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【ザ・会社改造編2:経営の謎解きの開始】
このマガジンのこれまでの投稿は上記リンクに入っています。
本マガジンでは、本noteの最初に出てきた健が登場します。元々工場の課長だった健は本社に異動し、新規事業部長となり2年が経ちました。そして今回、既存事業の関連子会社に社長として出向するようになります。内示は本社副社長の哲也からです。 健の出向する子会社は、近年の中国競合企業による市場の価格破壊からシェアの激減・業績不振が続いているようです。健のミッションはその事業の立て直しです。出向前に哲也から三枝匡氏の「ザ・会社改造~340人からグローバル1万人企業へ~」解説してもらいます。
本投稿では、プロローグの部分を解説します。
・・・・・・・・・
👨🦳:おはよう。
🧒:おはようございます。今日からお願いします。
👨🦳;ああ、本編に入っていく前に著者の三枝さんの経歴・ものがたりについて理解しておいたほうがいい。そして、どのようにミスミの社長になっていったかというところもな。
🧒:わかりました。お願いします。
◆社外取締役就任後3か月で社長就任依頼
👨🦳;三枝さんがミスミの前社長から社長を打診されたのは、社外取締役になってからたった三か月後のことだったそうだ。当時即答はしなかったようだが、結局経営を引き受けることにしている。
🧒:三か月ですか、、すごいですね。任せるほうもすごいです。
👨🦳:それだけ、信頼があったのだろう。三枝さんは、1944年生まれで、1967年に一橋大学を卒業し、三井化学工業(現:三井化学)に入社し、2年半で退職、ボストンコンサルティンググループの日本国内で採用したコンサルタント第一号になっている。ご存じ、超一流経営コンサルファームだ。そして、東京とボストンで働く。この職についてから、「経営者」を目指したいと思うようになったそうだ。
🧒;ボスコンの国内採用コンサル第一号ですか。ぶっとんでますねー。
👨🦳;だよな。そして、30歳の頃、スタンフォード大学のMBAを取得する。卒業後、32歳で住友化学と米国企業の合弁会社の常務に、その後トップに。さらに30代広範囲は大塚製薬が救済したベンチャー企業の再生にあたった。30代最後には役60億円のファンドを持つベンチャーキャピタルを設立して社長としての経験を積んでいるんだ。
🧒:ちょっと、、異次元過ぎて参考になりません。40代はどうだったのでしょうか?
👨🦳:41歳の時に独立している。40代半ばで、東証一部上場企業に乗り込み事業再生を行うんだ。そこで、彼は新しい人生の役割をそこで見つける。当事者が追い詰められ、ギブアップ仕掛けている事業をどう救うか。これを職業として選んだんだ。この時のやり方は社内の内側から改革を推進するという仕事のスタイルだったという。
🧒:安全な所にいて、コメントする適当なコンサルではなく、人間関係含め正面からぶつかっていき本質を変えていくということですね。まあ、一流の人であれば当たり前ですかね。
◆経営の謎解き
👨🦳:そうだね。ここで、これら経験の中で培ってきた経営の理論について、「謎解き」という言葉を使って解説をしていくんだ。(最終章までで50近くの謎解きが出てきます・・。)早速ここで1つ目と2つ目だ。まずは一つ目。
経営者の謎解き1:経営の切断力。
切断とは人のクビを切ることではない。惰性に任せてきた「経営の流れ」を切断し、組織の新しい方向性を導き出しそれを実行するという意味だ。事業に《キンク(kink : 屈曲)》を起こすのである。まずは問題のボトムに潜む本質に迫り、問題の構図を「単純化」しなければならない。それに基づいて新たな戦略を組み立て、《いま、そこにいる人々》のマインドを再結集させ、新たな外への戦いに向かっていくのである。
経営者の謎解き2:経営の修羅場
一般論で言えば、修羅場とは、事態のコントロールが自分の手から離れはじめ、他人の思惑や損得、保身、感情などに翻弄され、自分が追い詰められる状態を指す。修羅場では論理性の力(正しいか正しくないか)が減殺され、感情の力(好きか嫌いか)が増大する。つまり、修羅場の原因の多くは戦略系だが、その苦しさを増幅させるのは人間系、政治系の動きだ。
🧒:なるほど。過去の悪しき習慣や文化、この部分に切り込んでいくわけですね。そこでは、相当風当たり強いでしょうから、抑え込める能力知識がないとうまくいかないでしょうね。
👨🦳;その通り。三枝さんも同じように「上場企業の社長より経営技量を持っていなければいけない」と言っている。そして、どこの会社でも修羅場と呼べる状況が起きたと書いてある。相当な覚悟で改革に臨んでいかないといけないんだ。
🧒:覚悟ですね・・。
◆プロ経営者
👨🦳:ああ。そうやってリスクをとって、修羅場を経験することで圧倒的な経営経験と経営リテラシーを獲得することができたと。何が起きても平常心で対応できるようなったと言っている。そして50代になり、この事業再生の活動の最後に手掛けたのがコマツの赤字部門の再生だったとのことだ。さらにこれら事業再生で磨いた技量は大きく分けると下記3つになるとのことだ。
1、組織末端まで「戦略」を落とし込み、皆を熱くする「戦略の術」
戦略を企業トップだけの道具にしない。トップから組織末端の若手まで、皆が目を外(競合)に向け、皆が共有できるシンプルな「戦略ストーリー」を見つけなければならない。改革者はそれを熱く語り、経営現場に落とし込んでいく。
2、動きにくい組織を再生させるための「組織の術」
組織が生き生きと動くための「組織論」。社員が過度の根回しばかりしている組織は壊さなくてはならない。「戦う組織」への変身を狙い、新組織を注文建築のようにデザインする。組織という言葉の代わりに、ビジネスプロセスと呼んでもいい。
3、人を見分ける術
追い詰められた会社で気楽な見物人を決め込む社員はたくさんいる。変革チームの人選を間違えれば、事業再生は例外なく頓挫する。再生の修羅場では「この人はホンモノ、ニセモノ」が短期で実証される。その圧縮された経験を通じて人間に対する識別眼が急速に発達する。
🧒:なるほど。背筋が伸びますね。当たり前のように聞こえますが組織の中でこれを実践していくには、強い覚悟が必要だというのがわかります。まさにプロ経営者ですね。そして、50歳も過ぎ、経営リテラシー経験も超一流となった状態でミスミの社長に就任する(2002年6月)というわけですね。
👨🦳:ああ、そうだ。2001年に打診され、ミスミの社長になる判断をするのだが、その理由が1章で書かれている。次回、それを解説しよう。今日は、最後に三枝さんが言うプロ経営者の定義を下記に記しておく。
1,どんな状況の会社に行っても、短期間で「問題の本質」を発見できる人。
2,それを幹部や社員に「シンプル」に説明できる人。
3,それに基づいて幹部や社員の心と行動を「束ね」、組織の前進を図れる人。
4,そしてもちろん、最後に「成果」を出せる人。
5,業種、規模、組織カルチャーなどの違いを超えて、どこの企業に行っても通じる「汎用的」な経営スキル、戦略能力、企業家マインドを蓄積している。
6,その裏づけとしてプロ経営者は、過去に、修羅場を含む「豊富な経営経験」を積んでいる。難しい状況に直面しても、これは《いつか来た道》《いつか見た景色》だと平然としていられる。
7,プロには自然に「それなりの高いお金」がついてくる。
🧒:なるほど。ある会社だけで通用するというスキルではないのですね。
👨🦳:そう。その通り、だから今回の本の話はミスミについて書かれているが、この会社についての特別なことを書いているわけでないんだ。もしそう捉えてしまうとこの本から得られることは大幅に減ってしまう。ここからここに表れてくる現象や人間の行動・感情、戦略の論理などにはどの会社にも通じる普遍性や汎用性が含まれているんだ。いいかい、君が自分で経営するときをイメージをして、自分の中の仮説を作っていくんだ。
🧒:わかりました。肝に銘じます。過去の自分の事業マネジメントでもその組織の経営者として振舞ってきました。その部分とも照らし合わせながらお話を聞ければと思います。
👨🦳:ああ、そうしてくれ。今日はここで終わりだ。
🧒;よろしくお願いします。
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今回はプロローグを使って、三枝さんの経歴、そしてプロ経営者に関する定義について記載しました。エリートすぎて自分とはかけ離れていると思ってしまいますよね。しかし、三枝さんのように理論を生み出すことは難しいにしろ、”学んで理解する””自組織で実践する”のは出来ると思っています。さて、次回は1章を使って”会社の強み・弱みを見抜く”を解説します。ミスミ入社意思決定前に三枝さんがどんな考え方をしていたかも書かれています。ぜひ、スキ・フォローお願いします。
なお、下記の固定記事に、このnoteのコンセプト、これまでのマガジンについて解説しています。
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