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「土地・建物」相談対応Q&A

 地域顧客の土地・建物に関する悩みは、相続、信託、売却などそれぞれの用途において多岐に亘り、これらの悩みへの相談対応は、土地、相続預金の流出などを抑えることにも繋がる。本稿では土地・建物に関する悩みへの相談対応をQ&A 方式で解説した。
ティー・コンサル株式会社 代表取締役 不動産鑑定士/一級ファイナンシャル・プランニング技能士 小俣 年穂

1.不動産相続に関する悩み

Q1 不動産の承継

 代々引き継いできた不動産について、定年退職を機にどのように次世代へ承継していくか考え始めたい。どのように手を付けていけばよいか助言をしてもらえないか。

A1 確認すべき事項

(1) 不動産活用の留意点

 取引先である地権者(以下「地主」という)との面談において、地主から承継について助言を求められることがあるかと思われる。地主への助言にあたっては、当該取引先の「所有資産(主に不動産)」、「家族成」、「年齢」によって提案すべき内容が異なる。
 例えば80歳以上の高齢者の場合は、相続発生の可能性が高まっていることから「相続税」に対する悩みが最も優先順位が高い。したがって、税理士と連携して相続税の試算(現状把握)から着手し、相続対策のためのプロセスの策定、実行と短期間で進めていく必要がある。地主の相続対策の一丁目一番地は「不動産」であり、所有地における有効活用や、所有地以外の不動産の購入などが考えられる。
 不動産を使った相続対策のメリットは相続税額の圧縮である。相続税における不動産の評価は相続税路線価や固定資産税評価額を適用して算出するため、時価(売買価格や不動産鑑定評価)より相続税評価額が下がるケースが多い。
 一方で、負債については残債額がそのまま控除されることになるため、相続税の圧縮効果が高い手法として多くの相続対策のケースで採用されている。また、賃貸用の不動産の場合には土地についてはさらに2割程度、建物については3割の減額があることから、効果が大きい。
 図表1は、不動産による圧縮効果を示した一例である。

図表1 不動産による圧縮効果の例

 仮に1億円の現金を使って不動産を1億円で購入したとすれば、現金で所有したまま相続を迎えるよりも相続税を減らすことができる。 この相続税評価の仕組みから、昨今では圧縮効果が高いとされるタワーマンションの需要が高まった。だが、2024年1月1日からタワーマンションを含む「居住用の区分所有財産」の相続税評価の計算方法が変更された。また2022年には最高裁により過度に行き過ぎた不動産を活用した相続対策に対して不動産鑑定評価額を用いて計算した相続税額とすべきとの判決が出たことも記憶に新しい。明確な基準があるわけではないが、不動産に取り組む目的や、明確な相続対策(相続直前に購入し、申告が終わったらすぐに売却など)になっていないことなどに留意する。

(2) 贈与~暦年課税か、相続時精算課税か

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