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女が女に送る叙事詩(田中美津さん死去に寄せて)

田中美津さんが亡くなった。私は2023年のお正月に、一度だけお会いした。田中美津さんを被写体にした吉峯監督のドキュメンタリーが、女性文化賞を獲られたので、授与式が行われたからだった。(石川優実さんに連れていっていただいた)

一目見て、すごい人だと思った。パワーに圧倒されて、どう接せればいいのか分からなかった。だから伝説になったし、だから孤高の人だったのかもしれないと思った。彼女なしには日本のウーマンリブ、それからのちの女性学、そして2020年からのフェミニズムブームは到来し得なかった。

わたしは10年後には、田中美津が一万円札の顔になると思う。そういう人だった。
お会いできてよかった。
楽しく生きよう。生きづけようと思う。
生き続けていれば、自分より圧倒的に力の強い男に暴力を受けて、その相手が法律に守られて裁かれなくて、死んでしまいたいこともある。けれど、それでも生きようと思う。

だって「上野さん、長生きも芸のうちよ」と、上野先生に田中さんはおっしゃったようだから。

(そして生きていれば、そういう男が即日死刑になる国が飛行機で4時間行けばあるということも知れる)

とにかく、生きるのだ。生きてたらえらい。

そして私はこの上野先生による追悼の文章こそ、女が女に送る叙事詩であると思う。

http://www.pan-dora.co.jp/konohoshi/


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