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指定難病を患った話4.【大学病院へ】

こんにちは。10万分の1の歩みです。
前回のお話の続き。

ついに某大学病院に行く日となりました。
この日は実家の父親も駆けつけ、
妻と3人で病院へ。

病室までの待ち時間が異様に長く感じました。

名前を呼ばれ、中に入ると、
落ち着いた感じの先生がお出迎え。

一瞬無言の間があり、
勝手に話し出していいのか、
距離感が掴みにくい先生でした。

もしかしたら相性が悪い先生かも?
と思いつつもそんなこと
言ってられないので
これまでの経過を自分からベラベラ説明。

何か言ってくるかな?と思ったのですが、
特に質問されることもなく、
じゃあベッドに横になってくださいの一言。

先っぽにゴムがついた、
ハンマーのような検査器具で、
体中いたる所叩かれ、

「では戻ってください」と一言。

次の瞬間、「では戻ってください」が
落語家の「整いました」ばりに、
さっきまで無言だったお医者さんが、
急に流暢に話を始めました。

「まず結論から言うとご心配されているALSである確率はほとんどゼロに近い」「一般的には50代以上が発症することが多く、あなたの年齢では確率的にほぼありえない」「本来あるはずの異常反射もないし、筋肉の萎縮も見られません」「症状に波があるのはおかしい」「握力計で測った力と私の腕を握った力にだいぶ差がありましたので矛盾が生じてます」「心の問題だと思ってもらって間違いないでしょう」「通われている心療内科があれば相談してみて下さい」

この人こんなにしゃべれたんだって、
後で病室にいた家族に聞いたら
全員がその場で思っていたようです。

大学病院の先生ってすごいんだなぁと思い、
なーんだ心の問題かぁって、
みんなで一安心して美味しいものでも
食べようってうなぎを食べに行き、
その日は何事もなかったかのように帰宅。

翌朝に久しぶりの出社。
実はゴールデンウィークから
通院でバタバタしていたこともあり、
ずっと会社からお休みをもらっていました。

何事もなかったかのように
また日常が動き出しました。

この休み明けの社会復帰初日に、
またもやちょっと不可思議な現象が…

その日は自宅から2時間以上かかる
お客さんの施設に訪問する予定だったので、
始発電車で西東京方面へ、
午後は都心で訪問営業のアポがあり、
夕方からは会社に戻って
役員を交えた予算会議と
なかなか休み明けにしては
ハードスケジュール。

そのハードスケジュールの最終局面である
予算会議中に急にめまいと
謎の不安感に襲われ、
パニック発作が出そうに。
パニック発作はここ数年
起きていなかったので
どうしたものかと思っていたのですが、
もうこれは無理だと思い、
頓服薬手を差し伸べたその時、
急に両腕がジワジワと熱くなり、
力が戻った気がしたのです。

思わず会議中にもかかわらず、
部屋から飛び出し
そこに置いてあった椅子を持ち上げると
気のせいではなく、
本当に力が戻っていました。

精神安定剤を飲んだわけでもないのになぜ?
ストレスはむしろ極限状態だったけど?
疑問しか生まれませんでした。

ともかく、
自分としては両腕の力が戻ったので、
もうこのまま治るのかなって
気楽に考えていました。

自宅に帰って戻った力を妻に見せつけ、
喜びの舞。

夜ご飯を食べて寝て目が覚めたら、
また腕の力の入らなさが戻っていました。
昨日の奇跡は何だったの? 

ストレスが極限すぎて、
体がおかしくなっていたのかな?

大学病院の先生にALSを否定されて
時間差で安心したのかな?

この時は疑問しか生まれませんでしたが、
後から考えると、
この出来事が後々病気に気づく事の
弊害になっていた気がします。

22年5月末、
心の問題でいつか治ると言われたけれども、
症状はまだまだあって困っていたので、
会社の近くの心療内科を受診しました。

そこで初めて、私の病気に診断が、

「これは心の問題、転換性障害ですね」

このときはまだ、
この後の長い長い自分との戦いを
知る由もありませんでした。

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