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原典を参考にする理由

 私はストーリーテリングをする際には極力、原典訳を参照するようにしています。

 原典というか、現代に伝わっているお話の原型になっている一番古いもの、を私は便宜上原典と読んでいます。

 原典を、原語で読もうとすると、相当学習しないと読み解けないので、翻訳は学者の方にお任せするとして。原典の訳。できれば完訳を手にしたいものです。

 原典を手にしたい理由としては「原液が一番濃いから」ですね。

 いわゆるまとめ本「はじめてでもわかる!ケルト神話」とかわかりやすくリライトした神話紹介本は、そりゃあわかりやすいです(私もいろいろ読んだので、入門にはとてもいいと思います)。

 ただ、原典とはかーなーり、違うものになってるんですよ。

 単純にカルピスで考えると、カルピスの原液が原典。水や炭酸水などが、原典を読んでわかりやすくまとめてくれた人の解釈、です。

 水や炭酸水の入ったカルピスの原液に、さらに自分の解釈を載せてストーリーテリングをしたら「カルピスうすっ!」ってなるでしょ。

 ある程度濃い方が美味しいじゃん。

 あと、カルピスと違って、わかりやすく書き直すと、内容が変わったり、内容が欠けたり、間違いや妄想や創作も当然入ってきます。
 それは人間である以上、当然のことだし、私のストーリーテリングだって、当然私の解釈が入ります。

 だから元となる原液から作りたいんですよね。解釈は極力少ないままの方が、原典の濃さが出るんですよ。

 原液は濃いです。
 お話の内容が濃いんですよ。
 よく同人の世界で「公式が最大手」と言われますが、その通りで。
 細やかに濃やかに、登場人物のことば、うごき、その時代の習慣、詩の形式、作者のぼやき(笑)、いろいろたっぷり詰まっているのです。

 そこを、自分で解釈して解釈して、リアルに再現していく喜び。

 現代の価値観とは違った、昔の人の息吹を感じること。

 そういうのはとても楽しいものです。
 人に伝えて、受け取ってくれた人が、昔の人の息吹を同時に感じてくれたら嬉しい。

 今回はそんな形で、英雄クー・フリンが成人したときのお話のストーリーテリングをしました(聴いてみてね!YouTubeのコメント欄に参考文献もあげてます)。

↓リンクの貼り方がわからないので、ゴメンナサイ。アドレスコピペして貼り付けて、ご覧になってくださいませ。

https://youtu.be/obQTNjDbq0I

 本当はいろんな人が同じ話を語って、比較をしていくと、個々人の解釈の仕方を見られてすっごく面白いと思います。

 ちなみに、サトクリフのクー・フリンの小説と原典を読み比べると、サトクリフがどう肉付けしたのかわかったりして、面白いですよ。
 ……めっちゃマニアックな楽しみ方ですね。

 そんなこんなで、原典を参照するのは大好きです。

 で、最終的に「やっぱり原語で読まないと……」という(突き詰めると皆そうなっていきます)。

 ただ、原語の習得って、時間もかかるし、頭の良さもゴリゴリ鍛えないといけないので、かなり、いやハイレベルに大変で、向き不向きもあるので、万人におすすめできることじゃないと思っています。

 ただ、やっぱりね。最終的には原語で歌ってみて、その感触を確かめてみたいな……とは、思います。
 感触は、それぞれ独特なものですし。
 独特のいろんな感触を味わって、愉しむことに生きる喜びがあるわけですしね。

 とはいえ、それとは別に。

 ストーリーテリングをしている一番の理由は「人の生き様」を感じたい。からです。

 自分一人だと、自分一人の人生しか味わえないじゃないですか。
 物足りない。全然物足りない。
 他の人の人生も味わいたい。

 「人の生き様」を感じて、伝えて。

 今ここにある自分の生き様と、全く違うものを感じて知って。

 楽しんだり、悲しんだり、考えたり、自分の人生を変えるのに使ってみたり。

 そういう、物語の効用を、いろんな人に感じてもらえたらなぁ、と思っています。

 あと、自分でストーリーテリングやってみるの、おすすめですよ!!

 登場人物の心が流れ込んできて、ものすごく心にキます!!

 ではでは、また。

 

吟遊詩人は旅するもの。我が旅の軌跡が少しでもあなたの心に響きましたら、ぜひとも旅の路銀を投げ銭くださいませ🪙