【マーケティング】Googleが提唱したZMOT(zero moment of truth ズィーモット)とは?
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こんにちは!以前Google社員として中小企業のマーケティング施策に関わっており,現在はフランスの大学院で学んでいるKTです。
今日はGoogleが提唱したZMOT(zero moment of truth,ズィーモット)とは何かということについて学んでいきましょう。ZMOTとは,消費者が購買に至るまでのプロセスにおけるある一時点のことを意味しており,Googleが2011年に初めて使った造語です。概念自体がGoogleによって紹介されたのは約10年前と古いのですが,今でも消費者行動を考える上で改めて役に立つコンセプトであり,かつあまり知っている人がいない言葉なので,ご紹介したいと思います。
ZMOTの定義
ZMOT(Zero Moment of Truth、ズィーモット)とは2011年にGoogleが提唱した「顧客は来店前にインターネットで情報収集して,ブランドに関する意思決定を既に行っている」という消費者行動のある瞬間を表した言葉です。
ZMOTの前に知られていたFMOTという概念
Googleが2011年にこのZMOT理論を提唱する以前は,2005年にP&Gが提唱した,消費者行動に関する次の3ステップがよく知られていました。特に第2ステップで,消費者がオフライン乃至はオンラインで来店をし,あるブランドの商品について購入の判断をする時間は約3-5秒であることがわかっており,この瞬間のことをFMOT(First Moment of Truth,エフモット)とP&Gが名付けました。
Stimulas (刺激):消費者とブランドや商品が初めての接触を行う瞬間のこと。(例)TVコマーシャル,Youtube動画,ラジオで商品の名前を聞く,ダイレクトメールなどで消費者が初めてブランドについて知る瞬間のこと。
Shelf (来店)(First Moment of Truthとも呼ばれる):消費者が店舗やオンラインストアを訪れ,商品購入の意思決定をする瞬間。意思決定を行う時間は数秒間しかないことが知られている。
Experience (経験)(Second Moment of Truthとも呼ばれる):消費者が商品を購入し,実際に使用する瞬間。商品を使用した経験が,消費者のブランドに対するイメージを形作り,後々の購入に関する意思決定に影響する。
消費者行動は上記の三段階に分けられ,マーケティング担当者はこれらの3ステップの瞬間それぞれで消費者に良いブランドイメージを与えるようにマーケティング施策を行ってきました。
Googleが行った実験
ところがGoogleが5000人の消費者を対象に行った消費者行動に関する実験によると,実際には1と2のステップの間に,消費者が気になることをネット検索し,欲しい回答を探すという,後々の購買行動に重要な影響を与える瞬間があることがわかり,これをGoogleはZMOTと名付けました。
例えば,「赤ちゃんが夜起きずに快適に過ごせるオムツはどこのブランドか」や「どこのブランドの歯磨き粉が歯が白くなるか」など気になることに関して,消費者はインターネット検索をして情報を探しています。その瞬間にもしブランドが消費者が満足するような回答を提供することができていたのならば,ブランドは消費者に対して良いイメージを与えることに成功し,実際の商品購入に至ってもらう可能性が高くなります。
例えば,上記の例で言えば,消費者が良いオムツブランドがないかと探している時に,口コミや自社のHPで,自社の商品は吸水率が高く,子供がぐっすり寝られるという情報を発信していて,検索中の消費者にリーチすることができていれば,消費者が購入に至る可能性が高くなります。
一方で,消費者が自社が取り扱っている商品カテゴリーに関する検索をしている時に,消費者にリーチできなければ,折角購買へとつながる消費者行動にアクセスできるチャンスを失っていると言えます。
ZMOTを意識したマーケティング
以上で見てきたように,消費者が実際にオンライン・オフラインの店舗に訪れる前に,消費者がインターネットサーチを行っている瞬間のことをZMOTと呼びました。
ではZMOTを自社のマーケティングに生かしていくには,どうしたらいいでしょうか?
1)自社のZMOTに関する分析を行う
まず自社のZMOTはどのような瞬間に起きているかを分析しましょう。もし仮にデジタルカメラを売っているとして,どのような瞬間に消費者はデジタルカメラに関する情報を収集しているでしょうか?「子供が生まれた時,ジタバタと動く乳幼児をより鮮明に取ることができるカメラはどれか」,「消費電力が少なく,バッテリーが長持ちするカメラはどれか」あるいはセールシーズンに「ディスカウント率が高い製品はどれか」。どのような瞬間にどのような問いを消費者がインターネット上で投げかけているか,またどのような口コミやレビューを参照しているかについてできるだけ多くのデータを収集しましょう。
2)コミュニケーションは双方向のものになることを意識する
TVコマーシャルでは企業から消費者へと一方方向でメッセージが流されるのに対し,インターネット上では企業から消費者という向きの矢印のコミュニケーションだけでなく,消費者から企業にたいする質問や消費者同士のやりとりなど,様々なコミュニケーションのやりとりがあります。できるだけリアルタイムで,また対話を意識したコミュニケーションをとることが,消費者の信頼と良好なブランドイメージを獲得する鍵となります。
まとめ
以上がGoogleが提唱するZMOTという概念についての説明でした。是非ZMOTを意識したマーケティング施策を取り入れてみてくださいね。