サワードゥとの出会いと、決意表明④

仕事はとても楽しかったです。
なんといっても、仕事内容を一通り教わった後は、自分1人で働けたからです。
仕事の流れ、やり方を自分の好きなように組めることはとても楽で、充実していました。

朝4時から働いてると、6時くらいには腹ペコで、
いつも焼きたてのクロワッサンを朝食にしながら働いてましたが、さすがに数週間で飽きて、
いつもは手を出さないサワードゥを食べることにしました。
前日に焼いたサワードゥは、カフェのメニューに使うためにスライスされて置いてあって、
それをなんとなくオーブンで温めて、バターをのせて食べました。
そのサワードゥの、なんとおいしかったことか。
腹ペコだったことを差し引いても、なんとも言えない旨味と酸味。
1枚を直ぐに平らげたのを覚えています。
サワードゥってこんなに美味しかったのか…。と、私はここで初めて店の看板商品であるサワードゥの美味しさに気づいたのです。
もう働いて1ヶ月は経っていたと思います。

ハード系のパンが嫌いだった訳ではありません。
むしろ好きな方でしたが、サワードゥに興味がなかったのです。過去の自分を悔いました。(サワードゥとかパンオルヴァンとか、アメリカとフランスでも名前が違うだけで製法は一緒だったりとかもするので食べた事はあったと思いますが、印象に残ってない。)
恥ずかしながら、色々な酵母がある中、スターター(小麦粉と水を数日継いで出来上がる酵母)のちゃんとした作り方も知りませんでした。

ここでひとつ注意しておきたいのが、市販のイーストを悪者にする人がいる点です。
天然酵母が持て囃されてる昨今ですが、市販のイーストも立派な天然酵母です。
そもそも天然酵母という言い方や表記が私は嫌いです。どこかの協会でも、確か【天然酵母】だと誤解を生みやすいので、【自家製酵母】にしましょうと書いてあったはずです。

とにかく、それからはお腹が空くとサワードゥをつまむ日々でした。
ビザを延長する気はなかったので、働ける期間も残り2.3ヶ月となった頃、私の後釜を見つけるべく、トライアルで色んな人が来るようになりました。

つづく。

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