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(連載63)絵が描きたい! でも何を描いたらいいんだろう?:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:2010年
的がどこにあるのかもわからないけど、
やたらめったら、撃ちまくる。
いい意味でも、悪い意味でも、、、、。
皆様の周りにも、こういう方がいらっしゃいませんか?
「もっと的を定めて、狙って撃てばいいのに。。」
「この人、行動力はあるけど、いったい何がしたいんだろう?」
「いろんな事やってるけど、もっと一つの事に集中すればいいのに」
「器用貧乏で、何でも出来るみたいだけど、結局何一つ、モノにならないのでは?」
そんな
「器用貧乏組合」の会長が
この、アタクシです。
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どもっ!
器用がなくなると、ただの貧乏組合なので、決してお金持ちにはなれませんが、ものすごい働き者、しかも、他人に危害は加えませんっ。
なので皆様も、そんな器用貧乏者を見かけたら、どうか優しくしてあげてくださいね。
お願いします!
さて、今回のお話(実話)にはいります。
わけわからん、てんこ盛りのファッションショーをやったこれですが。
次の年。2010年の事です。
いつもショーをやるとでは、わいわい、ガヤガヤ、、、、色んな人といろんな事をやったんで、頭の中がごちゃごちゃになって、楽しかったけど、
その反動で、この辺で、ちょっとひとり静かにしたくなった。。。。。苦笑
ヨガなどを始めてみたりして、
ムードは、瞑想。。。。。
しーん。
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はて。。。。
はぁて。。。。。?
はぁてなぁ〜。。。。??
そういや。
しばらく絵を描いてなかったなー。
かれこれ、10年くらい?
当時のことは、こちらに詳しく書きました。
簡単にまとめますと、、、、、
1999年、服の作品を作り続けても、なにか次のレベルまでいってる感覚が持てなかった私は、衣服という3Dの媒体を平面、つまり「服の絵」にしたらどうかな?と思ったのでした。
でも、私は美大にも行ってないし、まともに絵について教育を受けたのは、高校の時の美術のクラス。そして、卒業してから、祖父と一緒に習っていた日本画を、わずか半年?くらい。その頃は花などの植物の水彩画だった。
その後ニューヨークに留学(というと、お金持ちのお嬢様みたいだが、私はバイトしながら、いろんな学校のクラスを受けてみた、というレベル。留学でキャリアを積むつもりもなかったし=もともと学校は苦手)ただ、
「食えないアーティスト」って、なーんか、かっこいい!
ニューヨークに行って、アートスクールのクラスを半年くらいとってみた。って、程度。
そんな超軽い動機だったので、実際にニューヨークにいても、何をやったらいいのか? わからないまま、日本に戻りました。(1980年代の前半)このあたりはもう、詳しく書くときりがないので、省きます。
で、早送りして、1990年代の後半。
結婚して、ロサンゼルスに引っ越して以来、「洋服のアート作品」をずっ〜と作っていたが、なかなか自分が思うように展開してゆかない。
何かと自分の作品の言語化、つまり「自分の作る洋服はアートです」と言葉で説明しなければならなくて、それが、苦手。 だって、英語だし。。。。
じゃ、媒体が洋服じゃなくて、絵だったら?
絵なら、見るからに、アートだし!
そして洋服の絵だったら???
服の作品みたいに、説明しなくていいし!
それで、絵を描いてみようと思った。
テクニックはないけど、アイデアで勝負しようと思って、この時の題材は、当時集めていた古着の白シャツ。その襟についた、シミを描いてみた。
何枚か描いてみて、自分でも悪くないような気がした。
常に自分に優しい(笑)
これ、当時アクリル絵の具で、描いたもの。
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そしたら、タイミングよく小さなギャラリーのグループ展に参加させてもらうことが出来て、作品が奇跡的に売れたのであった!!!!
ここまでが、ざっと、これが、連載37に書いた、1999年の出来事です。ながっ!
また早送り。それから11年も経ちまして、2010年です。
もう多忙きわまる11年間が、あっという間に過ぎ去ってた。
バンドに参加して、ツアーにいったり、乳ガンになったり、仕事もアシスタントが必要なくらい忙しくなり、それに拍車をかけるべくファッションショーをやったりで、、、
すっかり絵の事は、忘れちゃってた。
そういや、そんなことがあったな〜〜くらいになってた。苦笑
しかし、
なんか、久しぶりに絵を描きたくなった。
なぜか、ものすごーく描きたい自分がいた!のであった。
しかし、、、、何を描くよ???
10年前と同じ題材っていうのも〜? どうなの〜?
でもなー、なんでも描けるわけじゃない。テクニックの問題で。笑
「技術がない」という弱点がバレない絵にしなくちゃ、、、、、自分の限界が最初から見え見えであった。
そして、いろいろと悩んだ挙句、結論は、
やっぱ、「汚れの首輪」しかないと思った。苦笑
このあたりの振り幅は 超絶狭い自分!
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ども。
「汚れの首輪」関連だったら、誰よりも自分が一番詳しいしっ!笑
じゃあ、前回とは、同じじゃない「汚れの首輪」?とはどういうの?
と、思った時に、自分はいったいこの10年で、どう変わったんだろう?と振り返ってみた。
あの頃と一番違うのは、バンド活動からの影響だ。
まさか自分が音楽をやるなんて、考えもしてなかった運命の流れに巻き込まれた。そして、それは、自分がそれまで、ぼんやりと聞いていた音楽というものに対する姿勢を決定的に変えた。
それまでも高校の時はキャロル(矢沢エーちゃんのいたバンド)にハマり、これはもうアイドル的追っかけ(周りの友人は野口五郎や郷ひろみ)で、その後は、なんとなく、流行ってるものを聞いてたくらいで、特に追っかけてるミュージシャンはいませんでした。
しかし、自分でバンド活動をやるようになってからは、自然と音楽を意識的に聞くようになり、ミュージシャンやバンドが作る特有の音や、それが生まれたカルチャー、またお互いの影響を時系列など考えて聞くようになった。
音楽好きの方からすると、え?今更???って。。。笑
ようするに2000年になってから、私は、40代!!遅いにもほどがありますがー、やっといろんな音楽に目覚めたんです。
なので、この遅咲き分、感激も、またひとしおでした。涙
世の中の流行りの音楽ってのは、こーーーーなってたんだって、やっと知った。
で。
この感激と
この絵を描きたい!
という気持ちをくっつけて、
リスペクトするミュージシャン達の汚れの首輪のシリーズにしよう!と思いついたんです。自分に一番正直で、自分が誰よりも一番エキサイトする!!
これが一番重要だとも思った。
それで、とりあえず、ミュージシャンの服とその襟についた汚れというテーマで、描きはじめました。
ちなみに襟は全部シミ付きでです。笑
まず、ボブ・ディラン
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ジミ・ヘンドリックス
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ニルヴァーナのカート・コバーン
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パティ・スミス
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ちなみに、見出し画像は、クラフトワークです。これは、難易度かなり高めでしたが。
こんなかんじで何枚か、描いてみたら、けっこう、悪くないような気がした。 いつもの「自分に優しい自分からのお告げ」であった。苦笑
それで引き続き、全部で10枚くらい描いた。
そして。
ある日、ふと見上げたら、うちのリビングは白壁であった・・・
その白壁は、何かが飾られるのをまっているように見えた。。。。
はい!やりました!
個展@自分んち
家のリビングの壁に描いた絵を全部飾った。
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そして、これは、VIPの招待客のみの展覧会。(つまり全員、友達。笑)
なので、値段も、友達ディスカウント価格!
そしたら、ほとんど売れたんですよ〜。そんくらい消費者の立場にたった値段にしておいた。という意味ですが〜。汗
まあ、値段はともあれ、ですよ。
タダでも、いらないものが氾濫している昨今、
安くても買ってくれる人がいる、つまり言い換えれば、本気でその絵が好き!(もしくは友情という義理感覚)
これは、嬉しかった!!有り難かった!勇気をくれた!!
そして、もっと大きいサイズとかも、描きたくなった。
なんか本気っぽいサイズ!!
本気の画家は大きいサイズを描くものだ!
そして普通、画家というのは、
「ギャラリーでの個展」をやるものだ。
自分んち、
じゃなくってー。 笑
本気で「ギャラリーでの個展開催」というお墨付きが欲しいと思った。そんな「権威」を欲しがる自分にも気がついた、のではあるが。汗
先日、ファッションショーをさせてもらった、トラック16ギャラリーに聞いてみたら、ギフトショップの隣の小さいスペースだったら、オッケー。と言ってくれた。
やった〜!! 小さくても「ギャラリーで個展」には違いますまい!!
ギャラリーの壁は、「器用貧乏組合」の壁ではないはずだ!!
張り切って、画材屋に行って、一番大きいキャンバスを買った。そして、自分が持っている絵画テクニックを、もうカツカツになるまで搾り出して描き始めた。
次回はその時の作品群をお見せします。
今回も、読んでいただいて、有難うござました〜。
L*