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戦略エグゼクティブ・プレゼンス~世界に通じる0.1秒の最強プレゼン術~:第51回New York日本人MBAの会 講演レポート

4/25(木)、第51回NY日本人MBAの会にて、『戦略エグゼクティブ・プレゼンス~世界に通じる0.1秒の最強プレゼン術~』講演実施。

会は自己紹介からスタート。Niena(ニーナ)という呼称はアメリカ留学時代にEtsukoの真ん中のtsuの音が発音できない人が多く、即ち名前を覚えてもらいづらいという事態に直面した際に、ルームメイトにEnglish NameであるNienaと名づけられたとのこと。覚えてもらうための名前も一つのプレゼンスとして機能する事例と自己紹介を兼ねた逸話を皮切りに、まずはエグゼクティブ・プレゼンスとは何か、誰が必要なのか、という本題に入ります。

エグゼクティブ・プレゼンスは、エグゼクティブになって初めて必要という誤解を持つ人が多いですが、実際には「人の上に立つ人」「指導力を発揮する必要のある人」「自分を選んでもらった上で責任を持った発言・表現をしなければいけない人」全てが対象です。エグゼクティブだけでなく、リーダーとなる人、また、その人たちから評価を受ける必要がある人に不可欠なのです。

人は、瞬きをする0.3秒よりもさらに短い0.1秒で、対象者・対象物が自分にとってアリ・ナシを無意識下の感覚で決定、30秒で理性的・理論的裏付が成されます。さらに、様々な面での経験値が高く多忙なエグゼクティブは、1日に数多の決断・判断を下す必要があるため、すべての物事の判断が早く、「0.1秒の判断・30秒の具体的印象決定」の傾向が著しく顕著になります。

「ありもしない実力を瞬間的な印象で誇張して騙すのでは?」という誤解に対しても、プレゼンスとは自分が評価してもらいたい相手に、評価してもらいたい事柄を明確かつ伝わりやすくするために築き上げるものであり、判断の早いエグゼクティブの世界で、0.1秒でふるいにかけられて落とされないというのは、瞬間的に「アリ」と判断されたプラスの理由があったということ。実際に実務としての技術を測ってもらう舞台に上がる前段階の話。ここで選ばれない限り、どんなに技術があったとしても測ってさえもらえない。騙して良いということではなく、技術レベル以前に、少なくとも勝負の場に招き入れるにあたり「アリ」と判断されることもビジネスに必須の能力であるということを明確に御説明頂きました。

0.1秒で伝達され・判断基準となるビジュアル情報として、眉・口元・姿勢。これらは魅力・信頼・支配性を伝える上で重要です。世間でよく言われる「目」ですが、目は瞬間の感情・感覚と連動しており、虹彩と瞳孔が瞳孔散大筋によって動くため現在を意味します。対照的に眉と口は、その人の習慣によって作り上げられた表情筋で動くため、瞬間的な感情だけでなく過去から蓄積してきたその人の内実や感情の癖や特性が現れ、ごまかすことができないとのこと。姿勢も習慣の蓄積であり、同様です。

視覚情報のコントロールという文脈で装い方に関するトピックに移り、まず期待値コントロールのリスクマネジメントとして、柄や色が誤って伝えしまうノイズ(不要なメッセージや情報)を避ける、というものがあります。例えば柄はそれ自体が持つストーリー性が強すぎて、メッセージを勝手に伝えてしまう可能性があります。果たすべき役割や目的があるのならば、それを遮るようなものは取り除いておくべきです。男性のネクタイの色の例として、トランプ大統領が普段は赤や青という原色使用が多いものの、人種差別主義者であることを問いただされたときには淡い色のネクタイで柔らかなイメージを作りながらメディア対応をした、といった事例の紹介をして頂きました。

装い方とは、その人の思考に基づいた選択という行動、自分の伝えたいメッセージや目的を達成するための手段です。そこにきちんとした理由が存在していればよいですが、そうでない場合はバラバラの情報を発することなり、それはただのノイズになります。

リーダーが重要な場面で心がけるべきプレゼンスのポイントとして、「常に備えよ」という大事なメッセージを頂きました。表情・姿勢・顔の血色とツヤ・装い・仕草等大事な要素は多岐に渡りますが、立場が上がれば上がるほどチャンスの一歩が大きくなります。日頃の蓄積が出てしまうプレゼンスには、いざと言うときに誤魔化しは効きません。常にWell Preparedでいる心がけが必要です。

最後に、日本人が知らずにやってしまうこととして、文化の違いを考慮しない装いや行動、例えばお洒落で細身のシュッとした日本人男性のファッションや柔らかい握手、といった事例をご紹介頂きました。

本講演に常に一貫するメッセージとして、「プレゼンスとは自分が伝えたいメッセージの伝達手段。ルールはあるけれど、それは法律ではない。立場のある人間として、果たすべき役割や他者からの期待もしっかり理解し、仕事の文脈をもって、その人にとって“誤解なき自分”を周りに理解してもらえているものであり、取り巻く環境にとってその人のプレゼンスが不利益をもたらしたり不快感を与えたりするものでなければ、それはその人の責任を伴う意思表示なのですから、良い。」という、手段としてのプレゼンスで締めくくっていただき、講演後にも活発に質疑応答が行われ、参加者からも「話の組み立てが明確で勉強になった」「目から鱗が落ちる思いだった」と賞賛のコメントが相次ぎました。

レポート:NY日本人MBAの会事務局・佐野
写真:Shintaro Ueyama

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