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ノーベル文学賞2024に寄せて

 つい先日、村上春樹さんの著作に触れる機会がありました。私は、あまり彼の作品は読まないのですが、「ひょんなことから」、否、人生には偶然はなくてすべて必然だとは思うが、そんな機会に恵まれたとでも言いましょうか。

 そして、10日(日本時間)にノーベル文学賞が発表されるというタイムリーを、肌でじわじわと感じていました。

 今回は韓国のハン・ガン氏が選ばれたということで、電子書籍でさっそく購入してみました。

唯一無二の感受性から生み出されるもの

受賞にあたって、彼女は記者会見を開かないことを決めたそうである。

「世の中では戦争が激しく、毎日遺体が運ばれていくのに、何の宴会をして楽しく記者会見をするのか」

ノーベル文学賞ハン・ガンさんがコメント 「祝福に心から感謝」:朝日新聞デジタル (asahi.com)

 この感受性は、作品に切り込むようにするどく生かされているのだと感じた。
 これは持って生まれたものと、環境とがないまぜになってうまく表出されているのだと思う。

白い世界は、決して白くはない

 読み始めから、翻訳された方の力もあるのだとは思うが、点と点がすぐに結びついて、はっきりとした線になっていくような雰囲気が伝わってきた。散文的なイメージが強いが、それが、みごとにまとまっていくのは、作者の力であると、私は思う。

タイトルにある『すべての、白いものたち』それは、求肥(牛皮)のようなもので、内包するものによって、透ける色が変わっていく。日差しの強い中で光を見た時のような、力強さを受け止める器がある。

 しかし、それは白くはない、のだと思う。

数ページしかまだ読んでいないが、こういった具現化できない抽象的な想いを反芻できる本は、なかなかない。

何度も読み返して、知りたい

 マンガやアニメは、わかりやすい方が売れるのは必至である。しかし、文学はどうだろうか。
 
 私は、抽象的だからこそ受け手の解釈が、たとえ同じ受け手だったとしても変わっていく「面白さ(Interesting)」があると思っている。

私も私を内包するものを知りたい

 人生は、旅であるという言葉はとてもわかりやすいが、英語でいうところのJourneyなのだと思う。TripでもTravel、Tourでもなく「Journey」である。人生という旅の中でのことをフォーカスしていく、その繰り返しで、いつかは自分を内包するすべてを知ることができるのでは、と期待している。

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家出猫
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