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詩)牙を研げ

土砂降りの中
商店街の人混みに逆らって 走る 走る
ぶつかる 走る 走る 走る
ぶつかるのがなんだ
オレは牙だ
オレは牙
固まりだ
二人組の中学生が何か叫び
目の前のおとなしそうな婆さんは振り向いて
バシャっと跳ねた泥水


昨日はボランティアだった
学生まんぷくプロジェクト
雨だったが60人を超える学生たちがやってきた
「ずぶぬれで準備するボラさんたちが勇者に見えました。ほんとにありがとう」 「こんな天気なのに開催してくれてありがとうございます」「卒論やテスト、体を大事に乗り切ってね」

善意が飛び交った
率直にうれしかったが
うれしかったが

夜中に目が覚めた
オレはなんだ?
オレは今 なんのためにここにいる?
アルバイトなら金がはいる
大学ならつまらなくても知識がはいる
今のここにいるオレはなんだ?

シューズは泥水を含んで気持ち悪い音を立てている
走ってどこにいく?
なにをしようとしている?
泥水に突っ込んで
いま 鼻水と呼吸は入り混じってぐちゃぐちゃだ


明日また日々に戻るが 

忘れないでくれ

オレはもう 目の奥で いつも 

はじめる準備して

生きている

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げん(高細玄一)文学フリマ東京39 な-20
2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します