446人/7356件、サラバラ桜、映画『痛くない死に方』~356日目※
都内新規感染446人/7356件、65歳以上64人。4日連続で400人超え。都基準重症者48人(前日比5人増)。
大阪、過去最多の666人感染。
さらばサラバラ桜🌸
映画『痛くない死に方』を観る
※以下ネタバレ含む
※パンフレットは手に入らず
在宅看取りがテーマ。長尾和宏医師の原作を高橋伴明監督で撮った。
長尾医師の名前は知らないが、検索したら、書籍の広告は見たことがある気がする。
高橋伴明氏は女優高橋(旧姓・関根)惠子氏の夫。高橋惠子氏は関根惠子時代に失踪事件を起こしており、その相手が伴明氏かと思っていたが違うようだ(1979年に失踪、1982年に高橋氏と知り合う)。映画館に入ってきた人が「関根惠子が失踪した相手」と言っていたが、この人も記憶違いらしい。
さて、主役は在宅医療に携わる医師の柄本佑(柄本明の長男、柄本時生の兄、安藤サクラの夫)だが、俳優陣の中で一番自分の心をとらえたのは冒頭から出てきた坂井真紀であり、下元史朗であった。
下手な目立ち方をせず「上手と思わせない上手さ」の坂井真紀
まず、この映画をどう見るか、だが、創作とはいえ、在宅で死ぬということを描き出す、ドキュメンタリーに近いものと思う。在宅介護の日々を映し続ける。そこに、その辺にいそうだけど、顔は知っていてそこそこ親近感を持てる(私見です)、そして下手な目立ち方をしない坂井真紀を持ってきたのは、自分的には、感情移入がしやすくて成功と感じた。
坂井真紀は、がん末期の父親の介護をする娘の役。介護をする側のケアラー。手術も抗がん剤も拒否し自宅にいることを望む父親を介護をする大変さ、辛さ、苦しみ、夫とのやりとり、親を苦しめた後悔、医師への不満。その辺が「あるある」だろうな、と自分に想像させた。上手いと思わせない上手さ(演技が上手いとはそういうことと思う)が、本作品では生かせたのではないか。
また、感情移入をしやすかったのは、介護をする側、だからだろう。介護をされる方ももちろん大変だが、現実にはやはり介護をする方の大変さこそ報われるべきと思う。しかし、後半で介護される側を演じた宇崎竜童の「川柳」は効いた。。
ほぼ全裸でのたうち回った下元史朗
下元史朗、と言っても、今回やっと名前を知ったのだが、高橋伴明氏と長らくピンク映画などで組んできた俳優さんらしい(よく知らずすみません)。
その下元史朗は、坂井真紀演ずる娘に介護されるがん患者の父親を演じた。ベッドの上でほぼ全裸に近い格好で介護をされ、死ぬ直前は全身をのたうち回らせ、全身の痛みで息もできないほど転げまわる地獄の苦しみを表現した。
しかし、自分が惹かれたのはその演技ではなく(演技が下手だったわけではない)、その肉体であった。別にエロイ意味ではなく、がん末期の患者にしてはあまりにも肉付きがよくて、現在72歳らしいが鍛えられた美しい肉体がのたうち回っていた。その瞬間、「ああ、役者なんだなあ」「この演技のためにやせ衰えるのは難しかったのかな」「SEXみたいだな」「それなりの年齢なのにいい体だな」「肉体さらして仕事してきたんだろうな」など、いろんな思いが頭を駆け巡った。つまり、映画のフェイクの魔法が解けてしまっていたのだが、それは、それでよかったのだ(いい加減)。この人の役者人生を少し感じたというか。
映画館に貼ってあった「評」を読むと、高橋監督は、あまり時間かけずに作品を撮ったらしい。役者としてはもうその場でできているものを出さないといけなかったのだろう。
奥田暎二(柄本佑の義父)は、ある意味一番臭い演技だったかな。味はあるのかもしれないが、昔からあまり幅を感じない(すみません)。
柄本佑は「その辺にいそうなあんちゃん」だった。それが合っていたと思う。星野源みたいな感じにもならず。
介護するのが女性、なのが気になるが……
犯罪ものなどと異なり、この作品は、誰にでも訪れうる「介護する側」「介護される側」を取り上げ、しかし、重くなり過ぎずに「家で死んでいくことの選択肢」というメッセージを伝えることが出来たと思う。
ただ、介護する側は女性ばかりで、される側はメーンの2人は男性だった。ま、介護される側は裸を見せないといけないという撮影上の制約もあるだろう(老いた女優さんは半裸でも見せにくいだろう)。また、在宅医療の問題を伝えたほぼ最初の作品としては、そこにジェンダーの問題もからめるとわかりにくくなるという点もあったのかもしれない。
今後の課題か。
皆さまのご健康を。