誰かの築いた道を、今の時代にどう歩み直すか:温故知新篇
現代では、古いシステムや制度に対して「時代に合わない」「そろそろ変えるべきだ」との声が多く聞かれるようになっている。
教育や働き方、エネルギー政策など、あらゆる分野で「今の時代に合っていない」という批判が上がり、変革が求められているのだ。
しかし、こうした仕組みの多くは、その時代にとって最適解として作られたものであり、かつての社会のニーズを支えてきた背景がある。
現代に合わなくなったからといって、ただ批判して終わるのではなく、当時の背景や目的を踏まえたうえで、今の時代にどう歩み直すかを考える必要があるのではないだろうかと最近しみじみ思う。
今週は、過去に作られたシステムが、どのように今の時代と噛み合わなくなり、どのようにアップデートできるかを考えるため、具体的な事例を取り上げながら勝手に考察してみたい。
事例①:教育システム
現状と問題点
現在の教育システムは、産業革命の時代に形成された。今週(と言わず結構頻繁に)のチノアソビでも教育の時代錯誤感は話題にしているが、この「錯誤」の全容は、どこかできちんと整理しておきたいと思っている。
大規模な工場労働者が求められ、従順で勤勉な人材が必要とされていた時代には、均一な教育を行い、画一的な労働力を育成することが求められていたため、詰め込み型の学習や画一的な評価基準が導入された。
しかし、現代は産業構造が多様化し、仕事の選択肢も増え、創造性や個性が重視される時代である。
このため、従来の教育システムが時代に合わなくなり、「もっと個別性を重視するべき」という声が高まっている。
アップデートの考え方
当時の教育システムは、その時代の社会ニーズに応えるものだった。
画一的な評価や詰め込み学習には、効率的に人材を育てるという目的があった。
しかし、今の時代には多様な働き方やキャリアが求められている。そこで、新たな取り組みとして、アクティブラーニングやSTEAM教育などが注目されている。
これらは個別の学びを重視し、子どもたちが自発的に考え、創造力を発揮できるようにするもの。
教育システムは時代に応じた変革が必要だが、過去の成り立ちを踏まえた上でアップデートしていくことが重要ではないかと考える。
事例②:企業での働き方
現状と問題点
終身雇用や年功序列といった働き方は、かつて日本経済の安定成長を支えた大切な仕組みだった。
雇用の安定が保証され、社員が会社に長く勤めることを前提に、福利厚生や昇進が段階的に与えられるこの制度は、多くの人にとって安心感のあるものだった。
しかし現代では、急速な技術革新やグローバル化により仕事や企業の形態が大きく変わり、終身雇用や年功序列がかえって柔軟な人材配置の妨げとなることもある。ジョブ型採用に移行できない、ジョブディスクリプションの洗い出しを不得意とするゼネラリスト型の経営が続いていることもその要因ではないかと思う。
アップデートの考え方
かつての安定的な雇用制度は、経済成長期の日本において多くの人を支え、社会を活気づける基盤だった。
しかし今の時代には、働き方に対する価値観も変わり、プロジェクトごとに人を配置したり、スキルを重視して評価するシステムが必要とされている。
リモートワークの普及や副業の解禁など、柔軟性のある働き方へのシフトが求められており、安定を大切にしつつも、現代の多様なキャリアパスに対応するためにアップデートする必要がある。
フリーランス保護法がうんたらと言われているが、結局それは「マイノリティを救ってあげたい」ベクトルでしかなく、そこじゃない、と後藤は常々感じている。
そもそもの話、シングルキャリアではなく、複合的なキャリア形成を前提として個々人が活動していくという体制に読み替えずして、部分的なフォローは本質的ではない。
事例③:社会保障費の財政見直し
現状と問題点
日本の社会保障制度は、高齢者の生活を支え、国民の健康を守るための大切な仕組みとして、戦後の復興期から整備が進められてきた。
高齢者医療の無料化や年金制度の拡充といった政策は、戦後の日本における高齢者福祉の大きな柱となり、当時の社会的ニーズに応えるものであった。
しかし、医療の高度化や長寿化が進むなかで、社会保障費は増加の一途をたどり、国の財政を圧迫する問題が深刻化している。
現行の制度は、少子高齢化が進む現代の社会構造にとって、持続可能とは言い難い状況になりつつある。
これに対し、永江一石氏のブログで知って驚愕した事実がひとつ。
東京財団の調査によると、現在の財政難は「政治の無駄遣い」「公務員の高い人件費」が原因だと思っている人がめちゃくちゃ多いと知って阿鼻叫喚した。
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