詩)親父の命日にて
9月8日は親父の命日だ 前日にお供え用の花を買いに母と農協直営の店に行く 意外と高いねこれなら近所のスーパーでもよかったと言いながらミニバラを見つけ「これかわいいね」「でもこんなの買ってきてダメじゃないのって怒られるかね」と妻のことを気にするようなことを言う かわいいからいいじゃないか 「おっ しゃれたの買ってきたな」と親父も喜ぶよ というと 「そうかねそうかね」といい2束を手に取り 赤や黄色の小さなバラの花束を大切そうに買い物かごに入れた
うちに帰ってすぐにバケツにミニバラを入れ かわいいね買ってよかったねと言う 部屋の隅でそこだけ確かに華やいでいる
今日は命日 朝9時に出ようと決めていたが母ははもう6時半ごろから起きて準備を始めている 朝食の後はさっさと化粧室に向かい 準備もうばっちりだねというと後はもう着替えるだけじゃといい 今度はさっさと着替え8時10分にはもう準備万端とばかりにさあ行こうとちょこんと座っている こちらはまだ顔も洗っていない 相変わらずの性急に半ば呆れながら 急いで準備をして9時出発のはずが8時40分にはもう出発 玄関で日傘は持ったか 墓を磨く歯ブラシは?とパタパタとこれから遠足にでも行くよう にぎやかでいいなあと親父も言うと思うと勝手に推測し ミニバラとお供物などを抱えて墓所に向かう
9月だが真夏の日差しが照り付ける親父の墓にミニバラを手向ける 淡いピンクの「和」と刻まれた墓石にミニバラはよく映える 「綺麗やね」母が満足そうに言う お供物も並べてにぎやかになった墓の前で手を合わせる
親父 どうだい?いいだろミニバラ 母が親父のために選んだんだぜ いいなあ そっちでみんなに誉めてもらえよ 俺の女房は若いんだよって なあ
いいなと思ったら応援しよう!
2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します