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医療と介護をつなぐ広報、その難しさと課題

 どうも、アラフィフのお姉さんからバトンをうけたアラフォーの叶です。気づけば2年ぶりの記事になります。ということで、『ドクターメイト Advent Calendar 2024』12日目を担当します。

最近は大好きなベイスターズが日本一になって大はしゃぎしたり、子供が生まれて子育てに奮闘したり、横浜と岡山を行ったり来たりと、プライベートでは大忙しの毎日です。

26年ぶり日本一優勝パレード、もちろん見に行きました(早朝6時から並んだ)

 さて、ドクターメイトでは、これまで広告・マーケターでしたが(入社した経緯や経歴はこちらの記事をどうぞ)、今は「広報の専任」で思い切ってチャレンジしてます。専任になってから、私が何を学び、考え、どんなことをし、またそれによって分かってきた課題についてお話したいと思います。


そもそも「広報」とは何なのか?


広報と広告は、似ているようで全然似てない

 いきなりですが広報って何でしょうか。当初、私は広報とはシンプルに「無料で多くの人へ情報を発信する」というように、広告の亜種のようなものと認識してました。

しかし、改めて学び直すと以下の違いがありました。
・広告は、有償で直接的に「購買や利用促進」を働きかける
・広報は、無償で間接的に「自社の存在や意義」をメディアを通して働きかける

 「広報は無償の広告」と捉える方も多いですが、目的や意味がそもそも違います。なので、勘違いしたままプレスリリースなどを行ったとしても、大きな成果は見込めないことが多く、例えメディア・記者様へアプローチしても反応は良くないでしょう。恐らく心当たりある方も多いのではないでしょうか(私もそうでした)。

 広報は、単なる「購買・利用促進」ではなく、「自分の存在・意義を認識してもらうこと」なのです。

「広報」を学ぶために行った、また行っていること

学べる教材を探すまでが案外大変

 まだ学んでいる最中ですが、日本パブリックリレーションズ協会(https://prsj.or.jp/)の会員になり、PRプランナーの試験勉強を行っています。試験の合格というよりは、広報の歴史や意義、目的やノウハウなどを体系的に学べるからです。

 1歳児の子育てや仕事の合間に勉強を行うのは大変ですが、最終の3次試験を残すのみで、来年のPRプランナー取得を目標に目下勉強中です(今は2次試験を合格し・準PRプランナー)。

PRプランナー資格試験 次は最終試験

 それ以外にも行っているのは広報コミュニティに積極的に顔を出すようにしてます。多くは語れませんが、そこでは日常の挨拶や他社さんの広報仲間を通して記者さんへの要望や質問に応対したりと、いろいろな方と双方でコミュニケーションを取りコツコツと、私や会社の存在認知と信頼を積み上げてます。

「広報」の成果って何だろう 

驚きの結果が待ってました

 聞き慣れた指標といわれるものに「広告費換算」がありますが、国際的なPRの効果測定に関するバルセロナ原則で否定されてます。あくまで「広告費換算は相対的指標でしかなく、広報活動の成果を示した価値にはならない。」と否定されています。

バルセロナ原則とは
バルセロナ原則とは、国際的なコミュニケーション効果測定・評価協会であるAMEC(International Association for Measurement and Evaluation of Communication)が提唱したPRの効果測定に関する7原則のことです。世界的な広告賞の祭典でもあるカンヌライオンズのPR部門でも、バルセロナ原則に留意しながら審査が行われたとされているほど、広報・PRの効果測定の領域で近年信頼性を増している原則といえます。2010年に初めて提示され、2015年に「バルセロナ原則2.0」、そして2020年に「バルセロナ原則3.0」が提示されました。

BILCOM 【前編】PR効果測定における「バルセロナ原則」とは? 3.0へのアップデートのポイント

 成果とは、パブリックリレーション活動、つまりステークホルダーとのコミュニケーション活動によって得られた認知や信頼、態度変容の数で図られるべきと言われ、私もそう思います。なら、どうやってそれらを図るのか?下の画像をご覧ください。

ありません。

 冗談だと思うでしょうが、本当です。広報の歴史は、紀元前のエジプトからルーツがあるのに、いまだその成果を測る方法が国際的にも確立されていないのです。第三者を介して信頼を獲得するという広報の性質上、メディア×ステークホルダーの膨大なデータ量、態度変容(心証心理の変化)のような定性データを定量化する必要があるなど、とても難しいのでしょう。

 なのでドクターメイトでは、定期的な顧客リサーチ、SNSをソーシャルリスニング、検索からの流入、掲載記事の論調分析などを分析、総合的な評価をしています。

ドクターメイトの広報業務、今と昔

広報業務の一例。ここまでくるのに大変…だった…な…

 私が行っている今の広報業務を、プレスリリースを配信したときのスケジュールを見てください。

AM 7:30〜 起床後 主要メディア・記事・Googleアラートチェック
AM 8:30〜 業務開始・すぐにリリース前の原稿最終チェック
AM 9:00〜 プレスリリース配信・関連してWEBサイトお知らせ配信・SNS投稿・全社へ周知
AM 11:00〜 プレスリリース配信に絡んだ社内外の関係者へお礼・挨拶
PM 12:00〜 昼
PM 13:00〜 配信後のSNSチェック、および特筆すべき反応は関係者へ共有。メディア問い合わせ対応。
PM 15:00〜 次の企画原稿作成、関係者へのヒアリング
PM 17:00〜 最終問い合わせチェック、PV/掲載数などの分析確認
PM18:00 退社/業務終了


 広報業務に専念していることが分かるかと思います。しかし、このスケジュール通りになるまで苦労の連続。今は周囲の理解を少しづつ得て、このような広報業務スケジュールを回せるくらい広報・組織が育ってます。

 そのお陰で掲載をいただく機会もとても増え、ドクターメイト創立以来の多数のメディア様へ掲載をいただき、会社の認知・信頼が増えてきたことを実感してます。

多くのメディア様にドクターメイトを取り上げて頂きました。

 他方、この広報・コミュニケーション活動が多くなり、強く感じる課題があります。

医療と介護をつなげるための広報の課題

他人事ではない、いずれ訪れる壁(課題)

 「介護」という言葉に対して2つの課題を感じてます

  1. 介護へのネガティヴな印象
    一般新聞やテレビ、SNSで介護関連で取り扱われているネガティヴな話題はとても多いです。虐待、賃金の低さ、倒産、業務負担の大きさなど、ネガティヴなキーワードが並び、このような情報に多く接触していれば印象は良くなるはずもありません。

  2. 介護への無関心、制度の理解の低さ
    「介護離職」について注目を浴びつつありますが、この事態も介護への無関心が招いている事象ではないかと思います。「介護は自己責任」という意識(※1)、そして介護保険に関する利用方法を知らないことも要因とされますが、根底には「介護への無関心」が働いている気がしてなりません。
    ※1 日経ビジネス 介護離職クライシス特集「介護を自分の手で行うことは親孝行になる」アンケート回答より

 この2つの課題を象徴していると感じた体験があるのですが、とあるメディア関係者が、父親を介護施設へ入れるために苦労していたそうで「もっと介護を知っていれば、父も私も余裕ができて楽だったはず。」と話されていました。このような不幸を無くすのが、業界に携わる広報として大きな目標の1つと感じます。

常に危機感を持ち、未来をつくる

医療と介護をつなぐ。言葉はシンプルだけど、その意味は広くて深い。

 人も会社も業界も第一印象が大切です。しかし、介護に対しての第一印象はネガティヴな情報の多さ、関心の低さから良い状況とはいえません。

 この第一印象を変えるため、業界全体あげて、また業界に携わる人間の一人として、変えていくための行動をしていかないといけないと思います。言い過ぎかも知れませんが、私はそれくらい強い危機感を抱えながら、業務に励んでます。

 きっとそれが実を結んだとき、未来では医療と介護が当たり前につながり、持続可能な介護のしくみができているでしょう。

そして、最後に「介護のあいうえお」を知りたい方はこちらの記事もおすすめ、ぜひご覧ください。

ではでは。少し早いですが、良いお年を。


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