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【書評】~職業人生の答え合わせ 『佐久間宣行のずるい仕事術』/佐久間宣行~

人より少しばかり回り道をしつつ、社会に出て15年。
転職はしたものの、専門職として、同じ分野でずっと働いてきた。

社会人15年目と言えば、中堅ポジションである。
なのに、私は社会人としての私に自信がなかった。
ずっとずっと、自信がなかった。

社会人1年目の時が不安なのは分かる。
けれどそれから15年経った今も不安だらけだし、その間も不安だった。
ずっとずっと、不安だった。

必死で頑張っても、知識が積みあがっている実感がない。
あらゆる局面でどう判断したらいいか、分からない。
どう方針を示したらいいかも、これで合っているのかも、全部、分からない。


そんな自分に一筋の希望と自信を与えてくれた一冊がある。

『佐久間宣行のずるい仕事術』


本書は、元テレビ東京のプロデューサーで、現在はラジオパーソナリティーやYou Tuberとしても活躍する佐久間宣行氏が、自身の職業人生を振り返りながら実践してきた仕事の方法や考え方がエピソードとともに紹介されている。


キーワードそのものはいわゆるビジネス本や自己啓発本に載っていそうな、基本的であたりまえなものもある。

上司の立て方や、ホウレンソウ、謝罪のしかた。
地味に思える雑用を一生懸命頑張ること。
チームマネジメントや家庭との両立。
人間関係や進路に迷った時の判断の視点。

働く中でいっけん当然に思えることが、佐久間氏ならではのそれを裏付ける経験やエピソードとともに語られることで、その重要さが実感できる。

新たな気付きもあれば、すでに実践してきているものもある。

たとえば、会議の進め方。
多くの団体や会議体の事務局を担うことが多かった私は、会議を進行する機会は多い方だった。
上層部からは、「私たちの組織は『会議をまわすプロ』でないといけない」と言い聞かされてきた。

その中で教わってきたこと、叩き込まれてきたことが本書でも紹介されていたとき、私はすごく安心したのだ。

何も、学んでないわけではなかった。
もちろんうまくできていなかったことだらけだし、今もまだ自信はない。
でもこうして社会で成功を収めてきた人が著書で述べていることを、私もしっかり学んできたし、確かにそれが中にあるんだと実感できた。

そうした「あたりまえの仕事術」や「ライフハック」を自分の実践や経験といかに結び付けて語れるか。
自分のものとして咀嚼できているか。
自信の有無はその差なのかも知れないと感じる。

そして本書ではその自信のなさについても、こう触れられている。

どれだけキャリアを積んだところで「よし、十分、力がついた」とはなかなかならない。

佐久間宣行のずるい仕事術より

自信がないのもあたりまえのこと。
それでも挑戦してくことの大切さについて触れられている。


読書サイトなどで本書のレビューを読んでいると、
「もっと早く読んでいたら私の職業人生が変わっていたかも」
といった声も多い。

本書は社会人になったばかりの人が読めば、もちろん役立つ仕事術がいっぱいあるだろう。

しかし、すでに社会人として経験を積んだ人にとっても、さまざまな局面の答え合わせとして役立つ内容であると感じる。


今回本書を読んで、私が実践したいと思ったのは、

「楽しそう」を最強のアピールにする
とにかく楽しそうに、ご機嫌に働く。
やりたい仕事をやっているのに言い訳をしたり不機嫌だったりすると周囲にも悪影響である。

佐久間宣行のずるい仕事術より要約

ということ。

自分もやりたいことがしたくて転職したにもかかわらず、うまくいかないことだらけで、環境や待遇にも不平不満ばかりだったと気づいた。

いろいろあっても、「やりたい」と思って選んだ道なのだから、嘘でもいいから、楽しいと思って働かないと。
そう改めて気づかせてもらった。


仕事をしてきた人にとって、きっとたくさんの気付きがあるはず。
自身の経験とも照らし合わせてぜひ読んで欲しい一書である。



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