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27 Goe が Goe になったわけ


今までのは、こちらで途中まで読めます。 


葬儀後


*祖父の葬儀


    小学3年、8歳。
8月の炎天下、母方の祖父が倒れた。
近所のお地蔵さんを掃除してる最中に倒れたとのこと。そのまま、意識不明。
病院に運ばれても意識不明のまま。母に連れられ見舞いに行く。他の親戚も何人か来ていた。

    祖父は、近所に住んでたので何度か遊びに行ったことはある。従兄弟もいたので。その祖父に呼びかけても揺らしても、無反応。廊下で、母の胸に顔を埋めて号泣した。

    1週間も経たずして、祖父は意識が戻らないまま他界した。徳のある亡くなり方だと思うが、突然の事だけに悲しみに混乱していた。

    祖父の葬儀は、自宅で行われた。親戚一同、葬儀に出席。従兄弟達も参列していた。当然、親戚も喪服、従兄弟達も制服(県全部の小中学校に制服がある)母も喪服の着物。

    Goe は母から「これ着なさい」と言われ着たのだが、それは母の手作りのワンピースだった。半袖の白の総レース、ウエストにはブルーのレースでリボンをあしらったベルト。着たくなかった。「着たくない」とも言えなかった。いつのまにか、母に逆らえない子供になっていた。
白の総レースのワンピースは、どう見ても葬儀には似つかわしくなかった。むしろ、結婚式のバージンロードに花びらを撒く少女ようだった。

    Goe だけが、1人浮いていた。恥ずかしかった。制服で良かったのに、制服の方が相応しかったのに。
母は、他人と同じなのが嫌い、他人より目立ちたい、一目置かれたい、他人とあまり交流したくない、そういうのは子供ながらに感覚的に学習してたが、まさか葬儀で、手作りのバージンロードの少女のような服は、Goe の中ではあり得ない出来事だった。

    葬儀後に撮ったであろう写真には、喪服の着物を来て微笑んでいる母と、白の総レースのワンピースを着た複雑な顔の Goe が並んで写っている。母の微笑みは、祖父の悲しみよりも、自慢に満ちた微笑みに見えた。

    母が何を考えていたのかは、わからない。意図してたとすれば、親戚や従兄弟との差を見せつけたかったのだろう。それしか想像できない。

    祖父の葬儀は、病院で号泣した時の悲しみを超えて、恥ずかしさで涙すら出なかった。早く帰りたかった。

    そして(お母さん嫌い)が、またひとつ増えた。



【続く】


☆*:.。豆知識。.:*☆

周りと違うことを押しつけられる。反抗もできず従う羽目になる。周りの目に晒される。見せものにされる。
嫌だ、恥ずかしい、見られたくない、変に思われてるに違いない、果ては親戚の子供になりたい!とまで思いました。
子供の意見が親に通じない、いや、それ以前に話しても無駄だろうという諦めで、意見できなくなる。
子供も1人の人間として、意思や価値観はあるので、子供の意見を尊重してください。



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よろしくお願いします!


Goe

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