映画「子猫をお願い」~ほんとにお願い
「子猫をお願い」(2001年製作)です。配信やレンタルで見つけられず、中古DVDを買いました。
ペ・ドゥナ映画を全部見終えるのが寂しくて、数か月見ないで楽しみにとっておいたものを、昨日、仕事がひと段落終えたのでようやく見ることに。
DVD買ってよかったです。すごく好きな映画だったことと、チョン・ジェウン監督とペ・ドゥナのインタビューが面白かったので。
「はちどり」の20歳版?
20年前の映画で、<韓国女性が選ぶ最高の韓国映画第1位>に選出され、海外での評価も高かった、とパッケージに書いてあります。
でも、公開直後、国内での興行はうまくいかなかった、と監督のインタビューで話されていました。
「はちどり」(キム・ボラ監督)の小学生版が「わたしたち」(ユン・ガウン監督)だとしたら、「子猫をお願い」は20歳版かも。続けて3本見たのでそんな風に見えました。
家庭の中で男の子は大切にされて(逆に、出世が第一という価値観により窮屈を強いられている?)、女の子は尊重されておらず、家庭の中でもお手伝いを超えて労働力とみなされ、抑圧された感じ。
高校時代の同級生5人の中で比較的家族にも経済的にも恵まれたテヒ(ペ・ドゥナ)の父親も子どもたちに対してそんな接し方で、いちいち娘とかみ合わない。
また、崩れそうなバラック家に住んでいるジヨンには両親がおらず、祖父母の生活を助けるヤングケアラーであり、仕事も失ってしまいます。
会社勤めで裕福で華やかに見えるヘジュは強がっているけど、両親の離婚や頼りの姉との別れで寂しい気持ちを抱えている。
モロに社会の問題が20歳の女性たちの悩みに直結しているような映画に見えます。でも20年前当時、私がこの映画を見たら、そんな社会的な意味合いは感じなかったかもしれないです。
20年前の自分はどう感じたかなぁ?
日本と韓国の違いはありますが、当時は社会はそんなもんだ、仕方がない、と思っていたかもしれません。
私の高校時代、東京の大学に進学したい、と父に言ったら、「そんな必要ない」と一言で却下されました。大阪や東京へ進学する友達に、どうやって親を説得したの?とよく相談していました。(結局、地元に残りました)
たぶん当時の私がこの映画を見ていたら、それぞれ抱えた悩みから外の世界へ旅立つラストシーンの「Good-bye」にすごく憧れたと思う。
行先すら決めず、自由にどこへだって行くことにしたテヒとジヨンに。
「子猫をお願い」は、何度も見直したら面白いのかも。その時の自分の生き方や社会とのかかわり方で、見方、感じ方が変わってくるのかもしれません。
時代が変わると映画の解釈も変わってくるのかもしれないです。
いつにも増してペ・ドゥナ優勝
それにしてもペ・ドゥナが素晴らしかった。
お人好しで友達を放っておけない、誰にでも公平に偏見なく接するテヒのキャラクターがペ・ドゥナにピッタリ合っていたからか?テヒの心の動きが手に取るようにすんなり入ってきます。
自分勝手なヘジュを演じたイ・ヨウォン(ともさかりえ似)も素晴らしかった。テヒがいい子過ぎるのでヘジュは損な役回りでしたが、ヘジュがしっかり嫌われキャラをぶれずに演じて、問題を投げてくれるので、他の4人が生きてくるのです。イ・ヨウォンも優勝!
ペ・ドゥナのインスタのストーリーズが、テヒっぽい
ところで、ペ・ドゥナのインスタは本当に面白いです。
数日前、ご本人が撮ったらしい「足の甲」をインスタにアップしていました。瘦せすぎで青筋と骨が、骨格見本の如く浮き上がってグロテスク。
思わず「ギャー」。女優が自らこんな写真載せますか?
(明らかに自分でインスタ管理してるのね)
そのコメントが、「足の骨がこんなに怒ってるよ!」
これって、テヒが言いそうなこと!と思わず笑いました。
20年後のペ・ドゥナは、ほんとに「子猫をお願い」していた
さらに今日のインスタには驚き。
2か月の子猫がミャーミャー鳴いている動画でした。おそらく誰かが「子猫をお願い」(里親募集)していた記事をシェアしたものと思われます。
映画と同じく、子猫を放っておけなかったのね。
20年たっても、ペ・ドゥナはやっぱりテヒそのもの。ちょっと嬉しい。
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