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2020年7月の記事一覧

「ひと」

「ひと」

ひとはどうしてか、
横になったものを起こそうとする

自分にきちんと従って、
わたしは起こす

転がったぬいぐるみ、
倒れた自転車、
傾いた本たち、

疑いを抱くことなく、
恩とも思わず、

ひとの仕草 は
日常へのご挨拶 として

「服」

「服」

裏表逆に着ている と
このぼくは言われちまった

それでも一応
ぼくの大事なものは
隠し通せていた のか

もしや
こんなふうに

恥じらいだけ に
ぼくは袖を通していたってのか

「行列」

「行列」

言葉の行列は
ついにスーパーボールのように

はねて ぶつかって つっついて 小突かれて

やかましい
まったく やかましい

しかし それは 初歩の模倣でしかない
今にも脱げそうな靴だ

言葉よ
言葉にケンカは付きものか

踏みつけぬように
でも 
刻みつけるように
紡がれた言葉と出合うのだ