「チャンオクの手紙」ペ・ドゥナ映画にハズレ無しって本当!?
「チャンオクの手紙」(2017年) 専業主婦のウナは、何も手伝わない夫、自分勝手な娘と息子の世話に加え、ほぼ寝たきりの口うるさい義母の介護までしなければならず、毎日忙しい。家族の前では大変そうな顔を見せずに家事をこなすウナだったが…。
韓国の国民的俳優キム・ジュヒョクや、ハリウッドでも活躍するペ・ドゥナなど、豪華な俳優陣が登場。家族の絆をテーマにしたハートフルで心温まるストーリー。
今日は、ネスレ公式サイト内「ネスレシアター」用に制作された岩井俊二監督が手掛ける初の韓国ショートフィルム「チャンオクの手紙」です。
ソフト化されていなくて、私はAmazonの日本映画NETで見ました。
予告編↓
ペ・ドゥナには珍しく「主婦」の役
ペ・ドゥナのフィルモグラフィーに、そもそも主婦の役は少なく、あっても「特殊な主婦」ばかりです。彼女の年齢からするともっと主婦やお母さん役は多くてもおかしくないのでしょうが、「主婦が少ない」というのはある意味「ペ・ドゥナらしい」。常に、今まで演じたことがない役を選んでいるんだな、と思います。
(参考)ペ・ドゥナの「特殊な主婦」役って
「トンネル 闇に鎖された男」(大きな事故の被害者の妻、自身も被害者)
「最高の離婚」(早い段階で離婚してしまう)
「頑張れグムスン」(主婦というより走る人。のちにバレーボール選手に復帰)
冒頭の長回し
1話の冒頭のシーンで、ウナが朝、起きるところから長回しがいきなり始まります。このシーンが秀逸。ほぼウナの境遇が理解できてしまうし、見慣れないペ・ドゥナの朝のおうち仕事、こうゆう姿は珍しくて見入ってしまいます。
4話を通して、専業主婦じゃなくても、介護や、仕事だけの夫の世話、子育てに追われる同じ境遇の人が見たら、すごく共感してしまうだろうな、(私もです)と、1~4話を通して温かい気持ちでずーっと見進めてしまいます。
1話が15分程度というのも見やすくていいですね。
ウナは、日本的な優等生主婦?
この作品とても好きなのですが、一つ、どうしても引っかかるポイントがあります。
「この物語の設定、韓国じゃなくて日本人の女優さんのほうがピッタリでは?あえて韓国を舞台にペ・ドゥナを起用した理由は何?」
(例えば、松たか子か宮崎あおいだな〜と思っていたら、岩井俊二監督がこの作品を発展させて作ったという「ラストレター」は松たか子が主演でした!やっぱり(笑))
初回からずっと引きずって見ていました。ウナがいかにも「日本人的な優等生主婦」なんですもん。韓国の(都会に住んでいて裕福な)専業主婦はこんなふうな「自己犠牲の上に成り立つ尽くす介護、主婦」っていう感じあるのかしら?
そして例によって、2,3,4話と続けるうちに、引っ掛かりポイントは「ペ・ドゥナの演技力」という力業でねじ伏せられる、といういつものパターンに。。。
見どころは、ウナのチャンオクへの接し方。話が進むにつれてどんどん深くなってくる。こうやって人との繋がりを作るんだよ、というお手本。「こうやって笑うともっと可愛くなるのに」チャンオクの顔をくちゃくちゃするウナ、大好きなシーンです。
単に自己犠牲と見えていたけど、ウナの人間性がそうさせていたのかな。と思えてしまう。
日本人女優にはできなかったかも?
そして、最終回の手紙を読むシーン。ぺ・ドゥナの真骨頂。同年代の日本の女優さんでは出来なかったかも。このショートフィルム、まさに「チャンオクの手紙を読むウナ(ペ・ドゥナ)」で活かされたなぁ。
「韓国凧」がいい仕事してる
私は映画の中に出てくるおもちゃや民芸品の使われ方をチェックするのが大好きで、このショートフィルムでの「韓国凧」は素晴らしかったです。ビジュアルも、使われ方も、効果も絶大。思わず、韓国凧について調べまくりました。いい凧を探して持ってきてくれました。凧あげシーンは家族みんな可愛かったな。(この記事の写真は韓国凧ではありません)
ネスレ公式だけあって、「コーヒー」がうまく使われているのが大前提なんでしょうけどね。(もちろん、コーヒーも飲みたくなりました)