乞食の耳にイカを詰めて腐らせたもののような臭いのする足を持つ和尚の話 (五)
ある春の日のこと。
寺に一通の書簡が届いた。それは、大納言である源光忠がすめるの徳の高さを一目見たいと仰られているので、これこれの日時に弾正台におわす光忠殿の屋敷にて花見を致しましょう、といった内容だったそうな。
寺の者共は困り果てた。すめるは法要の一件からずっと奥座敷から出ていないからだ。寺の者共はすめるの足の臭いによって寺の威厳が損なわれることを酷く心配するようになっていた。寺の者共は如何なる法要にもすめるを出すことを許さず、食事も雪隠も座敷でするようにとすめる