(連載30)ヘッド・ドレスのファッション・ショーでマネタイズを目指す:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:1995年
これは、前回からの続きであります。
時は。。。1995年。
場所はアメリカのロサンゼルス。。。
主人公は、ジヴンに世界一詳しい、ジヴンのエキスパート、
自分オタクのあたくし、「瑪瑙ルンナ」であります。
全部、実話です。
まったく盛ってません!!
だって、
アタクシの主観なので、これ以上、盛りようがない!
そして。
もし、ロサンゼルスで、私を見かけたら、気軽に「ルンちゃん!」って声をかけてくださいな〜。
あのね。。。
いろいろ、前書きがウザいよ。いつもっ!
アタクシの中の他人が申しておりますので、さっそく、本題にはいります。
ファッションとアートの境目を自分の立ち位置にして、ファイン・アートのギャラリーで、ファッション・ショーをやろう!と思いつきました。
どんどん消費されるファッション・ビジネスのシステムに、自分の作る服の作品を組み込まれるのは、いやだ!!しかし、ファッションの持つ伝達のパワーを使って、マネタイズできないか?
「アート」と一口でいっても、
コマーシャル・アート(マネタイズが当たり前)
ファイン・アート(マネタイズできないのが、当たり前)
そのふたつの世界がきっぱり分かれているのがアメリカなので、その間にいれば、いいとこ取りできるんじゃないか?という虫のいい話です。
決して、マネタイズが一番の目的ではないですが、お金はあるにこしたことないし、自分が作ったものを買ってもらえるという事自体が、すごく嬉しいし!
(連載20)にも書いたのですが、自分の作品をイベントとして、ファッション・ショー形式で見せる。というのは、すでにやってみました。人もたくさん集まって、楽しかった。
ただ、こういうアートセンターや美術館というのは、作品は売りません。売ってくれるのは、アート・ギャラリーです。
なので、作品を売ってマネタイズしたいのなら、ギャラリーでファッション・ショーをやって、売ってもらおう!と、考えたのでした。
ただ、ファイン・アートのギャラリーというのは、ノン・プロフィットのアートセンターなどと違って、敷居もめちゃ高く、実績やコネクションがないと、まず、無理です。
ここで、助け船を出してくれたのが、先日もお話しました、行動派で物議をかもすのが得意の、若い女性キュレター!!
あの、スー・スペイド女史!!!(連載27)再登場!!
いきなり、森の中から、こんにちわー。
ちなみに、アートの世界で「物議をかもす」のは、褒め言葉です!
このアイデアを彼女に相談したところ、ジャン・バウムというギャラリーのオーナーにコネクションがあったので、すぐにジャンさんにきいてくれ、即オッケーをもらえました。
このギャラリーの場所はハリウッドのラブレアという通りの立派なところです。 ご覧ください。この、アングラ感ゼロ!の素敵な場所!
これが、ジャンさんです。今はもう彼女は亡くなりました。ご冥福をお祈りいたします。
この方も、さすがにスー・スペイド女史の知り合いなので、これまたオープン・マインド。
信頼している人の紹介であれば、私のような無名な実績のない日本人のアーティストでも、スペースがあいてる日を、シンプルなイベントに提供するくらいは、別にリスクもないし、、、、と。思っていただけたのでしょう。(もちろん無料です)
実際に、ファッション・ショーなんて、ただ、椅子を並べれば、ランウェイになるし、あとは、モデルの控え室(カーテンで仕切るだけ)と音楽の機材があれば、できます。
そんな経緯で、会場はすぐに決まりました。
そしてこの話を、当時、コマーシャル・フィルムのプロデュサーをしていた女友達にしたら、「応援するわ!」と、モデルやスタッフの段取りや椅子の準備はお任せ!と言ってくれた。わー、ありがたい!
音楽は、また別の友達が引き受けてくれて、機材はまた違う友達。。。と
数少ない友達が、みんな協力してくれる事になった。
前回のショーの時もそうでしたが、このあたりのボランティアのパワーは、アメリカは本当に、スゴい!!
「面白そうだ」と思ったら、(そんなに親しい関係でもなくとも)みんな、すぐ集まってくれて、お金に関係なく、とことん、やってくれます。本当にありがたいです。涙
ところで、、、、
肝心のショーのテーマですが、今まで、「服」「ハンドバック」ときたので、だったら、次は「帽子」??
そうだ!「被り物だ」!!
自然の軽〜い、思いつきで決めました。
この軽さも、今思えば、ファッション・デザイナーっぽい!ですね〜。苦笑
帽子はファッション・アイテムとしても、オブジェ感覚と結合しやすい歴史をもっています。そしてまた、「被るもの」といえば、カツラ!!があります。
髪の毛のもつ不気味なパワーと魅力。その神聖な歴史!!ハイ、決まり!
そして、ズラと帽子を合わせて、『ヘッド・ドレス』そして、
HE A D D RESS のアルファベットを分解して、
ショーのタイトルは、HE(AD)RESS
以下、実際に作った作品群をご紹介します。
まず、ヘッドギア。
実際にモデルが装着したところ。
サーフボードのような覗き窓ハット。
モデルが装着したところ。3色、色違いを作成。
ヘアのお団子がやじろべえのようについているヘッドギア
ヘアがついたシャツ
フェイクファーの帽子
逆さまのスカートになった被り物
招待状も全部、ひとりで作りましたよ。大きさは手のひらサイズで、コピーして真ん中を折り曲げて、ヘアピンでとめました。(ヘッドドレスなので!)
そして、お品書きのようにタイトルをつけて、もうすぐ買える様なリーズナブルなお値段も書きました。苦笑
前回同様に、モデルは全員ボランティア。メイクなどは一切なし。
ヘッドドレスなので、着用する服は、主張のない自分の黒い服をきてもらいました。
つまり、作品の材料費はかかりましたが、イベントに関しての、私からのお金の持ち出しはゼロです!
そして、いよいよ、当日!!
80人くらいの人がきてくれました。(写真の質が悪くでごめんなさい)
ショーは、無事終わり、みんなからグレイト!!グレイト!!賞賛されました、、、、そして、例の作品を買ってもらうという計画は。。。。。
マネタイズよ、、、さようなら。。。
まったく売れませんでした。。。
それだけでなく、雑誌などにもまったく取り上げてもらえませんでした。
あくる日に電話がジャンジャン鳴りやまないとか、
めちゃくちゃ、ディールのいい話が舞い込むとかも。。。
いっさい、なし!!!
例のコマーシャルの仕事をやっている友達は、マドンナにも電話しました。はい。あの、マドンナです!!
レディ・ガガの前の世代の、ファッショナブル番長の。。。
そのマドンナに作品を売りつけようと、彼女は何度も!電話したらしい。笑
もちろん、無視されましたよ。
その友達は、現在も、(つまり25年前の)コールバックのなかったマドンナに「あの、ビッチめ〜!!」と、今も怒っている。。。苦笑
いつものように、イベントそのものは楽しかったけど、それだけ。
終わってしまえば。。。。
しーん。
このヘッド・ドレスの作品は残ったけど、マネタイズ計画、記念の第一回目は、失敗。
ただ普通は失敗したら、そこから何かを学ぶものですが、私は何事も深く考えない、ただパッションに任せて生きているタチであったので、
こう考えた。
別にお金にならなくても、ファイン・アートの世界では当たり前!
まあ、こういうやり方で、続けてれば、いつか、どうにか、なるんじゃネ?
しかも、ファッションとアートの二足のわらじをはいていたので、
一方がダメだったら、どっちがに重心をうつせばいいや。
さっさと今回の失敗なんか忘れて、
ほな、だったら、次は、
マネタイズなんか絶対できないような作品を作ってみよー
と思いました。
絶対に売れそうもない作品!!
いえい〜!
たとえば、壁とか天井にくっついてるやつなんて、どうよ?
(これを反動、もしくは、ヤケクソともいう。。。。)
、、、、、次回はそのお話です。よろしくお願いします。
追伸:このマネタイズに失敗したので、私の便利屋フリーター稼業は、この後も、ずっと、ずっと、ず〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っと続きます!
L*