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【見える化編11:効果的な見える化とは】

本マガジンのテーマは「見える化」です。私も12年ほど、工場管理行っていますが、何度も何度も聞くキーワードが見える化です。ただ、これは工場の管理だけでなくすべての仕事、ビジネスにとって重要な考え方であり、活動であると思います。経験がある方が多いと思いますが、問題や状況が正しく見えるということができれば解決策や必要なアクションは自然と出てくるものです。そんな見える化について、体系的にかつ実例も入れて解説している名著「見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み 遠藤功氏著」について解説していきます。2005年が初版で、15年前の本ですが、間違いなく今でも通用する内容です。

製造部の上司の正輝と部下の流星が登場します。流星は前回自工程完結を学んで実践していく中で、見える化がすべての改善活動につながってくることに気づき始めます。そして、再度正輝と会話している中で、見える化とはなんなのか、どう使っていくべきなのかということについて、本を使って学んでいきます。前回、見える化の体系について指導を受けています。これまで「問題の見える化」、「状況の見える化」、「顧客の見える化」、「知恵の見える化」、「経営の見える化」をこれまで学び、今日は、「効果的な見える化」「良い見える化のための10か条」について学びます。


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👱;おはようございます。

👨‍;おはよう。これまで各見える化について解説してきたが今日は総括として、見える化の効果、そして効果的にするためにどんな点に気を付けていくかについて解説する。おさらいになるかな。

👱;よろしくお願いいたします。

◆仕掛けとしての「見える化」の効果

👨‍;これまで「見える化」についてさまざまな角度から説明してきたけど、その効果や目的、重要性は、ここまで読めばよく分かったと思う。

👱;はい。ただ、「見える化」が重要だからといって、なんでもかんでもオープンにして「見える」ようにすればいいといった単純な話ではないですよね。目的が不明確なままチャートやグラフを貼るだけといったうわべだけの「見える化」とか、現場が混乱するほど情報やデータが氾濫してしまうような「見える化」は、「よい見える化」とは呼べないと思います。

👨‍;その通り。もちろん、「見える化」にも「よい見える化」と「悪い見える化」がある。「よい見える化」の事例には、「見える化」がたんに事象や事実を「見える」ようにするということに留まっていないという共通点があるんだ。

👱;はい。「見える」ことはあくまで「入り口」だと思います。それが人間に刺激を与えることで、意識が変わり、新たな行動を誘発する。単に「見える」だけではなく、「見える」ことがきっかけになり、人間の心の中に何かを育み、それが「見える」前とは異なる思考や行動を生み出すということが重要なのですよね。

👨‍;結局、見えて“やる”か“やらないか”なんだ。ただ、やる可能性を上げることと方向性をわかりやすくするのが“見える化”だ。「見えれば解決する」といった単純な問題は、決して多くない。より重要なのは、「見える」ことによって何か新たなものが「育まれる」ことである。これこそが「よい見える化」と言えるんだ。つまり、「よい見える化」とは、「見える」という刺激を通じて次の四つの要素を育んでいる「見える化」なんだ。下記を本からそのまま、引用する。

1,「よい見える化」は「気づき」を育む
「見える化」によって見えた事象や事実を通して、人間は新たな「気づき」を発見する。情報やデータ自体に意味があるのではなく、「気づき」を発見させることこそが「見える化」の目的である。

2「よい見える化」は「思考」を育む
「気づき」という刺激をきっかけに、人間の思考回路は回りはじめる。見えた事象や事実にもとづいて、新たな認識や疑問が生まれ、「考える」という作業が行われる。ここで行われる「思考」は、事象や事実から誘発されたものであるため、抽象的・観念的ではなく、具体的なものとなる。

3「よい見える化」は「対話」を育む
「見える化」によって、さまざまな事象や事実がガラス張りとなり、組織内で共通認識が出来上がる。その結果、「組織の壁」「職種の壁」「階層の壁」「世代の壁」といった壁を超え、「対話」を促進させるきっかけとなる。

4「よい見える化」は「行動」を育む
「思考」や「対話」は、人間に新たな発想や知恵をもたらす。何をしたらよいかという答えや仮説を得た人間は、それを実行したいという欲求を持ち、それが具体的な「行動」をもたらすのだ。

👱;改めて、、「見える」ということは、所詮「入り口」にすぎないということですね。でも「影響の連鎖」を誘発する「よい見える化」は、人間の意識や行動を変えるためには、きわめて重要な仕掛けであるというわけですね。

👨‍;その仕掛けが上手くいけば同時に人を育むことになる。それができるようになっていくとお互い協力関係を築きやすくなって問題解決が進むようになっていく。

👱;そうですね。見えることによって情報交換、コミュニケーションがスムーズになりますので団結を生むことになっていくと思います。

👨‍;そして、その見せて、協働し問題解決することを繰り返すことによって、改善文化、風土が生まれてくるというわけだ。人を育み、団結させ、風土を醸成するこの仕掛けが見える化というわけだ。これはまさに経営の根幹だ。

👱;はい、でもどのような点を気を付けていけばよい見える化になっていくのでしょうか?

◆効果的な「見える化」のための10のポイント


👨‍:「見える化」は、その目的によって、さまざまなバリエーションがあって、「これが決まったやり方」という「型」があるわではない。だけども、「見える化」を効果的に行うためには、「見える化」の本質にもとづくいくつかの約束事がある。これを著者の遠藤さんは「「見える化」の10カ条」と呼んでいる。「見える化」を進めるうえでのチェックリストとして活用してほしいと言っている。下記だ。

(1) まず現状の棚卸から始める。現状の整理を行う。
現状、どの程度見えていて、見えていないのか、それを認識するところから始める。

(2) 「見せたくないもの」ほど「見える化」ほど「見える化」する。
見せられないと思う情報ほど、「見せる化」をしなければならない。

(3) 「見える」もの。「見せるもの」を絞り込む。
見る能力には限界がある、本当に見せたいものを見えるようにする。

(4) 鮮度・タイミングを重視する。
時間という要素は大きい。異常や問題は発見した時に「見える化」するのが基本である。

(5) アナログとデジタルを使い分ける。
「見える化」を、どのような道具で実現していくかも考えなければならない。ITを活用すべきか、掲示板の活用や現物をさらけ出すのか、だれに対して見せたいかを明確にし活用する。これは効果的な「見える化」には欠かせない。

(6) わかりやすく、シンプルに。
消化不良を起こすような「見える化」は、かえって組織内に新たな問題を発生させる。「アンドン」はまさにシンプルである。

(7) 現場の当事者自身が「見える」ように、仕組みづくりも作る。
当事者が問題意識をもち実行することが最も重要である。

(8) 本当の勝負は「見えたあと」。
もちろん、「見える化」によって問題が「見える」ようになっても、それをそのまま放置していたら意味がない。アクションが大事。

(9) 「見える化」のノウハウを共有する。
実績や成果、失敗などを共有し、全体の知恵として活かすことが肝要である。「見える化」を通じて、現場同士が互いに刺激し合い、学習していく環境をつくりあげることが見える化の本質である。

(10) 経営トップが「見える化」を牽引する。
経営トップが「見える化」の重要性を熱く説き、導入、定着を推し進めなければ、真の「見える化」が実現できるわけがない。

以上だ。これで本の解説は終了だ。

👱;なるほど。まさにこれまでの総括ですね。この10か条をチェックリストとして早速アプライしていきたいと思います。

👨‍;そうか。理解したならよかった。ぜひ活用してみて、実践しながら自分のものにしていってくれ。

👱:わかりました。長きにわたって解説していただき、ありがとうございました。

・・・・・・・

今回は、効果的な見える化、そしてそれを実現するためのポイントをこれまでの総括として解説しました。事例を確認した後に抽象概念としてポイントを抑えるとより理解が深まるかと思います。ここまでで、本書の解説を終了します。次回は、まとめ投稿を行い本マガジンを終了します。

ぜひ、スキ・フォローよろしくお願いします。

*下記の固定記事に、このnoteのコンセプト、これまでのマガジンについて解説しています。

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