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『定年後を豊かにするシンプルライフ お金・モノに頼らない生活の実現へ 』第1章・無料全文公開

2025年1月17日発売の書籍『定年後を豊かにするシンプルライフ お金・モノに頼らない生活の実現へ』から、第1章「どうする定年後、あなたは何してる?」を全文公開!

旅行が楽しい! ゴルフも楽しい! でも毎日毎日できるのか?

私は60歳の定年とともに会社を去りました。退職日の解放感は忘れられません。
職場で最後のあいさつをし、お世話になった人たちに見送られてエレベーターに乗り込みました。ホッと一息つき、「これからは、昔の人たちの暮らしや生き方を調べ、彼ら彼女らの『人生の楽しみ方』を学ぶことに時間を使おう」と思った次第です。
「ネクタイは犬の首輪と一緒。ネクタイをしているうちは会社につながれている」と父親がいっていたのを思い出しました。漠然とした不安をもってではありますが、一歩踏み出したのです。

PGF生命が還暦になった人へのアンケートを毎年行っています。
2024年のアンケート結果を見ると、叶えたい夢や目標の第1位は「旅行をする」でした。「日本1周をする・世界1周をする」をあわせると、男女2千名の回答者のうち365名が旅行を挙げています。
2位は「健康に過ごす・健康になる」で127名ですから、旅行がダントツ1位です。
しかしながら、旅行三昧といっても、1年もせずに飽きてしまう人が多いのが実状。夢が簡単に叶ってしまうのです。旅館の豪勢な夕食・朝食、各地の名物料理を食べ続けるのは1週間が限界。車で日本各地を巡る人、海外に行く人もいますが、結局のところ「年2~3回の旅行でいいか」となることが多いのです。

ゴルフは人気スポーツで、65歳以上の男性がグループで行うスポーツの実践者数は第1位です(2019年)。ゴルフ場の近くに住みゴルフ三昧の人もいますが、毎日のようにプレーをしている人はほんのひと握りです。
勤め人時代はどれほど朝早くてもゴルフ場へ行くのが楽しみだった私の友人も、「週に数度の練習と一度のコースで十分だ」といっていました。

多くの人は貴族のように来る日も来る日も遊び続けられません。貧乏性といえば貧乏性なのです。

さて、あなたは定年後や仕事を辞めたあとの暮らし方、楽しみ方をどのようにお考えでしょうか?

最後の出勤を終えて花束をもって帰宅し、翌日はのんびり。問題はそのあとです。旅行をするけど、楽しみはとくにない。これでは切なくないでしょうか。
そのときは確実にやってきます。多くの人は役職の限界が見えてくる50代後半から漠然と考えはじめ、定年を経て、継続雇用がおわるころ真剣に考えはじめていると思います。
しかし、それではいささか準備不足なのです。会社を離れた日から何が起こるのかを、まずは考えてみましょう。

会社はありがたかった!

退職すると会社のありがたみをいろいろと実感するものです。
まず、行き場があります。そして、「ちゃんと稼いでいる」と誇れる毎日があります。家(とくにリビング)にいると妻が嫌がる場合が多いようです。
継続雇用で働く理由には、老後資金が必要なのではなく、妻からの質問「会社を辞めて何するの?」「毎日家にいるつもり?」に答えられなかったから、という私の元同僚も多くいます。「教育と教養」(きょう(・・・)、行く(・・)ところがある。きょう(・・・)、用(・)がある)で責められるのです。

また、名刺があるのがありがたいことです。「○○社の△△です」だけで、初対面のあいさつも知人への近況説明もすんでしまいます。
会社を離れると「いまは何をしているんですか?」といった質問が刺さります。
私はオンラインでの日本語教師をしていてよかったと実感しています。「昔の人々の楽しみ方研究家です」とはいいにくいのです。実際にいったこともありますが、「何をするの?」「収入はどうなの?」「会社勤めはしないの?」など次々と質問され、大変厄介でした。

会社は所属するだけで、私たちにアイデンティティーだけでなく、自己肯定感も与えてくれます。ですが、会社を離れる日は誰にでもきます。自分で会社を経営していない限り、やがてきてしまうのです。
退職すると「会社に代わる何か」が必要です。報酬がなくてもOK。ボランティア活動、家庭菜園での野菜づくり、楽器演奏、なんでもOKです。いくつあってもよいですが、はつらつと生きていくためには、アイデンティティーや自己肯定感を得られる何かがいるのです。

それだけではありません。会社を離れたあと、何を楽しみにして生きるのか。これはアイデンティティーよりも重要な問いかもしれません。そして、どこで、誰と、どのような暮らしをするのか、そのための資金はどうするか、など自分で決めなければならないのです。
しかも、何をするか、できるかは、年齢とともに変わっていきます。時間軸もイメージしておかなければなりません。

定年後の自由時間は定年前の総労働時間に匹敵

私たちは定年後にどのくらいの時間や、自由に使える時間があるのか、単純な計算をしてみます。
23~64歳までの労働時間は約9万時間です(1日9時間・月20日労働として、9時間×240日×42年間=90,720時間、65歳の誕生日になったら退職)。
65~85歳までの自由な時間や、自分の時間は、約7.6万時間もあります(1日10時間が自分の時間として、10時間×365日×21年=76,650時間)。
60歳で定年退職の場合、それまでの労働時間約8万時間に対し、その後の自由時間は9.5万時間となり、定年後の自由時間のほうが長いのです。

旅行や休むことなどに飽きたあと湧き上がってくるのは、「何か仕事をしたい!」といったモヤモヤ感です。
リクルートワークス研究所の坂本貴志氏の綿密な調査と分析によると、多くの人は定年後(60歳以降)、週に数日間ストレスが少ない単純な仕事や小さな仕事をして年金の足しにしている、とのことです。
仕事はデスクワークから現場仕事になります。販売や清掃などです。
定年以降の能力低下にあわせ(悲しいことですが……)、仕事の負荷も低下し続けてストレスから解放されるのです(うれしいことです)。
仕事への満足度が上がり、さらには「幸福である」と答える人の割合も増えます(同調査より、50歳38%、70歳55%)。

もちろん、報道されているように老後破産で苦しんでいる人もいますし、生活費を得るため懸命に働き続けている人もいます。年金をもらっても老後の生活費がまったく足らない人は、「小さな仕事」というわけにはいきません。大変ですが、稼ぐしかありません。
しかし「多くの人はそうではない」というのが坂本氏の分析です。

では、60歳以上の人たちは「小さな仕事」をしながら毎日何を楽しんでいるのでしょうか。次節で見ていきましょう。 

定年後悪くはないが、それでいいのか?

2014年のデータですが、内閣府が60歳以上の男女6千名に、「普段の生活で楽しいと感じていること」を聞いた結果があります。
「テレビ、ラジオ」が83%で最も高く、次いで「新聞、雑誌」55%、「仲間との集まりなどの交際」48%、「食事、飲食」48%、「旅行」41%、「家族との団らん、孫と遊ぶ」40%、といった順になっています。
「テレビ、ラジオ」が1位、「新聞、雑誌」が2位、というのは残念ではありませんか?

老後資金を考えるとテレビなどで時間を過ごすのがいちばん、というのもうなずけますが、本当にそれでいいのかな? それしかないのかな? と私は思うのです。

実際に「お金がないから楽しめない」とつぶやく人は多いですが、「時間がないから楽しめない」という退職者には会ったことがありません。
お金がなくても時間を使って楽しんでいたのが江戸・明治時代に生きたふつうの人たち、すなわち、お百姓さんや漁師さんたちです。本書では、彼ら彼女らの生き方や楽しみ方をヒントにして、私たちの生き方、とくに楽しみ方を見つけていきます。

当時の人たちは、いまよりも格段に不便な社会で生きていました。私たちから見ると「ミニマリストでサステイナブルな生活」ともいえるでしょう。それでも日々を楽しんでいたのです。その生き方や楽しみ方は、「定年を過ぎて時間ならあるぞ~」という人、お金をかけずに楽しめる方法を探している人、ちょっと不便でも自然豊かな田舎暮らしを考えている人、などのヒントになることでしょう。
次節では、江戸・明治時代を生きた人たちの楽しみ方の全体像を示します。人生を楽しむのはこれからです!

お金もモノもなくても楽しんでいた江戸・明治時代の人たち

当時の人たちはモノやサービスに頼る生活ができません。そのため、あれがほしい、これがほしいと思ってもないのです。モノやサービスがあふれている現代と比べると、ないに等しいのです。
村では飲食店などのサービス業が少なく、ご城下や宿場町まで歩いて出かけなければ遊べませんでした。情報も少なく、どこで、誰が、何をしているのか、わからないのです。そのような生活でも、当時の人たちなりの楽しみ方がありました。

図1は、江戸・明治時代の人たちの楽しみ方について、私が調べた結果の全体像です。おいおいと思われるかもしれませんが、「働くこと」が楽しみの中核でした。子どもも、老人も、それぞれに適した仕事をし、家族や社会に貢献して感謝されていました。

いまの勤め人との決定的な違いは、自然のなかで家族や仲間とともに働き、目に見える成果(農作物を刈り取る、魚を釣るなど)を得ていたことです。「働く」理由には、生活のために「稼ぐ」こと以上の楽しみがあったのです(詳しくは第3章にて)。
稼いで遊びや教育費にお金を使いたい人は、当時の人たちのような働き方をしていては収入不足です。しかし、稼ぐ時代を終えて退職した人、物欲にこだわらずミニマリストの生活を望む人にとっては、非常に参考になる働き方だと思います。

日々の仕事で満足感を得たあとは、余暇の時間です。
当時の人たちが仕事をしていないとき何をしていたかというと、とにかく集まりました。集まり、しゃべって、食べて、飲んで、歌って、楽しんだのです。村には飲食店がほとんどないため、誰かの家で集まりました。お金はかかりません。
また、年中行事など集まるきっかけをたくさんつくっていました。ご近所さんとのつながりが強すぎたため、孤独死はできません(詳しくは第4章にて)。

いつも村で過ごしていた当時の人たちのいちばんの楽しみは、村を出て旅をすることでした。行き先は社寺か温泉。当時の旅は危険が伴うため、原則グループ旅行です。
数少ない旅の思い出を大切にし、いつまでも思い出話にひたるのが彼ら彼女らの楽しみ方でした(詳しくは第5章にて)。

余暇の時間には趣味も楽しみました。私たちのように、映画を見る、食べ歩きをする、というお手軽なものではありません。詩作や植木づくりなど、時間をかけ技能を磨いて楽しむのが当時の人たちのスタイルでした。
お金をかけなくても楽しめる趣味はいろいろとあるものです(詳しくは第6章にて)。

性愛は私たちとは異なる倫理観のもとで、大らかに楽しんでいました。「純潔」という倫理観が入ってきたのは西洋文化とキリスト教が再上陸した明治中期で、それ以前は性に対し寛容だったのです。具体例は「読者特典用のPDFテキスト」に記載しています。

私は本や文献、昔の日記、昔の生活がわかる博物館や資料館の展示品をいろいろと見て、その生活や昔の人たちにとっての楽しみ方を探ってきました。
その結果、彼ら彼女らのいちばんの楽しみは、自然のなかで働いて目に見える成果を得ることだと確信しました。そして、仕事のあとの楽しみ方は「集まり」「旅」「趣味」「性愛」の4つに分類できたのです。

あなたが現役バリバリの人であれば、自然のなかで働くなんて「違う世界の話だ」「まだ先の話だ」と思うかもしれません。
ですが、皆さんにもチャンスがあります。たとえば、リモートワークは自然のなかでの暮らしを可能にしました。自然の恵みに頼るサステイナブルな暮らし方、そして、モノやサービスに頼らない先人のような生き方も選択肢になったのです。
さらに、よい話があります。イギリスでは週休3日制が普及しはじめています。日本でも導入する企業が増えてきました。会社員の休日は増え続けているのです。

次章からは当時の暮らし方や楽しみ方を見ていきましょう。
第2章では、江戸・明治時代のふつうの人々、すなわち人口の85%を占めていた農民や漁民の暮らし方を紹介しています。彼ら彼女らの楽しみ方のバックグラウンドの話のため、お急ぎの方は見出しだけでもご覧いただき、第3章に進んでいただいても構いません。

第1章まとめ

「会社員」というアイデンティティーを失ってからの定年後や退職後、その時間は長いです。
多くの人はストレスが少ない仕事をして、現役時代よりも幸福度を上げています。
しかし、日常の「楽しみは何?」と問うと、テレビを見ることなどが挙がってきます。
「時間はあるがお金がない」といいますが、江戸・明治時代の人たちはそのような状況でも日々の暮らしを楽しんでいたのです。

*   *   *

第1章はここまで!
続きを読みたい方は、各電子ストアにて2025年1月17日より随時発売になります。ぜひお買い求めください。
下記リンクはAmazonストアでの商品ページになります。書籍の詳細と目次もこちらからご覧になれます。
書籍『定年後を豊かにするシンプルライフ お金・モノに頼らない生活の実現へ』

■ペーパーバック版(紙)

■Kindle版(電子書籍)

■書籍情報

定年後の「楽しい」を、もう一度考える。
この本で見つかるのは、シンプルだからこそ得られる豊かさ!


自由な時間が増えたはずなのに、「何をしたらいいかわからない」「お金がなくて楽しめない」と思っていませんか?
そんな人におすすめな1冊です。江戸・明治時代の庶民の暮らし方から学び、お金やモノに頼らず、自然や人とのつながりを楽しんだ昔の人々の知恵や工夫は、便利さに囲まれた現代社会に新たな視点を与えてくれるでしょう。

本書では、定年後の生活を充実させるための様々なヒントをご紹介します。
失われがちな働く喜びを再発見する方法として、自分の手で何かを生み出し、目に見える成果を味わうことで得られる達成感を取り戻す道筋を示します。
また、人とのつながりを生かした暮らしの重要性にも注目。地域の人々と支え合いながら楽しみを共有することで得られる喜びは、孤立しがちな現代において欠かせないものです。
旅や趣味を新たな視点で楽しむ方法にも触れ、シンプルな旅の楽しみ方や、身近な趣味を通じて充実した時間を過ごすアイデアをお伝えします。
これらすべてを支える土台づくりにもフォーカス。健康を維持し、衣食住や環境を整えることで、安心して暮らしを楽しむための基盤を築く方法を丁寧に解説します。

「シンプルに暮らす」というと、不便さや制約を思い浮かべるかもしれません。しかし、江戸・明治時代の人々の暮らしにヒントを得れば、シンプルだからこそ味わえる喜びや楽しみが見えてきます。
自由な時間を生かし、心から満たされる毎日を送りたい。そんな定年後を願うあなたに、本書は最適な1冊です。あなたらしい楽しみ方を、いまこそ見つけてみませんか?

【目次】

第1章 どうする定年後、あなたは何してる?
第2章 江戸・明治時代の暮らし方
第3章 自然のなかで働く楽しみ
第4章 集まる楽しみ
第5章 旅の楽しみ
第6章 趣味の楽しみ
第7章 人生を楽しむために必要なこと、大切なこと

【購入特典】
江戸・明治時代の生き方・楽しみ方 事例集

■著者プロフィール

ふくしまゆきお

昔の楽しみ研究家、1959年生まれ。大学卒業後、エンジニアリング会社で研究部門や設計部門に勤務。成長を求め続ける現代社会と自分自身に窮屈さを感じはじめた55歳のとき、成長よりも安定を選んだ江戸時代の生き方・楽しみ方に興味をもち調査を開始。世界からは遅れ、モノもサービスも乏しい時代でも人々は人生を楽しんでいたことに衝撃を受ける。定年退職後は調査に多くの時間を割き、第一作として本書の出版に至る。
「日本好きの外国人をひとりでも増やすこと」を目指し、調査結果は日本好き外国人向けの英語ブログで発信し日本のよさを伝えるとともに、訪日観光客のボランティア・ガイド、日本語教師としても活動。現在、千葉県と長野県で2拠点生活中。

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