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【ザ・会社改造編4:切断力の発揮】

本マガジンのこれまでの投稿は上記リンクに入っています。

本マガジンでは、本noteの最初に出てきた健が登場します。元々工場の課長だった健は本社に異動し、新規事業部長となり2年が経ちました。そして今回、既存事業の関連子会社に社長として出向するようになります。内示は本社副社長の哲也からです。 健の出向する子会社は、近年の中国競合企業による市場の価格破壊からシェアの激減・業績不振が続いているようです。健のミッションはその事業の立て直しです。そのため出向前に哲也から三枝匡氏の「ザ・会社改造~340人からグローバル1万人企業へ~」解説してもらいます。

本投稿では、第一章の第二節を解説します。

・・・・・・・・・

◆経営フレームワークとは

🧒‍;おはようございます。今日は、当時の弱みをどうしたか、そこからの改革のスタートについて解説いただけるのですよね?

👨‍🦳;そう昨日話したが、すまん。。。今日は時間がなくて、“弱みをどうしたか”という部分までしか話せなそうだ。ただ、本題に入る前にちょっとフレームワークという言葉について説明させてくれ。前回この言葉がでてきていたけど、これからも多用される。

🧒‍;フレームワーク。小池知事がすごく使いそうですね。確かに聞きますけど、説明しろって言われると困りますね。

👨‍🦳;ああ、三枝さんは、リーダーの能力は「フレームワーク」の量と質で決まるとまで言っているよ。そして、こう定義している。

フレームワークとは、物事の本質や構造を理解しわかりやすく説明するための「枠組み」のこと

🧒‍;なるほど。構造というのが気になりますね。構造化されるということ自体が、物事をわかりやすくさせてくれる。図解も一緒ですもんね。

👨‍🦳;ああ。技術者は技術に関する引き出しを戦略に優れたビジネスマンなら戦略に関する引き出しを、それぞれたくさん持っている。同じように優れた経営者は経営に関する引き出しを持っている。三枝さんはそうした引き出しの中に入っている、ものの見方考え方を「フレームワーク」と言っているんだ。

🧒‍;なるほど。コンサルとかがよく使うチャートのことと考えていいのでしょうか?

👨‍🦳;そうではないんだ。もっと単純な考え方やものの見方もフレームワークと呼んでいる。例えば、現場のメンバーを熱くしたい、それには最終目標が必要だとなったとき、君も過去の経験や考え方を使って案を考えるだろ?それもフレームワークと呼んでいるんだ。

🧒‍;なるほど。そのフレームワーク・考え方を場面ごとに適応させて使っていくことが重要で、それが量が多い方がいいし、使いこなす質が高い方がいいとそれが、経営者・リーダーの質になってくるということなのですね。

👨‍🦳;そう。そして、座学で学んだものを頭の中に冷凍保存することも重要。最初はパクリが重要ってことだ。これを「仮フレームワーク」と呼んでいる。だけども、それでは実際の場面に適応できない場合が多い。というか適応できるなんてほぼない。そのため、自分にとって使えるものに少しでも変えることが必要だ。それができれば少しの修正でも、新たな自分の理屈になってくる。それを、「自論フレームワーク」と呼んでいる。

🧒‍;なるほど、その自論言葉が、まさに三枝さんの自論フレームワークなのですよね。

👨‍🦳;その通り、自論フレームワークを生み出し、それを自分の頭の冷凍庫に蓄積し、将来の事件に適用するというプロセスが、リーダーの能力向上を生むんだ。これを抜きにリーダー能力を高めることはできない。

🧒‍;わかりました。激しく同意です。

◆ミスミの弱み~戦略なきよろづ屋~

👨‍🦳;さて、時を戻そう。

🧒‍;え?ペコパ知っているんですか?

👨‍🦳;なにそれ?まぁいい。進めよう。三枝さんはミスミのQCTモデルに関しての強みを理解できた。しかし、その後、ミスミの経営の異なる側面が見えてきたんだ。当時ミスミは、マスコミにも登場し派手な印象があった。そこに三枝さんは違和感を覚えていたのだが、その原因を突き止めた。それは、本業に力を入れず、違う事業に肩入れしていることだったんだ。当然、QCTを軸にインフラ部門からは派生した多角化は良かった。しかし、その強みが活かせない分野でも多角化を行っていたんだ。

🧒‍;そうなのですか。具体的にはどんな感じだったのでしょうか?

👨‍🦳;こんなものだった。

・ミスミの事業チームの数は、従来の工業機械部品関連を含めて、前年度は 2チームだったが、今年度は7チームになった。
・新規事業の立ち上げをさらに加速し、5年後の新規事業数を20以上にする。

そして、社内にヒアリングすると下記のような事業を行っていた。

-日本で外国車を修理すると、値段が高すぎる。ミスミの新事業では『非純正品』の部品を海外から安く調達して、日本の外国車修理工場に売る

-商店の「看板」は、注文してから日数がかかりすぎで値段も高い。新事業では看板を短納期で製作して、手ごろな値段で納める

-個人住宅で『作り付けの家具』を取り付けようとすると、かなり高価である 新事業では、デザインや製作、取り付けを低価、短納期で提供する

-町の居酒屋は店舗が小さく、メニューが限られている。新事業では、居酒屋の電子レンジでチンすればすぐにお客に出せるような加工食材を短納期で配送する。

🧒‍;確かにTimeに関しては適応できていると思いますが、QとCに関してピンとこないですね。そして、Time自体も、、武器になるのかピンとこないですね。

👨‍🦳;三枝さんも「これではだめだ」と思ったそうだ。彼はこの状態について、戦略なきよろづ屋という言い方をしている。そしてこの問題を認識する上でも、経験から取得したフレームワークを持っていたんだ。この時のミスミの内容を見たときに、80年代中頃の新日鉄をはじめとする重厚長大企業の多角化ベンチャー騒ぎを思い出した。遊園地やスポーツクラブ、リゾート、教育研修、人材派遣などなどだ。

🧒‍;確かに戦略なきよろづ屋というのがわかります。

👨‍🦳;そう、これと同じことをしているんではないか、そしてこのバラバラな状態は、会社がコントロールできていない、つまり全体戦略が欠如している可能性が高いと考えたんだ。

事業のシナジー 事業のシナジーが得られるのは、

1,事業・商品に関連性がある
2,共通の技術を使っている、
3,市場・顧客が重なっている
4,販売チャネルが重なっている。
5,既存のブランドイメージを利用できる、
6,競争相手が同じなので戦略上の連動効果がある、
7,勝ち戦に至る重要な競争要因が同じで、こちらはその戦いに慣れている、
8,必要とされる社内組織の強みが同じなのでそれを使える、

などの場合なのだが、今回のミスミの場合どれも効かないと判断してたんだ。

🧒‍;なるほど。

◆切断力の発揮

👨‍🦳;ベンチャーや多角化に関して、「仕組みによる強さ」が必要だと三枝さんはいう。「お金」と「頑張り」である程度のサイズまで事業を持っていけるがそこで止まる。当面はそこで踏ん張るもののやがて枯れ始めてしまう。

🧒‍;そうですね。競合が同じように成長してきてしまいますからね・・。

👨‍🦳;だから、仮に弱い事業であっても、強い事業であっても、相応の手を最初から打っていくことが重要なんだ。これができる力を戦闘能力と呼んでいる。戦略なきよろづ屋をしていた、当時のミスミにはこの戦闘能力が足りなかったということになる。

🧒‍;経営リテラシーもということにもなるのですかね。

👨‍🦳;そうだな。そして、この状況を変えなけばならないという三枝さんの指導の下、事業撤退の意思決定が徐々に行われていった。7つの事業の撤退が取締役会で決定された。惰性に任せてきた経営の流れを切断したんだ。

🧒‍;ただ文面で見ると、あっけなくなってしまいますが、死に物狂いで自分の事業に芽をださせようと頑張ってきた人に対して、事業をやめるというのは非常に大きなことです。この流れを断ち切るというのは大きなトップのメッセージになると思います。

👨‍🦳;そう。多角化・ベンチャーの熱気に包まれた幹部や社員にとっては晴天の霹靂だったという。ただ、その仕分けの中で別会社化され残った事業が3つあるという。これは後ほどでてくる。

🧒‍;撤退はわかりました。でも、次の成長は必要です。そのために、三枝さんは何を目指そうとしたのでしょうか?

👨‍🦳;それは明確だ。工業機械部品という本業に一本に集中して、「世界を狙う」ことだ。

🧒‍;なるほど、つじつまが合ってきました。QCTを武器に出来ている本業を世界という土俵に乗せる、それ以外は切断するということですね。なるほど、そこまで決まっていればこのタイミングで社長を決めたのですね。

👨‍🦳;いや、まだ決めたわけではなかった。

🧒‍;えー。。そうなのですか。なぜでしょうか?

👨‍🦳;おっと、今日はもう時間だ。なぜだと思う?これはかなり人間的な理由だ。ちょっと考えておいてくれ。

🧒‍;わかりました。考えてみます。

・・・・・・・・・・

今回はここまです。すみません、改革のスタートまで解説して1章を終わらせたかったですが、できませんでした。次回は三枝さんが社長になると決めた最後のポイント含めて解説したいと思います。時間かかりそうなマガジンですが、この本は全ビジネスマン必読書だと思っています。ぜひ、スキ・フォローお願いします!

なお、下記の固定記事に、このnoteのコンセプト、これまでのマガジンについて解説しています。

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