やらなきゃいけないことを後回しにしてしまうわたしはダメダメだ。

YouTubeからは音楽が流れている。

「あ」
聴いているようで聴いていなかった音楽に耳を傾けたら

聴こえてくる好きな歌。

『ねぇ、あなた知ってる?わたしの心はバラバラになっていくんだよ』
そんな事を言ってる英語詩だと思う。
今のわたしのように。

まだ残っているあなたの名残は
女々しく片隅に。

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雪化粧。【20字小説】

雪化粧。【20字小説】

こちらの企画に参加させていただきます。

雪化粧を街に

真白の世界でキミに

死化粧を。

お粗末さまでした。
┏○ペコッ
#シロクマ文芸部

痕。【書き初め20字小説】

痕。【書き初め20字小説】

気付けば布団に愛の痕

消すなんて出来ない。

参加させていただきます。

奇跡の日。

奇跡の日。

朝。ホームルームが始まる前の教室はいつもの様にやかましい。
その中でひとり。
秀才『黒駒 鹿之助』は、参考書と向かい合う。
度の強い眼鏡が似合う黒駒は、学校生活1度も笑ったことがない。

『おーい、みんな静かにしろー!』

教室の引き戸を開けて、先生が入ってくる。
ひとりではなくふたりで入ってきた。
見知らぬ制服の女子。
『転校生が今日からこのクラスに入るからなー!自己紹介するからちゃんと聞くよう

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珈琲とあなたとわたしの関係性。

珈琲とあなたとわたしの関係性。

あなたは甘い珈琲。
わたしは基本ブラック。

甘い珈琲しか飲めないあなた。
苦い珈琲が好みなわたし。
時折、甘い珈琲が欲しくなるわたし。

常に甘い言葉で満たされたい欲しい、あなた。
基本的にスッキリとしていたい、わたし。
時折、甘い雰囲気があればいい、わたし。

そこの温度差があなたを不機嫌にする。

上手に嘘がつけないわたしは、ブラックで珈琲を注文してしまうのだ。

『甘い珈琲飲みたかった?』

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わたしは走らない。

わたしは走らない。

歩行者信号が青から点滅して赤に変わろうとする際、走れば渡れそうだがわたしは走らない。

次の信号の変化を待つ5分あたりが惜しい人間になりたくない。

駅のホームの階段。
乗りたい電車が出そうなベルが耳を劈く。走れば乗れるかもしれないがわたしは走らない。
次の電車を待つ長くても10分を惜しむ人間になりたくないから。

土日祝日の会社帰りのバス。
駅から出たらバスターミナル。
乗りたいバスが見えて、乗

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珈琲日和。【シロクマ文芸部】

珈琲日和。【シロクマ文芸部】

天気は快晴。
まだ夏の名残があって、湿気っぽい朝。
出勤の道程にある、ほんの一息入れるスポット『タバコロード』

メイン通りの裏手にある、灰皿を用意してくれている道だ。
自販機もあって珈琲も揃ってる。
快晴の今日はスッキリ飲めるブラック。
紫煙を空へ放ちながら飲む、苦く黒い液体は頭を覚醒へと導く。
今日は黒色珈琲日和。

天気は曇天。
小雨混じりの出勤。
気圧の変化なのか少し頭痛。
『タバコロード

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