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わたしは走らない。

歩行者信号が青から点滅して赤に変わろうとする際、走れば渡れそうだがわたしは走らない。

次の信号の変化を待つ5分あたりが惜しい人間になりたくない。

駅のホームの階段。
乗りたい電車が出そうなベルが耳を劈く。走れば乗れるかもしれないがわたしは走らない。
次の電車を待つ長くても10分を惜しむ人間になりたくないから。

土日祝日の会社帰りのバス。
駅から出たらバスターミナル。
乗りたいバスが見えて、乗客が乗り始めている。走れば乗れるかもしれないがわたしは走らない。

…………本数が少ない土日祝日の夜。
30分待つのは……惜しい。

走ればよかった……か。



#シロクマ文芸部
#短編小説

ギリギリですが、参加させていただきました。

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暁月夜 まくら
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