キャリアで一番失敗したことを語ろうかと思います
グルコースCOOの宮本です。
最近、後輩社員と話したり新卒・中途採用に関わったりするなかで、僕自身のこれまでのキャリア形成について聞かれることが多くなりました。
キャリアについて話すと言ってもそんなに大したキャリアでもないのですが、何か少しでも役に立つことがあればということで、今日は(個人的な話になってしまうのですが)僕のキャリアについて少しだけ書かせてもらおうかなと思います。
特に今回は「うまくいかなったこと」を話そうと思っています。
個人的にもうまくいったことよりうまくいかなかったことの方が今の自分にとって学びが多かったなと思うところもあります。
「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」なんて野村克也さんの言葉や、「失敗の本質」といった書籍もあるように、負け(失敗)から学ぶことのほうが多いものかなと。
本題、私の失敗談
新規部署立ち上げ。最初はかなり好調だった
当時26歳の宮本は社内での部署立ち上げの責任者に任命されました。
半年で部署を軌道に載せ、売上も部署立ち上げ時からクォーターごとに3割増し、通年で倍増しました。
社内表彰も受け、まさにうまくいったプロジェクトとなりました。
しかしここがピークでした。
メンバーが増えたが生産性は上がらず、業務負荷ばかり高まる
少数精鋭で始めたこの部署でしたが、売上が伸びたこともあり、立ち上げから半年経ったあたりで少しずつメンバーが増え始めました。一年経つ頃には人数は倍に。
しかしながら、メンバーは倍増したにもかからずアウトプットは増えず、元いたメンバーの業務負荷も減るどころか後から入ってきたメンバーのトレーニングなどに時間を取られむしろ高まるという事態に。
先任メンバー/新任メンバー間でのスキル差もあり、重要なタスクはいつまで経っても先任メンバーから離れません。
試しに新任メンバーに主要顧客をメインで任せるなどもしてみたものの、数ヶ月経っても軌道に乗らず、結局先任メンバーに戻すなんてことを繰り返していました。
人は増えどもさっぱり楽にならないこの状況。誰でも最初はこんなもんだろうと様子を見ていたのですが、何ヶ月経っても後任メンバーと先任メンバーのスキル差が埋まってこず、新任メンバーに対してどうにも信頼できない状況が続きました。
そうして先任メンバーと自分自身がタスクを抱え込む状況が続きました。
伸びなくなる売上
人が増えた分、当たり前ですが売上に対するプレッシャーも大きくなります。にも関わらず、前述のような状況が続き既存クライアントの売上が伸び悩んできました。
僕の部署の多くのクライアントは他部署のプロジェクトと共通していたので、これまでは、既存クライアントにやるべきことを愚直にやっていれば売上が伸びていました。
ただ立ち上げから一年が経ち、既存クライアントに対する取り組みの効果が薄れると、売上の伸びが鈍化しはじめました。
ということで新たに、新規顧客の開拓が部署の命題となりました。当初は人員増加で生産性をあげて空いたリソースで新規開拓を……と思っていたのですがそうも言ってられません。
新規営業を任せるも……
ちょうど新任メンバーの中で営業経験のある方がいたので(既存業務の立ち上がりが想定以下だったことと宮本が営業経験が薄かったこともあり)新規営業をその方に一任しました。
彼に任せたことで僕自身は綻びつつある既存事業部分をどうにかこうにかやりくりするほうに集中しました。
営業会社出身の彼は好調にアポイントを獲得してくれました。順調そうと思いきや、アポは取れても一向に案件が決まらない。
MTGを通じてあの手この手で改善を検討するも一向に良くなりませんでした。
決まりそうなクライアントがあるとのことで提案のサポートに入ると、確かに商談化はしておりニーズは無いこともなさそうだが、結局ズルズルと先方の決定が先延ばされてたち消える……。そんなことを繰り返していました。
とはいえ任せた手前もあり、僕自身もそれほど得意な領域でもなかったので基本的には任せっきりにしていました。
壊れる組織
そうこうしている間に時間は経過し、気づけばあんなに好調だった売上もすっかり停滞。数ヶ月に渡り未達が続き、そこから抜け出す道筋も見えない状況でした。
上長にも毎週のように詰められ続けていた僕は、いい加減売上をどうにかしないと!と慌てて新規営業のテコ入れをはじめました。
しかし、テコ入れしたからいってそんなに急激に回復することもない状況でした。
そもそも論として僕自身が新規営業を不得手としていたからこそ他メンバーに任せていたので、僕が少しテコ入れをしたからといってすぐに改善するはずがありません。
さらに、これまでのプロジェクトの売上は新規営業ではなく社内の既存のクライアントソースを活用していたため、部署として新規営業するような足腰もノウハウもありませんでした。
そんな時期に営業を一任していたメンバーから退職したいと告げられました。当時は狼狽えましたが、今考えれば当然のことですよね。
これだけではありません。メンバー間のスキル差は相変わらず埋まらない、激務で心身に不調をきたしてしまうメンバーが出る、業務負荷は高まっているのに業績は上がらないためメンバーは不満やいらだちを溜め込む。組織には目に見えて限界が近づいていました。
そして退任へ
売上も組織もガタガタで、僕自身にも段々と体調面・精神面ともに支障が出始めました。
自分の酒量がわかりやすく増えましたし、体重もどんどん落ちました。
続いて上長への報告MTGに出るのが恐ろしくなり、MTGの日は朝起きられないようになりました。こうなってくるともうどうしようもありません。
細部は省略しますが、その後いくつかの話し合いがあったあと、自身が立ち上げ一度は大成功と社内で評された部署の責任者を解任されたのでした。
(ちなみに部署は立ち上げ当時からのメンバーである後輩が引き継いでくれました。その後大幅にテコ入れを行い事業が再成長するのですが、それはまた別の話。当時はご迷惑おかけして本当にすみませんでした)
失敗に対する個人的な考察
振り返って改めて文章にしてみると悪いところが多すぎてどうにもですが。
当時の自身はマネジメントや組織について何も知らなかったんだなと思います。(今はどれほどかは棚に上げてです。今もまだ未熟だと思っています)
主に以下2点が、失敗に大きく影響したのではないかと考察しています。
苦手に向き合わなかった
「苦手なことは任せる」という言葉を使って重要な課題に向き合わなかった。これは最近になって言語化できたことなのですが、根本的な問題はここにあったと思います。
当時の組織の問題点は売上創出、単純化すると「営業」にあったのは明白でした。が、自分自身の得手不得手を理由にして、一番重要な箇所に取り組めていませんでした。
僕は基本的なポリシーとして、「人には得意なこと・苦手なことがあり、得意なことは得意な人がやるべきである」と思っています。そのため、今回の件も心のどこかで「新規営業も自分でやるのがベストだった」とは思いながらも腹落ちできていませんでした。
しかし最近、グルコースがシラスでご一緒させていただいている東浩紀さんの書籍「ゲンロン戦記」にこんなことが書いてありました。
この文章を読んで、僕はやっと納得することができました。「得意なことは得意な人に任せる」という言葉を使って、僕は自分がやりやすいところに逃げ込んでしまった。自身が不得意なところ、失敗が見えているところでも不格好に戦って、プライドも何もなくやることが必要であったなと思います。
本来であれば僕が率先して一番難しい課題に泥臭く取り組むべきだったなというのが反省点です。
重要課題には、不格好でも不得意でもマネージャーが率先して取組むことが何よりも重要で、そういう懸命に戦う姿に人はついてきてくれるのではと今では思っています。
事業の変化に組織として対応できなかった
部署立ち上げの当初は0→1→5に近いレイヤーの仕事でした。このレイヤーでは多能工化されたメンバーが目の前にある課題をひたすら潰していき、それで部署が成り立っていました。
この経験から、その次のレイヤー(さらなる売上増を目指して新任メンバーを迎えた)でも、新任メンバーに対して多能工化であることを求めました。
「マニュアルがほしい」と言われても、今日の正解が明日には不正解になってるかもしれない手探りの状況で、マニュアルとか何言ってんだろうと本気で思っていました。
今振り返るとこれは全く間違っていて、この頃は少人数の多能工で急激に推進するのではなく、メンバー全体のスキルや組織のノウハウを仕組み化して共有し、メンバーのスキルを平準化するべきでした。
「後任メンバーが育たない」という組織の問題(ひいてはマネージャーである僕自身の問題)をメンバー個人のスキルや資質と言った方向に課題があるのではないか?と思っていたために起こった間違いでした。
このフェーズで問題となることが多い「採用面でのボトルネック」は、ものすごく幸運なことにINCLUSIVEでは優秀な人材を多数採用していたのでそれほど問題にならなかったのですが、それが逆に悪い方向に働き、自身では採用を行っていなかったことで一層人を信頼しきれなかったのだと思っています。
今振り返ると当時のメンバーたちはとても優秀でしたし、現在では、同じ環境で僕がマネジメントしていたときには想像がつかないほど成果を出しているメンバーも多数います。
基本的にはきちんとした採用フローを通過して採用したメンバーはみんな真面目で優秀です。にもかかわらず成果が出ないのは、基本的にはマネジメントの問題であると今振り返ると思います。
自分の問題を直視せずにメンバーに転嫁するとは、本当に最悪なマネージャーでした。自身と組織の問題に向き合えなかった弱さだなと思います。
適切な環境を整備し、業務に必要なトレーニングを施す。それでも問題が出るなら、業務の複雑性が高すぎるか業務負荷が高すぎるのでマニュアル化・簡素化したり業務負荷を分散したりする。
それでもパフォーマンスが上がらないなら、ボトルネックになっているスキルセットは何かを特定する。
あるいはプライベートで課題を抱えていることで一時的にパフォーマンスが出ていないケースも考えられます。
八方手を尽くして初めて「適切な人材なのか?」を問うべきだなと今は思います。
終わりに
そんなこんなで今がありますが、あの頃を振り返ると今ならもっとできるなと思うことがたくさんありつつ、時間は戻らないし当時はあれで全力だったのだからしょうがないと思っています。
学びを活かして今目の前の物事にきちんと取り組むしかないですし、失敗したから今があるのでたらればを考えても仕方がありません。
また今回は失敗にフォーカスしたので、事業の良かった点についてあまりお話できなかったですが、上記の失敗談のなかでもたくさんのメンバー、同僚、上長にサポートしていただきました。
そのおかげで失敗してもこんなもので済んだとも言えるのかもしれません。当時も今も支えてもらい、いつもありがとうございます。感謝してもしきれません。
グルコースの仕事も基本的には新規事業・PoCばかりで、なるべく早く小さく失敗しないと進まないようなお仕事ばかりです。
試行錯誤しながら、クライアント・グルコースとともに成長していってくれるメンバーを絶賛募集中です。僕と一緒に失敗しながら成長してみませんか?
採用面接ではあなたの失敗談も聞かせてください。
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