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【読書感想】青田麻未『「ふつうの暮らし」を美学する』と安達茉莉子『私の生活改善運動』を読んでオタクがアクリルスタンドを綺麗に並べた話
青田麻未「ふつうの暮らし」を美学する~家から考える「日常美学」入門~ 』(光文社新書)
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感性の学問、美学
青田麻未『「ふつうの暮らし」を美学する~家から考える「日常美学」入門~ 』は、「日常美学」と呼ばれる分野の唯一の入門書です。
この本を読むまで知らなかったのですが、芸術作品それぞれの歴史や知識、技法等を知り学ぶのとは別に、「美しい」などの私たちが感じる感性を明らかにする学問(哲学)が「美学」だそうです。
なにかの事物や出来事に出会うとき、私たちの感性はどのようにはたらいているのかを明らかにするのが美学の目的だということになります。
通常の美学は、詩や音楽、絵画や彫刻といった、いわゆる芸術作品を対象にしています。
しかし、家具やその配置(機能美)、掃除・片付け、料理、都市の風景、建築、Vlogのルーティーン動画など、いわゆる芸術作品以外の「日常」の中にも、私たちは「美」や「快/不快」を感じる。その感性のはたらきを学問するのが「日常美学」だそうです。
この本は、美学と日常美学の様々な考え方と先行研究を挙げ、私たちの感性のはたらきについて考えます。
そして、私たち一人一人の日常生活、例えば「今日食べる野菜を選ぶ」といった感性の判断の積み重ねでつくられた世界/日常生活を観察し、自分の家について気にかける。「住む」「暮らす」ということを本気で考える。その感性の延長として、社会/世界のあり方を考え、「地球を家とする」。つまり、世の中を少しずつ良くしていこう。という本です。
目次
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しかし、この本の中で、著者は自分の生活を良くしようとするものの、はじめての大変な育児の中で、生活がめちゃくちゃになるという壁に突き当たります。そこで著者が大きな影響を受けたと紹介するのが次の本です。
安達茉莉子『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』(三輪舎)
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生活改善運動とは何か?
それは、自分にとっての心地よさ、快・不快を判別し、より幸福なほうに向けて生活の諸側面を改善していく自主的で内発的な運動だ。
身の回りのモノから住居や仕事、人間関係までの生活のあらゆる面において、自分にとっての幸せが何かを探り、幸せに生活していくための具体的な行動をとっていく。それが生活改善運動です。
この本は、引っ越し、本棚、食事、着るものなど、生活のあらゆることを真剣に考え、幸せな方を選んでいこう、というエッセイです。
目次
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本屋には「断捨離」や「ミニマリスト」、「ライフハック」の本が沢山あります。一見この本もよくあるそういう本かな?と思われる方も多いかもしれません。
しかし本書で著者が主張していることは、「とにかくモノを減らす」「クオリティ・オブ・ライフを高める神ガジェットをすぐ買う」のような、意識高い系の効率を上げていく話とは違います。もっと、自分と対話し、自分を見つめなおす。心を幸せに、豊かにしていくという、一人ひとりの人生の話をしています。
生活を改善するということは、単にクオリティ・オブ・ライフを高めていくにとどまらない。ある種の自己尊厳にかかわるものであると気づき始めた。
かわいくないものは置かない、置くならかわいくする。それが徹底されていた。そして、かわいいとは見た目だけの問題ではなかった。それは、紛れもない愛情のあらわれだった。
自己犠牲こそが尊いのだという「当たり前」は少しずつ、部分部分変わるように、切り替わっていく。ひとは豊かに生活していいし、幸せを求めてもいい。
私はこれらの主張に大変共感しました。
私の生活改善運動、やってみた!
私の好きなアニメ『キラッとプリ☆チャン』には、こんな名言があります。
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「やってみなくちゃわからない! わからなかったらやってみよう!」
私も自分なりの生活改善運動ができないか、やってみることにしました。
『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』の中で著者は、衣類や食べるものなど、生活のあらゆることを改善していきます。その本気度は、既存の本棚には合うものが無く、木材から本棚を作るレベルです。
いきなりオリジナル本棚作りを真似をするのはなかなか難しい。ですが、自分の部屋を見つめなおし、改善できる箇所があることに気づきました。それは、雑然と並べられた、アニメキャラクターのアクリルスタンドです。
アクリルスタンドを綺麗に並べる
オタク以外の方に説明すると、アクリルスタンド(通称アクスタ)とは、キャラクターのイラストやアイドルの写真などが印刷された、ディスプレイ用のアクリルの板です。
昔は存在しないグッズでしたが、印刷技術の進歩により普及。立体物のフィギュアよりも工程が少なく、安価で生産・販売できることから、近年定番グッズとなっています。
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様々なものが出ている
昔と比べ、アニメの作品数は年間300作品以上放送されています。さらに、アイドルアニメやスポーツアニメなどに代表されるように、1つの作品に登場するキャラクターの人数も増えています。そんな状況では、結構な人気作品でも立体物のフィギュアでは商品化されていないキャラクターも多いです。しかし、アクスタならわりと商品化されます。
私は昭和のスーパーロボットアニメから最新の深夜アニメまで、面白いアニメはなんでも好きです。ロボットアニメに関しては、プラモデルや超合金など、他ジャンルのアニメに比べて立体物の商品が出る傾向があります。
しかし、それ以外のジャンルでは、ドラゴンボールやワンピース、ポケモン、初音ミクくらいのスーパーメジャーキャラクターでなければ、立体フィギュアはそう簡単には発売されません。また、もし出たとしても、一つ30,000円くらいしたり、限定生産で入手が困難な場合も多いです。
その結果、ロボットアニメ以外のアニメのファンもやっていると、必然的にお部屋にアクスタが無限増殖していくことになります。
これは、アクスタ1つのお値段が1,500円前後であることが多く、1回の出費としては買いやすいこと。そして、アニメのグッズそのものが、そもそもアニメ放送期間やイベントのタイミングだけで販売されることが多い期間限定商品であり、買い逃すと手に入りにくいことも関係しています。
私の部屋を見つめなおすと、ものを飾るための棚に収まりきらず、部屋のいたるところにアクスタが適当に置かれていました。私はここから生活改善運動に取り組むことにしました。
置くアクスタを選ぶ
部屋のアクスタが虫の群れのように雑然としている原因は、「数が多すぎる」「サイズやジャンルなどの統一感が無い」からのように思われました。私はまず、100均のセリアでBOXを買いました。そして、買ったアクスタを全部置くのはやめ、部屋に出すものを選ぶことにしました。
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セリアに限らず100均には何かしらあると思われます
部屋に置くものを選ぶにあたり、以下の基準を考えました。
・同じスペースに同一人物を並べない(もし並べるなら同じキャラばかりで統一する)
・置く場所ごとのコンセプトを決める
・大きさと配置を整える
・アクスタだけにこだわらず、他のものとも組み合わせ、飾り付けする
そして綺麗に並べてみたアクスタがこちら
①サンリオコラボコーナー
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サンリオという企業は懐が広く、多くの作品がサンリオとコラボしています。そのコラボグッズをメインに、マイメロのぬいぐるみや美術館のポストカードなどでかわいく飾りました。
②アイカツ!andプリティーシリーズ
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拡大して隅々まで見てください
バンダイの子供向けアイドルゲーム/アニメであるアイカツ!シリーズと、タカラトミーの同ジャンル、プリティーシリーズ。その歴代主人公をメインに並べました。お互い無関係のシリーズで商業的にはライバル同士ですが、2022年にはコラボ企画が展開。展覧会と配信CGアニメライブが開催され、2023年には劇場公開もされました。
アクスタ以外を活用した飾りつけとして、筐体ゲーム用カードを透明スリーブに入れ、虹色のマスキングテープでアクスタの後ろに貼って、何人かのキャラを飾ってみました。
写真の左下『アイドルタイムプリパラ』の主人公「夢川ゆい」は、お米が大好きな人物なので、コシヒカリと米俵のミニチュアも飾りました。
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また、ゆるやかに、作品の発表順に並べたり、関係性のあるタイトル同士を近くに配置しました。
例えば、中央後ろに配置した『プリパラ』(2014-17)の主人公「らぁら」の右隣りには、『アイカツプラネット!』(2021)の主人公「ハナ」を配置。バーチャル空間の中でアイドルに変身するという共通の設定がある作品同士で並べてみました。
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これが本を読んでまずやってみた、私の生活改善運動です。
アクスタを考えて綺麗に並べるのは楽しい
もうひとつ、別のスペースも綺麗に並べてみました。
③夢の異次元フェス
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ライブ照明風の効果を加えました
これは作品縛りではなく、アイドル/バンド/ラップなど、音楽系アニメだけで集めました。作品の垣根を超えた夢のフェスをイメージしました。
誰でもできる、生活改善運動
アクスタを整理し綺麗に並べ直す行動は、本を読んで私がまずやってみたひとつの試みにすぎません。2冊の本を読み、考え方を理解すれば誰でも、日常生活を改善していく自分なりの生活改善運動ができるようになるでしょう。
各々みんなが、豊かで幸せな生活のための改善を自分の身の回りから行い、世の中を良くしていきましょう。
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こちらも、個人の行動から世の中を良くしていこうという本↓
↓私の読書や映画などの感想まとめです
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