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【書評】『自ら考え育つ環境づくり』/特例認定NPO法人ASOVIVA


昨年10月の文部科学省の発表によると、2022年度(令和4年)の小中学校の不登校の児童数は約29万9000人。

その20年前にあたる2002年(平成14年)の不登校児童数は131000人でした。
少子化で児童の数は減っているにも関わらず、不登校は増え続けています。


本書は、大阪府南部にある、学校に行けない・行かない選択肢をした児童たちの通うフリースクール『ASOVIVA』の立ち上げから5年の軌跡や実践が綴られた一書です。

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先ほど比較した20年前、当時高校生だった私は、まさに不登校でした。

電車に乗ると動悸が止まらなくなり、乗り物恐怖が発動。

教室も怖くて入れず、仮に行けても別室登校。

みんなと同じように学びたい、青春したい。

そんな気持ちを抱えながら、自宅で何もできずに天井を見上げる日々。

自宅の外のすべてが怖く、学校に限らず外出できなかったその日々はまさに地獄のようでした。

その苦しみはどこから来たのか。

それは当時の私のとって、学校が世界のすべてだったからだと思います。

すべてである学校に行けない自分は、社会から取り残された存在になってしまうし、将来も閉ざされた人間である。

そんな絶望が私を支配していました。

もし、自身が受け入れられる場所が他にあったら。
私の青春は、また違ったものであったかも知れません。


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『ASOVIVA』は現在代表理事である長村知愛さんが、小学校5年生で学校に行かない選択をしたことから始まりました。

知愛さんの、
「お母さん、わたしはどこに行ったらいいの?」
の一言で、母である吉村かおりさんは動き始めます。

「無いなら、創るしかない!」
の精神で、かおりさんをはじめとしたスタッフはスクールづくりを視野に入れた活動を開始します。

多くの協力者を巻き込みながら、数年後には念願のフリースクールをオープンされました。

ASOVIVAでは過ごし方は自由。
全部、子どもたちが自分自身で決めます。
必要なことはスタッフと子どもたち全員で話し合い決めていきます。

子どもたちはやりたい活動があればミーティングで提案。
企画・参加者の取りまとめや予算の執行なども、すべて行います。

本書では、そうした日々の中で、自身で学び、それを受け入れられ見守られる環境の中で、成長する子どもたちの様子が綴られています。

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紆余曲折を経て大学に入った私は、大学でもやはり生きづらい日々を送っていました。

そんな時出会った、人生の恩人ともいえる社会活動家の方が、私にかけてくれた言葉があります。

「いろんな世界を見ること」
「そうすれば、今の自分のいる世界の狭さに気づく」

学校で学べることは本当にたくさんある。
でも学びも、居場所も、学校だけではない。

サードプレイス(学校や職場、自宅以外の第3の居場所)の重要性が叫ばれています。

今苦しみの渦中にある人も、今いる世界が全てではなく、きっと自分が受け入れられる、自分でいられる場所があるはず。

そうした安心できる環境で、人は自ら学び、育つのだと痛感しました。



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