見出し画像

【自工程完結編8:自工程完結がトヨタにもたらしたもの】

本マガジンの過去の投稿は上記に入れています。

ご存じのようにこれまでトヨタは、トヨタ生産方式を展開し世界で確固たる地位を築いています。その生産方式自体が米国で研究され体系化されリーン生産方式としても有名になっています。

そんなトヨタがさらに仕事の質を改善するため、10年以上にわたって取り組んでいる「自工程完結」について対話形式で解説していきます。自工程完結とは、「良い仕事しかできない(やり直しがない)、良いものしか作れない(作り直しがない)という条件は何かということを徹底的に科学的に実現しようとする」考え方です。

さて、今回は過去のマガジンで心理的安全性を学んだ、製造課長の正輝‍が再登場します。

ある時、課内の工程主任であるの流星(若手)が現場への仕事指示の仕方、仕事の進め方で苦労しているところを目にします。そこで、下記の本を使って指導を開始します。

・・・・・・・

👱;おはようございます。

👨‍;おはよう。これまで考え方や事例を解説してきたけど、今日はまとめとして、自工程完結をしていくとどんなことがわかってくるのかというあたりを話していくぞ。

👱;はい。

◆自工程完結ができているか、気づくことができるシート

👨‍;自工程完結の取り組みを実施して時間が経つと、この名称を使うかどうかは別として、仕事の質を改善しようとしている組織とそうでない組織には差が出てくるようになるんだ。

👱;つまり、仕事の質を改善しようとしない、新しい取り組みをしない組織は失敗が減ってこないということでしょうか?

👨‍;その通り。やり直しを何度もやるし会議も減らない。なので、自分たちのレベルというか、進捗の状況を理解してもらうために、トヨタでは、「PDCAレベルアップシート」と呼ばれるものを活用しているそうだ。下記だ。

画像1

👱;おお、こんなチェックシートが。。

👨‍;このセルフチェックシートに基づいて、「項目ごとに工夫していること」、「改善したい・しなければならないこと」についても書いてもらうそうだ。

👱;こんな完璧にできるものなのでしょうか?パッと見、全然出来てないんですけど・・。

👨‍;現実的に言えばここまでしっかり出来ている組織はまずない。どこが出来ていないかということを把握するためのシートだと思ってもらっていい。

👱;なるほど、まさしくチェックシートというわけですね。

◆自工程完結がもたらしたもの

👨‍;自工程完結では、様々な仕事のプロセスややり方を洗い出すけども、大きな良い点は、業務の流れとかかわる組織が見えてくることだ。

👱;それは感じますね。どんな流れで、だれが、どの部署がかかわってくるのか業務フローを細かくすることで見えてきます。システムの要件定義のようです。

👨‍;ああ、実際には会社の行有無は極めて複雑で各種意思決定をするために必要な情報は別部門からもらう必要があったりする。さらに他部門の意思決定後にしか、自部門の意思決定が出来な場合も多い。これがかなり入り組んだ複雑な組織もある。

👱;はい。大きな組織になればなるほど、複雑ですね。

👨‍;そこでトヨタは、自動車を製造する際に、工程改善に使っている「TLSC(トー経つ・リンク・システム・チャート)という業務フロー図を活用しているんだ。

👱;TLSC?

👨‍;TLSCは複雑会議に入り込んだ自動車のサプライチェーンなど、複雑な工程を見えるようにした図だ。例えば、自分の作成した情報がどの部署のどの仕事に使われているのかがわかるんだ。万が一その情報が予定した期日までに作成できなったら、その情報を使って仕事をしているすべての部署に後れを連絡する必要があるわけだ。

👱;それは、自動車のような工程が長い製品には非常に重要な話ですね。すべてがつながって製品になっていきますからね。なるほど、この図を作成するシステムを構築する際に自工程完結の考え方が役立ったということですね。

◆後工程、前工程がどの部門なのかはっきりする。

👨‍;ああ、その通りだ、システム構築と自工程完結の考え方の相性は良さそうに見える。さらに、前工程、後工程がどの部門なのかがはっきりしてくる。仕事をしていると鶏と卵みたいに、A部署の情報がないとB部署は決められないだけども、逆にA部署が決めるためにB部署の情報が足りないといったことが起きる。どちらかが先に決めなければならい。そこで、待ちが発生すると問題が停滞してしまうなんてことがあるよな。

👱;はい。あります。お互い自分のせいではないと思っている場合があります。

👨‍;そのような場合、業務フローと洗い出しと関係者の把握をきちんと、するとどちらが決めるべきかというのは見えてくる。この時TLSCが役に立つそうだ。自分たちの業務がどこで前工程になり、どこで後工程になるのかということをしっかり把握しておくことが重要だ。

👱;なるほど。どうつながっているかを自分たちで理解をすると前工程、後工程とのコミュニケーションが図れる。これが出来れば自分たちの仕事を大きく効率化していける可能性がありますね

◆やるべきこと、やれること、やりたいこと

👨‍;著者の佐々木さんは、よく、人間には三つのやることがあるというんだ。それは「やるべきこと」「やること」「やれること」だという。「やるべきこと」と「やりたいこと」がくっついている人は極めて使命感の強い人だ。これをやらなければならないけども、本当はやりたくないという人は残念ながらあまりいい仕事はできない。

👱;なるほど、また、やるべきこととやれることがイコールの人は端的に能力がある人となりますね。

👨‍;そう。そして、「やりたいこと」と」「やれること」がくっついている人は自分勝手ということになるんだ。しかし往々にしてあるよな。「やりたいこと」が「できる」ものだからそればっかりをやって、「やるべき」ことが飛んでしまうことが。

👱;はい。あります。

👨‍;自工程完結というのは、これもすり合わせるすることができるんだ。

👱;確かに。目的・ゴールは何かというところから始まって、達成するためのプロセス手順を考えていく。そうなると、やるべきことが明確になり、その上でやれることをくっつけることがしやすくなります。そこにやりたいことがくっつけばモチベーションにもなりますね。

👨‍;そうすべてがうまくいくわけではないけども可能性は上がるんだ。

👱;そうなると、自工程完結って日々のマネジメントの領域に入ってますよね。やるべきこととやれること、やりたいことをくっつけるということは。

◆管理者の能力。ホワイトカラーの生産性に真摯に取り組んだ企業はあるか?

👨‍;その通りなんだ。管理者としての能力っていうのは実際「自工程完結の度合い」で見えてきてしまうんだ。そこが重要なんだ。日本の現場のレベルは高いと言われているし、実際に世界トップレベルだと思う。しかし、スタッフ部門やホワイトカラーのレベルはどうなんだろう。意思決定の遅さ、精度の低さが目立つ部分が多いんじゃないだろうか。むしろ上司である管理者側だったりスタッフ部門が現場の足を引っ張っている場合が少なからずあると思う。

👱;はい。うちの部署の場合その通りです・・。

👨‍;著者の佐々木さんは、「ホワイトカラーがボトルネックになっていて、生産性を上げなければならない。そして、ホワイトカラーの生産性を上げるということに真正面から取り組んだ企業が果たしてあったかのか」と強くいっている。そして、あったかもしれないが、それはみんな工場でやっているだけ、なぜなら結果が出ていないから。これまで、スタッフ部門は現場に助けられ来たと言っているんだ。それを改善していくのが自工程完結なんだとね。

👱;ぐうの音もでないです。やらなきゃいけない。これまでの仕事は自工程完結が出来ていなかったということ気づきました。自分自身の仕事をまず洗い出してみます。

👨‍;ああ、そうだ。でも自工程完結が目的ではないんだ。自工程完結の考えを使って仕事の効率を上げて、時間ができたときにさらなる付加価値をどうつけるか」ということが本質的には大事だ。つまり効率のいい会社ということではこれから生き残っていけない。だから、日ごろから時間が出来たら、「こんなことをすべきだ」「こんなことをしたい」ということを下準備しておく必要がある。

👱;なるほど。でも自工程完結ということを追いかけるだけでも十分大変だと思いますが・・。。

👨‍;まあ、その通りだな。追求し続けることは重要だ。そこはバランスだ。とはいえ、君の場合はまずこの考え方を使って効率化させることがやるべきことだね。ぶれることなく続けていってくれ。

👱;まずは、業務の分解と見える化ですね!

・・・・・・・

 今回は、自工程完結がもたらす効果について解説をしました。そんな中、やはりホワイトカラーの生産性の問題意識が出てきましたね。自工程完結と聞くと現場への話と思われがちですが、実は会社の問題はホワイトカラー側にあって、それを改善するツールにも使えるということが分かったかと思います。当然、現場に適用すべき考え方(基本)ですが、自分がスタッフ部門・管理部門にいる場合は仕事を振り返ってみてはいかがでしょうか?

 さて、次回は今回の自工程完結のまとめの投稿をします。そして、次のマガジンは自工程完結の話の中にも出てきた「見える化」についてのマガジンを作成していきたいと思います。解説する本は、遠藤功さんの「見える化―強い企業を作る「見える」仕組み」を解説します。見える化の古典的な立ち位置の本だと思っています。

下記の固定記事に、このnoteのコンセプト、これまでのマガジンについて説明しています。ご興味あればスキ・フォローいただければ嬉しいです。

番外編マガジンもあります。是非覗いてみてください💁‍♂️

#製造
#理論と実践
#ものづくり
#成長
#5S
#トヨタ生産方式
#ジャストインタイム
#自働化
#リーンプロダクション
#ザゴール
#制約理論
#ドラッガー
#ビジョナリーカンパニー
#アドラー
#コーチング
#情報リテラシー
#要件定義
#会計
#損益計算書
#決算書
#損益分岐点
#原価低減
#平準化
#両利きの経営
#両利きの組織
#心理的安全性
#グーグル
#推薦図書
#システム
#発注側
#会社改造
#事業再生



いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集