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rotating_cuppy
詩)トンテキ定食
新宿のトンテキ屋でシングルのトンテキ定食を頼む つい癖というかなんというかセットでビールを頼む ナマですか瓶ですか?と聞かれたので瓶でと言う 先に出てきたビールはサッポロラガーの大瓶 久しぶりに大瓶 隣では美しい女性がトンテキ定食を絵のような美しさで美味しそうに食べている 野球のグローブと同じ形をしたトンテキがジューと音を立てて目の前に来る ニンニクが真ん中にドカンと乗っている ごはんとしじみのすまし汁がつく 大瓶のビールとトンテキ グローブにナイフをいれながら 長いカウンターの中で働く人を見る 仕事をもうやっていない僕にはなんといえばいいのだろう 働く誇りなんだろうか 少し眩しい自信に満ちた態度に見える ちょっと前まで僕も働いていたのだが そんな時は定食屋で何か食って ビールを飲んで さっさと帰る そんな日々だった 今思う それは本人は気がつかないなにか ぼくはもうすぐここで会計を済ませてこの店を出る 店員は食べ終わった食器を片付けて次のお客の準備をする ここで食べた客のことはすぐ忘れるだろう 生きるってそういうもので そうやって成り立っているんだと食べ終わったさっきまでジュージューと音を立てていたトンテキの食べあとを見る そろそろ会計だ 混み合う前に店を出よう 外はセカセカと歩く人 流れに合わせて歩きながらとりあえず今日を生きよう ご馳走さまでした トンテキ美味かったです。
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