オシロイバナの思い出、映画「わたしたち」
「わたしたち」(2016年製作)です。
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昭和の子どもと似ている…
夏の花オシロイバナが咲き始めました。
この花を見ると映画のシーンと全く同じ、濃いピンクの花をすりつぶしてマニキュアのように爪を染めて遊んだ、子どもの頃を思い出します。
学校の休み時間に、じゃんけんで指名でチーム分けをしてドッジボールをするのも全く同じ。昭和の昔のことですけど、今の韓国の「わたしたち」の世界と同じなのにびっくりします。
私が小学校2年のとき、東京から福岡に転校してきました。なぜかそのクラスは休み時間にほぼ全員で「コツケ」(ドッジボールのローカル版)をして遊ぶのです。先生の誘導だったのでしょうね。ボールをコツケられたら外野に出るルール。私のようにトロい子は、パスもされないから復活のチャンスは無し。
内野にいれば、コツケられるのが本当に怖くて、外野に出されたら安心してボケーっとできました(笑)。「なんて野蛮な遊びなんだ?」と思ったことがそのまま顔に出ていたんでしょうね。即、仲間外れにされました。
未熟なお母さんだった私…
そういえば、息子たちが小学生の頃も学校でいじめられたことがあって、
「その子たちとは無理して一緒に遊ばなくていいんだよ」と言い聞かせたことを思い出します。その時はいじめられないための方法ばかり考えたのかもしれません。この映画を見てつくづく「どうしてあの時、ただ気持ちを受け止めてやらなかったのか?」と後悔しました。
子どもの頃の私自身も、あの子たちと一緒に無理してコツケしなくてもいいのに、一緒に遊んでしまうしか術がなかったんですよね。
大人になると自分が子どものころのことを忘れてしまって、大人の理屈で子どもを責めてしまう。
お母さんというものは、いつでもその時は未熟なもの。全く!
主人公ソンのお母さんは、あんなに忙しくても子どもの気持ちに耳を貸して、「わたしたち」の世界に踏み込むことなく、温かく子どもの気持ちを受け止めています。
あのお母さんがいるだけでソンはきっと大丈夫。気になるのはジアのほう。
「昔もそうだった」では片づけられない
「わたしたち」の世界は、誰でも成長過程で経験する子どもの頃の人間関係、と捉えてしまいがちですが、現代の「わたしたち」の世界は、昔とは違って、とても困難な問題だと思います。
スマホが出てきていたり(黒板の悪口をすかさず写メとか)、親の格差が子どもにもモロ影響していたり、大人が忙しすぎて子どもに無関心だったり。
「昔もそうだった」では片づけられないのです。
女性監督ユン・ガウン+イ・チャンドンがプロデュース
なんと細やかで押しつけがましくない映画。
子役の表情の変化がすごく面白い。特に主人公のソンは、ずーっと出ずっぱりなので、本当に「わたしたち」の世界のドキュメンタリーのよう。
「はちどり」の小学生版というのもなるほど。どちらも女性監督が、自分の子どもの頃の実体験に基づいて作った映画だそうです。きっと誰もが子どもの頃に解決できなかった心の奥底の気持ちに気づかされます。
是枝監督っぽい映画だなーと思ったら…
幼い弟のセリフがすべて(ちょっとネタバレ注意)
ソンと弟が一緒にご飯食べてるだけのように見える最後のシーンが素晴らしい。
「じゃあ、いつ遊ぶの?」
その言葉を聞いて、ハッっと気づくソンちゃんの感性も素晴らしいです。
なんせ、大人の私は映画を見るまで、この問題の本質と解決へ向かうマインドに気づかなかったのですから。