僕のヒッチコック
こんにちは。今回は映画界の巨匠アルフレッド・ヒッチコックについて書いていこうと思います。映画で何人巨匠がいるんだと思う人もいると思いますが、彼は50年から70年のハリウッドを盛り上げた巨匠と呼ばれるのにふさわしい映画監督です。すごく完璧主義者だと思います。そして個人的に思い入れがすごくあります。
なぜか?
実は、大学の卒業論文で「ヒッチコックの作品の変遷からみるフェミニズム運動」という題名で書きました。25000字くらいだった気がします。シンプルに彼の作品がすきで、僕の所属していたゼミが比較的自由度が高かったので、無理やりくっつけた感じになりました笑
今回は、僕自身が思う、ヒッチコック映画の魅力をただただ語っていきたいと思います。少し、長くなるかもしれないので項目ごとに分けてみました。
ハラハラドキドキ製造機
まず、映画のおもしろさを測る1つの軸として「あきない」要素ってすごい大事だと思います。どんなに細部にこだわった美しい映画でもやっぱり観客にあきられてしまったら正当な評価は受けられないと思うんですよ。よくアート映画にありがちなんですけど、作り手の自己満、エゴで構成された映画ってそんなにおもしろくないっす。その反面、ヒッチコックの映画は常にどきどきさせられるんです。彼はよく、サスペンス映画の巨匠と呼ばれるのですが、サスペンスとは直訳で「宙ぶらりんで不安」という意味なんです。つまりオーディエンスがつねに不安にかられどうしようもできない状態。ジェットコースターの一番てっぺんでくだることなくひたすら待たされる感じ。たとえば「鳥」という映画は、アニマルパニック系の映画なのですが、主人公が学校で鳥に襲われるシーンに注目。すごい細かい描写を説明するのでわかりづらいかもです。まず、最初にヒロインのメラニーが一人カメラの中に収まります。後ろにはなにもいないジャングルジムが写っています。さらに彼女がタバコを吸いはじめると彼女だけのショットになりジャングルジムは映らなくなる。さらに後ろのジャングルジムに一羽の烏がとまるショットがはいる。そのあとにまたメラニーだけをぬく。たばこの減り具合でどのくらい時間がたったのかを観客に伝えながらメラニーがたばこをほとんど吸い終わるまでジャングルジムのショットは登場しない。そしてメラニーが違和感をもって振り返った時にはジャングルジムはすでに烏でいっぱいになっているんです。拙い説明ですが、映画を見ればこのシークエンスの素晴らしさがわかると思います!
ヒッチコック風ユーモア
個人的に芸術的なセンスがある人ってユーモアとかウィットを持ち得ている人だと思ってます。例えば、ルネサンス期を代表するラファエロは「アテネの学堂」という絵のなかで自分自身を描いてるんですよね。しかも、この絵にでてくるのは、ソクラテス、アリストテレスやピタゴラスなど、要は、偉人オールスターなんです。その中に、自分を入れてしまうラファエロに少し、親近感がわきますね笑 よかったら一人だけこちらをみてるので探してみてください。
それで、ヒッチコックに戻ると彼もラファエロと同じような遊び心がある監督なんです。というのも彼はほとんどの作品にカメオ出演しているんです。しかもラファエロよりもっと大胆に笑 もはや探さなくてもわかってしまうレベルで。
なんか、こういう遊び心って影響力が大きくなる人ほど必要だなって思うんです。こういったユーモアがわからないと、先日の星野源とのコラボ動画のような結果になってしまうのかな〜って。これについてはとてもいい記事を読んだので勝手ながらシェアさせていただきます。
さらに、彼の映画にほとんど必ず登場する主人公を追いかけるも、ヒロインのかませ犬になってしまう女性がいて、そんな彼女たちの絶妙な表情も笑える。爆笑ではありませんがクスッとなる普遍的なジョークがちりばめられていますよ〜。特に楽しみたいなら「裏窓」をみてください!映画というメディアの根幹に触れたシナリオ設定があって、なおかつJ.スチュアートが演じるなんか残念な中年男の姿が終始おもしろいです笑
ジェームズボンドの元祖
僕は、彼の映画をみて思うのは、ジェームズボンドの原点となっている男はヒッチコックの映画にでてくる、C.グラント、J.スチュアートなのではないかと。ちなみに、初代ジェームズボンドが1963年なので時間軸的にはありえるかと、、。というのもまず第一にスーツがバカ似合う!タック入りのストレートパンツに段返り三つボタンのグレーのスーツ。かっこよすぎでしょ。もともとイギリスで生まれ育ったヒッチコックなので、スーツの着こなしはなんともイギリス紳士という感じですよね。そして、007シリーズには必ず登場するボンドガールですが、いつも年下の女性ですよね(僕はダニエルクレイグしかみていませんが)。ヒッチコックの映画でもほとんど、女性は10くらい年下なんです。しかも、採用するのは一様にその時代を代表する白人のブロンドヘアーばっかり。いい歳をしたおじさんがなぜか若い綺麗な女性に好かれる。それを慣れた手つきでなだめる余裕のある大人の男。あれは完全にジェイムズボンドですよ。服に関して言えば、「北北西に進路を取れ」でケリーグラントがきたスーツは実際にショーンコネリーが着回したとかいう噂もありますが、、。この映画でケリーグラントはスーツを基本的に2つしか着ないんですよ。ただ、シャツをブロードからオックスフォードに、靴をストレートチップからロファーに変えることで主人公の気持ちの変化を上手に表している。美的才能もあるヒッチコック節炸裂です。
さて冗長な文をつらつら書いてきましたが、要約するとヒッチコック天才となるわけです。ちなみに、彼はもともと広告会社のデザインに携わっていたこともあって、映画のショットを決める際の絵コンテのレベルがめちゃ高いです。最近「パラサイト」でときの人となったポン・ジュノ監督くらいうまいです。最後にヒッチコックのなんの映画みたらいいのかわからない!という人の為に独断と偏見でレコメンドをしておきます。お時間があれば是非みてみてください。まだ書き足りないので、それに関しては今度またあらためて書いていきます。最後まで読んでくださりありがとうございました。
「サイコ」「北北西に進路を取れ」「裏窓」「フレンジー」「レベッカ」